2023年10-12月は2期連続マイナス
内閣府が発表した、去年10月から12月までのGDP(国内総生産)の速報値は、前の3か月と比べた実質の伸び率がマイナス0.1%だった。
この記事の画像(6枚)年率換算でマイナス0.4%となり、2期連続でのマイナス成長となった。
物価高のなか食料品などの購入が振るわなかったほか、暖冬の影響で冬物衣料の販売も伸び悩み、GDPの半分以上を占める個人消費がマイナス0.2%になったことが主な要因だ。
内需のもう一つの柱である企業の「設備投資」もマイナス0.1%、「住宅投資」はマイナス1.0%だった。
世界3位の座をドイツに明け渡す
こうしたなか、日本がGDP世界第3位の地位をドイツに明け渡すことになった。
内閣府が15日発表した2023年の日本の名目GDPは、591兆4820億円、ドル換算で4兆2106億ドルとなった。
これまで4位はドイツだったが、1月のドイツ連邦統計局の発表では、ドイツの2023年の名目GDPは4兆1211億ユーロ、2023年の為替平均レートでは、4兆4561億ドルだった。
この結果、日本とドイツの順位が逆転し、日本はドイツに抜かれることになった。
1位はアメリカ、2位は中国だ。
アメリカに次いで世界第2位を保っていた日本は、2010年に、急速な成長を続ける中国にその地位を奪われた。
今回、3位の座も明け渡すことになった背景には、ドイツでの高水準の物価上昇が、物価の変動に左右される名目GDPを押し上げた一方で、外国為替相場での円安進行により、ドル換算した際の日本のGDPが目減りしたこともあるが、日本の経済成長力の弱さも大きな要因だ。
2026年にはインドに抜かれる?
内閣府の推計では、豊かさの目安とされる1人あたりの名目GDPは、2022年には3万4064ドルとなり、イタリアに抜かれて主要7か国(G7)中で最下位に沈み、OECD(経済協力開発機構)加盟38か国中では21位だった。
厚生労働省がOECDの数値をもとに1991年と2020年のG7の賃金を比べたところ、名目の伸びはアメリカやイギリスが2.7倍程度、ドイツも2.1倍となったのに対し、日本は1.1倍にとどまった。
実質でも、アメリカ・イギリスが1.5倍、フランスやドイツが1.3倍程度の上昇を見せたが、日本の伸び幅は3%だった。
日本生産性本部のまとめによると、2022年の日本の時間あたりの労働生産性は、OECDの38カ国中30位、1人あたりでは31位だ。
日本で物価上昇は落ち着きつつあるとはいえ、家計が圧迫される局面は継続している。実質賃金はマイナスが21か月続き、2023年分は2年連続での減少となっている。
IMF(国際通貨基金)からは、2026年には名目GDPはインドにも抜かれて、世界5位に後退するとの予測も示されるなか、生産性を向上させ、持続的な賃上げの流れを広げ、長期の低迷を脱して力強い回復軌道を描くことができるのか。
日本経済は新たな成長のステージに移れるかどうかの大きな岐路に立っている。
(執筆:フジテレビ解説副委員長 智田裕一)