2月10日から春節。2024年の中国の人たちは、例年と違って国内旅行を選ぶ傾向にあるとのことだが、それでも関西各地で期待を寄せる人たちがいる。

■春節に向けて…人気キャラクターショップを続々とオープン

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9日、大丸梅田店では、中国で人気が高いクレヨンしんちゃんや仮面ライダー、ちびまるこちゃんなどのキャラクターショップが続々とオープンしている。

記者リポート:
こちらは、きょうから春節に向けてオープンしたエリアです。このようにクレヨンしんちゃんも出迎えてくれています

これまでもポケットモンスターやワンピースなどジャパンポップカルチャーを前面に打ち出したフロアを展開してきたが、春節を機に売り場を広げ、さらなる集客を目指す。

大丸梅田店 小梶麻衣子さん:
中国のお客さまはコロナ前と比較すると、団体旅行のお客さまは戻ってきてはいないんですけど、ただ個人旅行のお客さまとか、小団体の10名前後のお客さまとかは回復しているように感じておりますので、春節でさらに回復するのではないかと期待しています

■奈良では“すしづくり”の体験を 団体客から個人にシフト

一方、奈良市では、一台の観光バスが到着した。バスから降りてきたのは、中国・山東省からの団体客だ。 すしづくりの体験型観光が楽しめる奈良市の「うめもり寿司学校」に、すしづくりを体験しにやってきた。

コロナ前の2019年は、年間10万人の団体客を受け入れ、そのうち7割ほどが中国からの観光客だったが、今、その数は激減していた。

うめもり寿司学校・梅守康之校長:
ちょっと戻りかけていたんです。春あたりから戻りかけていたんが、本当に処理水の問題でゼロになって、今やっとこの2月ちょっと戻ってきたって感じですね

春節を前にようやく少し中国からの観光客が戻ってきたとのこと。国同士の政治的な影響を大きく受ける中でも、笑顔で日本の文化を届けたいと体験教室を続けている。

中国からの観光客:
すごいですね、デリシャス!
おいしい
学校で第二外国語に日本語を選んだから、日本の文化と風習を体験したかった」

中国の人たちの日本人気はまだ高そうだが、コロナ禍をへて、その集客スタイルは変わりつつあるようだ。

うめもり寿司学校・梅守康之校長:
中国だけをターゲットにしていたら、しんどなってきますから、ほかの国、東南アジアとか欧米の方にも来ていただいたり、団体から個人にシフトしていっているんですね。そっち(個人)は、なかなか難しいんですけど、集客が。けれど、大きな流れがそっちにいっていますので、そういうのを頭に置いとかないと、これから続かへんのかなと思っています

■団体客ツアーから富裕層の個人客狙いにシフト

2月10日からの春節を前に関西の動きを取材したが、あの手この手で中国人観光客を取り込むためにこんな衝撃ツアーも企画されているそうだ。

こちら「ウルトラ富裕層を狙え1000万円ツアー」とあるが、中国からの団体客をターゲットにしたツアーから、富裕層の個人客狙いにシフトしている企業も多くなっているようで、なんと1人1000万円もするツアーを企画した会社も。 そのメニューの一部は…

 「マグロ1本!!」は、マグロの養殖場でエサやりした後、そのマグロを1本買い取って、すし職人体験などを楽しむプランだ。残りは自宅に配送される。

「専属コーデ!」は専属のメイクアップアーティストが1週間に渡ってメイクと洋服のコーディネートを組んでくれるプランだ。

「ゲレンデジャック」は、スキー場を1日貸し切るプラン。 いずれもぜいたくな内容だ。

なぜ、このようなプランを売り出したのかツアー会社に取材すると、「やりたいことがかなうならいくらでも支払う」という富裕層の声から販売し始めたとのことで実際、すでに1組の予約が入っているそうだ。

コロナ前と比べた外国人観光客の動向を見てみると…

大阪に来る外国人観光客の数で、中国からの数はおよそ7割減と大幅に減っている。一方で、アメリカ、シンガポール、インドからの数はいずれもコロナ前を上回っている。

Q.中国と同じアジアのシンガポール、インドは伸びているわけですが神崎さん、この背景をどう見ますか?

関西テレビ 神崎博デスク:中国はやはり処理水の問題とか、国と国との関係が影響していると思います。増えているアメリカ・シンガポール・インドは、経済成長を続けています。相手国の通貨が強くなっていて、ある意味、日本の通貨が弱ってきている。円安ですよね。例えば私は20年ぐらい前に東南アジアに駐在していたのですが、その頃シンガポールドルは1ドル70円ぐらいでした。それが今もう110円になっています。やっぱり日本旅行すると、安くお買い物できたり、安くいろいろ食べられたりするので、そういう意味において、日本が魅力的な海外旅行の国になってるっていうことですよね

Q.藤井先生いずれにしても中国頼みからの脱却が迫られていますね?

京都大学大学院・藤井聡教授:日本が成長しない前提であれば、こういう議論を続けていく…負け戦ように外国人旅行者を取り込むしかないのですが。外国人の方全員が消費している量っていうのは、実は日本経済のごく一部なんですね。ですから、彼らが消費するものは、日本人の消費が1から2パーセント増える程度で、仮に外国人旅行者が一切来なくても日本としての経済がある。だから、もし日本が3パーセントずつ成長するなら、一切外国からの観光客が来なくても日本経済が回るので、僕はそれを目指してほしいと思いますね

 時代に合わせた外国人の取り込みが求められる。

(関西テレビ「newsランナー」2月9日放送)

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