能登半島地震の影響で、福井への観光客が激減している。さらに地震の約3週間後、越前海岸沿いの国道に巨大な岩石が落下し、約1kmの通行止めとなった。
少ない観光客に追い打ちをかけた交通制限。カニシーズンでかき入れ時の飲食店などは「かなりきつい…」と悲鳴をあげている。

木の根の侵食で斜面の土がゆるみ…

通行止めとなっていたのは福井市蒲生町の国道305号で、約1.2kmにわたり車両などが通れない状況が続いていた。

提供:福井土木事務所(1月24日)
提供:福井土木事務所(1月24日)
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道路を管理する福井土木事務所によると、1月24日午後2時ごろ、直径4メートルほどの巨大な岩が、高さ約140メートルの斜面から落下。道路の半分ほどをふさいだ。

斜面を補強している様子
斜面を補強している様子

原因は木の根の侵食によって斜面の土がゆるんだため。岩は2月1日までに砕いて撤去されたが、二次被害を防ぐため通行止めが続いていた。

取材班は越前町を経由する迂回ルートを通り、1時間ほど掛けて通行止め区間の反対側を目指した。

“トリプルパンチ”で客足遠のく

通行止め区間の北側。例年ならカニシーズンは多くの観光客でにぎわうはずが、今はほとんど車の姿がない。越前がになどを提供する近くの飲食店で話を聞いた。

魚屋の喰い処まつ田・枩田卓也さん:
落石で道が通れない。敦賀方面からの車が全然来ないので影響は大きい。うちの店は観光客の方が多く、通常だったら関西・中京圏から来られる方が多い。

この店は通行止め区間のすぐ北側にあり、南方面から向かうルートが寸断された。

観光需要は能登半島地震の影響ですでに落ち込んでいた。落石に加えて、さらに前週の大雪で関西・中京方面からアクセスできなくなった。売り上げの大半を占めるカニシーズンを“トリプルパンチ”が襲った。

魚屋の喰い処まつ田・枩田卓也さん:
カニのシーズンは売り上げの大半を占めるので、そこにストップがかかるとかなりきつい…。いち早く、片側でもいいので開けてほしい。

温泉の湯は迂回ルートで運搬

日本海を一望できる海岸沿いの温泉施設にも落石の影響が出た。

越前水仙の里波の華温泉・粟田貴子さん:
5kmほど先から源泉を施設に運搬している。その途中に落石があったので大きくルートを変えて源泉を運搬している。

源泉100%の温泉施設で、毎日タンクローリーを使って施設まで温泉の湯を運んでいる。源泉までの距離は片道4.5kmだが、通行止めの影響でその10倍となる45kmの迂回ルートを使っている。

搬送回数は通常7、8回だが、迂回が必要になってからは3回に減少。湯量が不足しているため、営業時間の短縮や休館でやりくりしている。

越前水仙の里波の華温泉・粟田貴子さん:
客は通常の半分くらいになっている。一日も早く開通してもらって営業に影響が出ないようにしてほしい。

岩石の落下を防ぐための擁壁や柵の復旧工事が完了し、現在は通行止めが解消した。ただ、能登半島地震の影響は続いていて、例年通りの客足には戻っていない。

(福井テレビ)

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