石川・七尾市を本拠地とするプロバスケットボールチーム「金沢武士団(サムライズ)」。能登半島地震後約1カ月ぶりの公式戦で、練習もままならない中、観客を沸かせた選手たち。住民は特別な思いでこの日を迎えていた。

練習拠点が避難所に 選手ら炊き出し行う

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元日に発生した能登半島地震で、七尾市は震度6強を観測。

武士団の練習拠点となっている田鶴浜体育館は避難所となり、地震発生後すぐ、選手やスタッフは避難所の運営や炊き出しなどを行ってきた。

炊き出し行う選手ら
炊き出し行う選手ら

そして2月3日。地震後、約1カ月ぶりとなる公式戦。

参加者:
息抜きがしたくて、ぜひ(行きたい)ということで。力いっぱい、ぜひ勝ってほしいです

坂口美由紀さんも田鶴浜体育館で避難生活を送る1人で、「炊き出しとかしていただいて、皆さんすごい良くしてくれて手伝ってくれて勇気づけられたので、きょうは逆に応援で選手を後押ししたいなと思います」と話してくれた。

“被災地の力に”石川の名産品を販売

避難所にはバスが用意され、そこに書かれていたのは「金沢武士団アウェイ応援ツアー」。
今も避難生活を送っている人が続々とバスに乗り込んだ。

試合会場には、特別に石川の名産品を販売するスペースが設けられ長蛇の列が出来ていた。

岐阜ブースター:
全部おいしそうですよね。これを買うことによって、少しでも(被災地の)力になれるんだったらと思って買いました

岐阜ブースター:
義援になると思って買った。あと能登の魚はおいしいので、ぜひ食べてみたいなと思って。もとは岐阜ファンなんですけど、お互いに頑張って、つばぜり合いするような試合をみせてもらいたいです

キャプテン語る「感謝と諦めない気持ち」

FNN取材団・山川遼リポーター:
午後2時15分、約5時間かけて、七尾市田鶴浜の皆さんを乗せたバスがやってきました

この日のために駆けつけた40人の応援団。

ーー岐阜に来た気持ちは?

​坂口美由紀さん:
正直別世界って思います。現実と離れている。前向きになれていないというところもあって、(参加するか)迷ったんですけど、選手の頑張っている姿を見たいですし、元気もらいたいんでいい機会だなと思って

試合開始後、早速、金沢武士団の選手が躍動。
満足な練習ができなかった選手たちだが、それでも気迫あふれるプレーで観客を沸かせ、前半をリードして折り返し、最終第4クオーターへ。

しかし、相手のシュートが高確率で決まり、金沢武士団は逆転を許した。

被災地から駆けつけたブースターも声を枯らして応援したが、1カ月ぶりの公式戦は88 - 87の1点差で敗れた。

それでも、七尾から来た人たちの表情は…。

参加者:
熱狂的だったね。武士団に元気をもらって復興に努めたいと思います

坂口美由紀さん:
負けちゃったんですけど、選手たちが一丸になっていた気がして、気持ちが伝わってきて元気をもらいました。前向きにならないとなって思えるようになった。来てよかったです

金沢武士団・三木力雄ヘッドコーチ:
元々われわれは七尾を拠点としていまして、七尾の皆さんがはるばる応援に駆けつけてくれたというのは、本当に本当に感謝しかないですし、われわれの勇気になったと思います

金沢武士団・田中翔大キャプテン:
バスケットボールができているというのは当たり前ではないですし、感謝の気持ちを忘れず、最後まで諦めない気持ちを持ってシーズン最後まで戦っていきたいと思います

交流交わし笑顔あふれる避難者たち

試合後には、避難所となっている田鶴浜体育館で取り組まれている居酒屋「語ろう亭」が特別オープン。ツアーに参加した避難者が岐阜のブースターと共に交流を楽しんだ。

そして真夜中、バスは田鶴浜に戻ってきた。

坂口美由紀さん:
切り替えられたけど(七尾に)戻ってきて、「ああ、また明日から現実だな」っていうのは正直あります。久しぶりに疲れましたけど、でもまた明日から頑張ります

まだ復旧にはほど遠い被災地。
しかし、選手の1つ1つのプレーが被災地を勇気づけている。

(石川テレビ)

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