派閥は今まで通りでいいと言ってるのに

1月22日に出たFNNの世論調査で面白い結果を見つけた。「政治改革に実効性のある措置として、どのような具体策がいいか」という質問に対する答えが以下である。

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政策活動費の使途公開 36%
連座制などの罰則強化 35%
派閥のパーティー禁止 11%
派閥の解消 8%
パーティー収入の公開基準引き下げ 7%

結果は明快で、国民は政策活動費の使途公開と、連座性などの罰則強化をしてほしいと考えている。「透明化」と「厳罰化」だ。

安倍派のパーティー(2022年)
安倍派のパーティー(2022年)

面白いと思ったのは、派閥が存続し、今まで通りパーティーをやって資金を集めることをさほど嫌がっていないということだ。これは意外だった。国民は自民党の派閥が「悪」であり、派閥のパーティー券を名前を隠して買う企業や個人をけしからんと感じているのではないかと思っていたのだが、そうではない。

確かに個人と同様企業にも政治的自由はあるわけだから、献金したり、パーティー券を買う権利はある。ルールを守らない場合は「厳罰化」するという事にすればいいだけだろう。

「透明化」は簡単ではない

国民が望むもう一つの「透明化」は簡単には実現しないかもしれない。政策活動費の使途公開と簡単に言うが、政治家の肩を持つわけではないものの、やはり公にしたくない金の使い道というのはあるものだ。だから行政機関である内閣官房にも「官房機密費」という領収書のいらない金がある。

官房機密費は領収書がいらない
官房機密費は領収書がいらない

調査の質問項目には入っていなかったが、もう一つの領収証がいらない金、調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化も同様に国民は望んでいるだろうが、こちらは政党ではなく政治家個人の「自由に使える金」がなくなってしまうという問題がある。

政治的自由を奪うな

筆者が恐れるのは透明化が難しいため、代替策としてパー券を含めた献金の規制強化に向かうことである。パー券を買った個人や企業の名前の公開基準の引き下げが検討されているが、国民の7%しか望んでないのに、やる必要あるのか?

1月26日に始まった通常国会では政治資金規正法をどう改正するかが議論される
1月26日に始まった通常国会では政治資金規正法をどう改正するかが議論される

さらに企業団体献金そのものを禁止せよという議論まであるのだが、そうやって政治的自由をどんどん奪って、今度は政治資金が足りなくなるから政党交付金を増やせなどという話は勘弁して欲しい。

30年ほど前の政治改革では、政治家と特定の団体や企業との癒着を断ち切るために、献金やパー券の規制を厳しくして結果的に額を減らし、その分を政党交付金として税金から配ることになった。

1994年3月4日に政党助成法が可決・成立した
1994年3月4日に政党助成法が可決・成立した

この改革をすべて否定するわけではないが、自分が支持するしないに関わらず、政党に税金が配られる、すなわち政治的自由が守られていない部分が嫌なのだ。自分がどの政治家や政党を支援するのか、「お上」に勝手に決められているのが嫌なのだ。

じゃあどうすれればいいんだと問われれば、筆者は政党交付金をやめて個人献金の税制優遇をしろと答える。これだと政治的自由が守られるからだ。自分が支持する政党、政治家に献金する。これがシンプルでよい。ただ個人献金を集める自信のない政治家が死に物狂いで反対するから、実現は無理だろうな。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。