保健所で殺処分などになる子ネコを自宅に引き取り、養育して里親につなげてきた中学生がいる。これまで5年間で403匹を保護してきた。その中学生がNPO法人(特定非営利活動法人)を立ち上げて理事長に就任した。より多くの子ネコを救いたいという思いからだ。
ネコと一緒に設立式
![NPO法人の設立式(2024年2月・富士市)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/700mw/img_6b5d6bd9152c5508dc3fc45ce7e78539659888.jpg)
2024年1月 静岡県富士市に、NPO法人「子猫園ベルソーデシャトンズ」が誕生した。ベルソーデシャトンズはフランス語で「子ネコのゆりかご」の意味だ。法人の理事長を務めるのは中学3年生の赤石朔(さく)さんだ。
![赤石さんの後ろをネコが悠然と…](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/3/700mw/img_f3f43b2722b1d7ed58b28118ea1e1f0d554412.jpg)
赤石さんは子ネコを保健所から引き取り自宅で育てながら里親につなげる活動を、2020年から母親と続け、これまでに403匹を保護してきた。活動はこれまで母親が代表を務める任意団体で取り組んでいたが、さらに多くの命をつなごうとNPO法人を設立した。理事長は赤石朔さんが務める。
![自宅には多くのケージが](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/7/700mw/img_47db3c8426abc83be24b58aef5e79e91623347.jpg)
その設立式が2月11日、赤石さんの自宅で行われた。2023年度だけでも116匹を養育したとあって、会場となった部屋にはたくさんのケージが置かれ、保護ネコが自由気ままに行き来していた。
赤石さんは「小さな命が取りこぼされないように、さらに活動していきたい。より多くのネコを保護することはもちろん、NPOになったことを最大限に生かせるようになりたい」と抱負を語った。
年間2万匹が殺処分と知って…
![提供:赤石朔さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/700mw/img_e0c14cb1e4e6990718bda6d0bd3fe777580116.jpg)
赤石さんが子ネコの保護活動を始めたのは、2020年 小学5年生の頃。2匹の子ネコの里親になったことがきっかけだ。年間約2万匹が殺処分されている現状を知り(環境省調べ:2020年 約2万匹、2022年 約9000匹)、自分たちに少しでもできることはないかと考えた。
![自宅で母親と授乳(2021年)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/700mw/img_f966f379520f3398c30920e9b99679ef573061.jpg)
保健所から子ネコを引き取って活動を始めた。生後間もない子ネコには2~3時間おきにミルクを与えて養育し、里親を希望する人たちにつなげてきた。一般の人からは引き取っていない。
![提供:赤石朔さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/700mw/img_ab8c37aa372a3eda0c490f3f9eb6c5de518430.jpg)
1匹1匹に家族の証としての名前をつけて、里親に引き渡す際には成長の記録をまとめたアルバムも一緒に手渡してきた。
写真展で支援の輪を広げる
![2022年の写真展(富士市)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/0/700mw/img_a0b3a72347bc9a461f8f2862b7445109662238.jpg)
保護活動をまとめた写真展も2022年3月と2023年3月の2回、地元のショッピングセンターで開いた。
「ネコたちも丈夫な体ではないので、ひどい扱いをされているのを見ると許せない。もうちょっと考えて行動して、当たり前の避妊去勢など当たり前の責任を果たしてほしい」
写真展で取材した当時、赤石さんはこうした思いを語っていた。
![2022年の写真展](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/7/700mw/img_570535b3a1e5de41d02cf353f22afaa0598009.jpg)
年間2万匹のネコが殺処分される現状(2020年当時)や、ネコの正しい飼い方を紹介するコーナーを設け、来場者に命の大切さを呼びかけた。
来場者も「かわいそうな思いをするネコが減って、みんな幸せな生活を送れるネコが増えればと思う」と、赤石さんの活動に共感していた。
NPO化で期待ふくらむ
![母親の美容院兼自宅前に設置されたのぼり](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/700mw/img_ef706770e0fa2dc3f8d6498169df86b5674740.jpg)
今回 赤石さんたちはNPO法人となることで支援者を増やすとともに社会的な信用を高めて、行政や企業からの協力も期待できると考えている。
子ネコの養育には食事代、医療費、避妊去勢手術などで高額な費用がかかり、これまでは家族や支援者で負担してきた。それがNPO化で会員から年会費(正会員5000円、賛助会員1000円以上)をいただくことで、運営費に充てることができる。また行政からの補助金や、企業からの物資支援や寄付を受けられる環境がさらに整う。
![赤石さんが保護しているネコ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/700mw/img_4602896b00400e893b090d46b0e0519f657833.jpg)
さらに活動を全国的に広く知ってもらうことで里親希望者が増え、幸せになれる子ネコが増える可能性もある。写真展や講演会を増やすこともできる。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/b/700mw/img_1b039ddc1072afc7318e9e181804221a504377.jpg)
NPO子猫園ベルソーデシャトンズ・赤石朔理事長:
より多くの方の理解をえるため会員を全国的に募集して、ひとりひとりが命とどう向きあうのか考えるきっかけになってくれたらと思います。思いがあれば誰でもできることなので、ぜひ同じ世代の人たちにも感じてほしい
![赤石さんと支援者たち](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/700mw/img_afc70b8d3ae0f43f2d09db204a07fd0a661383.jpg)
ネコの里親になりたいけど不安がある人や、家のネコの心配事を持つ人、また地域ネコで困っている人の相談にも取り組んでいくという。さらに能登半島など被災地で命をつなぐことが困難なネコがいるのなら、その地域の人たちと連絡をとりあって受け入れ態勢を整えていきたいと話す。
赤石さんの最終的な目標は、このNPO法人の解散だ。保護するネコがいなくなって、すべての命が幸せになるまで「一緒にかけぬけてください」と呼びかけている。
(テレビ静岡)