今シーズン最強の寒波が到来し、街では市民が「雪かき」に追われていた。冬場には見慣れた「雪かき」だが、高齢化が進み「担い手」不足に頭を抱える地域もある。その対策として、鳥取市内の自治会では、事前に「雪かきボランティア」を募集していた。今回の大雪では、高齢者の負担を減らしながら、生活道路の除雪を迅速に進めることができた。

SNSで雪かきボランティアを募集

今シーズン最強の寒波が到来し、鳥取市では1月24日に30cmを超える積雪を記録した。鳥取市の郊外にある湖山地区の住宅街では、雪が降りしきる中、除雪作業が行われていた。

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住民に混じって雪かきをしていたのは、鳥取大学の学生たちだ。活動に対して謝礼が支払われる「有償ボランティア」として、除雪作業を担っていた。

約60人が住んでいるこの地区は3分の1が75歳以上の高齢者で、大雪の場合、大型車両による除雪が届かず、地元の生活道路の除雪をどのように進めるか頭を悩ませていたという。
この地区に住む住民は「この辺りは若い人が少ないので、本当に助かります」と話した。

そこで雪のシーズンを前にした2023年秋に、自治会がSNSを通じて雪かきのボランティアをあらかじめ募集したところ、近くの鳥取大学の学生10人以上から応募があった。

この日は4人が作業に参加し、地区内の生活道路、約200メートルの雪を取り除いた。「雪かき」は若者にとっても重労働のはずだが、参加した学生は「かなり大変だが、充実感があります」「高齢者は雪の上を歩くだけでも体力を使うので、手助けになれば」とやりがいを感じたようだった。

町内会長 学生ボランティアに感謝

この「雪かきボランティア」は、積雪30cmを目安に町内会が事前登録した人に出動を依頼する。地区内を通る市道の除雪の他、必要があれば75歳以上だけの世帯の住宅の玄関周りの雪かきも行うという。

ボランティアは有償で、作業時間に応じて自治会から謝礼が支払われる仕組みだ。3時間以内が基本で5,000円。時間が超過した場合や早朝や深夜、悪天候の場合には割り増しされる。町内会は今シーズンの除雪経費として、市からの助成金と合わせて最大19万円を確保した。

有償ボランティアに「雪かき」を依頼した経緯について、蓮池町内会の濱嶋祐子副会長は「業者だと高齢者の家の玄関先の雪など、こまめなことを依頼するのが難しい。人の手が必要だと思った」と話し、「仕組みだけ作っても、手を挙げてくれる人がいるか心配だったが挙げてくれた」と学生ボランティアに感謝した。

自治会の事前の備えが実を結んだ形だ。いつ襲うか分からない災害や極端な気象への「備え」を怠ってはならない。

(TSKさんいん中央テレビ)

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