全国には有名な土産、定番の土産がある。静岡なら、あの「パイ生地」のお菓子、東京なら老舗の「ようかん」など。では「信州土産」の定番は、そばや野沢菜漬けは有名だが、有名なお菓子「銘菓」は、すぐに思い浮かばない。信州を訪れた人はどんな土産を購入するのか。駅や高速道路のサービスエリアの売店で「売れ筋商品」を調べてみた。
駅 売れ筋トップ3は?
JR長野駅ー。
駅ビルMIDORIにある土産店「Bearny(ベア二―)」では、客が次々と商品を購入していた。
信州に帰省や観光で訪れる人々は、どんな土産を選んでいるのか?

聞いてみると、「林林檎」「雷鳥の里」「栗かの子」「七味」「どら焼き」「じゃがりこ」「りんごのささやき」などの商品があがってきた。
目立ったのは信州らしい商品や県内限定販売のものだ。

では、人気ナンバー1は?
売り上げ額をもとに店の「売れ筋トップ3」を紹介してもらった。
3位はスナック菓子「じゃがりこ 野沢菜こんぶ味」、信州限定商品だ、
8つの袋に入っていてシェアしやすいのも人気の理由だそうで、年間1万1000個売れている。

第2位は「生そば」の商品。
ベア二―の下平舞美さんは「長野県内にお住みの方が地方の方に贈答で贈られたり、出張で長野に来たサラリーマンのお客さまが多く買っていきます」と話す。
4人前のそばに、善光寺門前の老舗「八幡屋磯五郎」の七味唐辛子が付いていて、年間1万2000袋も売れている。

さて、気になる1位はー。
1位は大町市の土産店が手掛ける和洋折中の菓子「雷鳥の里」。年間1万3000箱も売れている。
下平さんは「長野県を代表する一番ポピュラーなお菓子となっているので、サラリーマンのお客さまが10個単位で買っていかれたり、頂いた先のお客さまが『おいしかったからこれはないですか』という電話の問い合わせもある」と話す。

高速道路SA 売れ筋トップ3は?
中央自動車道ー。
東京方面に向かう上りの諏訪湖サービスエリアでも土産に何を購入したか聞いてみた。
あがってきたのは、「そば」「おやき」「野沢菜」など。

根強い人気は「野沢菜」。
売店の売れ筋5位と4位は「野沢菜漬け」の商品だった。
たくさん買うと少々、重くなるが「車なら平気」ということなのだろうか。

では、トップ3は?
3位はお隣・山梨の人気の土産「桔梗信玄餅」。
「信州土産」ではないが、ネームバリューがありファンが多いそうだ。

ちなみに「下り」の売店では1位、3位、4位、5位を「信玄餅」が独占。
山梨から県内に入って最初のサービスエリアのため、山梨で「買い忘れた」人が購入するケースが多いようだ。

2位はー。
売店スタッフの河角美妃さんが発表してくれた。
「第2位は『どら焼山』の栗粒あんです」
小布施町の栗菓子の老舗が手掛ける「どら焼き」。

そしてー。
「第1位は『くるみやまびこ』です」
「くるみやまびこ」は、岡谷市の菓子店「ヌーベル梅林堂」の商品。クルミが入ったキャラメル味の洋菓子だ。
河角さんは「諏訪地域のお店のお菓子で、諏訪ならではのお土産が人気を集めているようです」と話す。

広く親しまれている「雷鳥の里」
諏訪地域の品が支持される中、6位に入ったのが長野の駅ビルの店で1位だった「雷鳥の里」。諏訪でも健闘していた。
結果を大町市の販売元に伝えるとー。
田中屋の曽根原光重社長は「『雷鳥の里』を作って50年以上たちますので、皆さんのおかげかなと。本当にありがたい」と笑みを浮かべる。

「雷鳥の里」は1972年発売のロングセラー。
北アルプスをイメージさせる白い包みの中に、サクサクのせんべい生地でクリームをサンドした、和と洋の味わいの菓子が入っている。

菓子自体は別の工場で製造していて、田中屋は箱詰めから出荷までを行っている。
例年、年末年始はフル稼働という。
曽根原社長は「(ピーク時は)800個入りの箱だと、1日120ケースぐらいは製造しています」と説明する。

「土産品」として人気が定着した理由は味以外にもあるようだ。
曽根原社長は「小分けになっていますので、お土産には配りやすいのかな。軽い、賞味期限も5か月ありますので、そういう点では楽に買っていけるお菓子」と特徴を話してくれた。
商品は9個入りから42個入りまであり、数に応じて選ぶこともできる。
曽根原社長は「私も自社製品ですけど、(土産に)持っていくときはありますね(笑)。帰省客の方は、長野県のお土産ということで、職場に持っていって宣伝してもらえれば」と商品をPRする。

今回の取材ではそばや野沢菜漬けが根強い人気で、「雷鳥の里」のような味だけでなく土産品としての利便性もある商品が支持されていることがわかった。
南北に長く地域色豊かな信州。魅力的な土産品は他にもまだまだありそうだ。
(長野放送)