教え子2人にわいせつな行為をした県立高校勤務の男性実習助手について、静岡県教育委員会は1月29日付で免職とする懲戒処分を発表した。この実習助手は「1人には恋愛感情を持っていた」と話しているという。

2023年度の懲戒免職は6人目

懲戒免職処分となったのは県立高校に勤務する男性実習助手(30代)で、2019年7月から12月までの間、当時勤務していた高校の女子生徒に対してわいせつな行為を行ったほか、2020年1月にも別の女子生徒にわいせつな行為をしたとされている。

認定した事実を話す水口秀樹 教育部長(1月29日)
認定した事実を話す水口秀樹 教育部長(1月29日)
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情報提供されるも校長が“隠ぺい”

不祥事が発覚した経緯は次の通りだ。

2022年10月、この実習助手が当時勤務していた学校の教員に対して卒業生から情報提供があったため、翌年4月、情報提供を受けた教員が内容について校長と副校長に文書で報告。

しかし、あろうことか校長は“隠ぺい”を図ったのか、県教育委員会への報告をしなかった。

すると、9月下旬になって県教委に対して同様の情報が匿名でもたらされる。これにより県教委の知るところとなり、実習助手が現在勤務している高校の管理職に調査を指示。

その結果、実習助手が事実を認めたため県教委が警察に通報するとともに、県教委も被害者のうち1人と連絡が取れ事実を確認できた。

加えて、わいせつ行為をした実習助手が当時勤めていた学校関係者に意見聴取したところ、このうち副校長が教員から報告があったことを認めたとのことだ。

県教委は被害者から申し出があったとして、当該の実習助手について氏名や詳細な年齢、勤務先について明らかにしていないが、教員免許は必要のない職種だという。

また、被害者保護を理由にわいせつな行為の具体的な内容や状況についても公表を控えている。

県教委が入る静岡県庁西館
県教委が入る静岡県庁西館

研修で過去の事例を聞くたびに内心…

県教委の調べに対して、「研修などで生徒へのわいせつ行為で懲戒免職となった事例を聞くたびに『自分もやばいな』と思い内心ビクビクしていた。1人には恋愛感情を持っていた」と話したという実習助手。

「当時の自分の軽はずみな行動について本当に申し訳ない気持ち。被害者に対して高校生活で苦い思い出を残してしまった」とも述べているとのことだが、当然のことながら被害者の高校時代はもう戻ってこない。

“隠ぺい”の代償は大きく減給処分

一方、県教委への報告を怠った校長は減給10分の1・2カ月の処分となったが、「報告書は被害者本人から聞いたものではなく、関係者から雑談として聞いた内容をまとめたものであり、経験的に確証が持てない噂であると認識した。すでに卒業した生徒に関する内容で、県教委に報告するという考えを持てなかった」と釈明。

その上で「黙認や隠ぺいの意図はなかったが、そう思われても仕方がない。噂の域を出ないものであっても、過去のことであっても、県教委に相談すべきだった」と反省しているそうだ。

このほか、県教委は生徒に対して体罰をしたり、怒鳴るなど威圧的な指導をしたりした中学校の男性教員(41)の減給処分と、児童に不適切な言動を浴びせたり、体罰をしたりした小学校の男性教員(62)の戒告処分も発表。

これで2023年度の懲戒処分は18件となった。

池上重弘 教育長は「学校教育に対する信頼を著しく失わせるものであり、社会的責任はきわめて大きく、深くお詫び申し上げます」と“いつも”と変わらないコメントを出したが、県教委の会見からは抜本的な改革案や再発防止策は見えてこない。

(テレビ静岡)

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