能登半島地震から、2月1日で1カ月を迎えた。新たなスタートを切る人もいれば、つらい現実になんとか向き合う人も。被災者の今と葛藤を追った。

復興に向けて前を向く人たち

石川・能登町の役場に掲げられていたのは、地元高校生の書道部によるメッセージ。「復興再生」という4文字が書かれている。

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地元高校生:
少しでも明るくなったり、その前を進むきっかけになってくれたらうれしい

1日朝、石川・七尾市の老舗饅頭店では、今年初めて元気な掛け声が響いていた。能登名物「みそまんじゅう」でしられるこの店は、約1カ月ぶりに営業を再開した。

客:
一緒にがんばりましょう

店員:
ありがとうございます!

この店では、断水や調理機器の調整などで製造がストップ。現在も卸先が営業していないことなどから、生産量は地震前の半分以下だという。

それでも蒸しあがった、みそまんじゅうのいい香りが工場に広がると、気持ちは前へ。老舗饅頭店の取締役は「やっと営業できたなって、すごくうれしいです」と話した。

新たなスタートを切るカップルも

1日午後2時。石川・輪島市の市役所(門前支所)には、婚姻届を提出して、人生の新たなスタートを切るカップルの姿があった。
2人は大きな被害が出た門前町出身で、小学校時代からの同級生。妻の和佳奈さんは病院で被災しながら、看護師として働き続けてきた。

入籍した 塗師和佳奈さん(23):
私も1日から病院で働きながら患者さんを診てたけど、頭の片隅では彼のこと考えて本当に心配で、連絡が取れたときは安堵して、ちょっと言葉にならなかったです

観光スポット「白米千枚田」では地割れが

こちらは奥能登を代表する観光スポット、石川・輪島市の白米千枚田(しろよねせんまいだ)。

海に面した急斜面に無数の棚田が並ぶ美しい景観がCMの撮影地にも選ばれるなど、多くの人を魅了してきたこの場所だが、いたるところに大きな地割れができていた。

現地の様子を見た人が「うわ~ひどいね。こんなの普通の土を埋めるくらいじゃ無理だと思うしね…」と話すなど、被害規模の大きさは言葉を失うほどだった。

家族4人を失った男性「子どもたちが生きられなかった時間を」

石川・珠洲市の仁江地区では、1日も行方不明者の捜索が続けられていた。

大間圭介さん(42):
時間がたってみても、なかなか現実を受け入れるってことは、難しくてですね。さみしさとか、つらさっていうものが、だんだんと大きくなってきている感じがしますね

1カ月前のあの日。大間圭介さんは妻の実家への帰省中に被災し、土砂崩れで家族4人を失った。

大間圭介さん(42):
(子どもたちが)生きられなかった時間を、私が一生懸命生きてですね。あの子たちが経験できなかったこととか、体験できなかったことを少しでも私が。この子たちと一緒に、妻と一緒にできたらなと思っております
(「イット!」2月1日放送より)

<フジネットワーク サザエさん募金>能登半島地震救援