能登半島地震で崩れた家の中から助け出されたのは、87歳のおばあちゃんの愛犬「ムーム」だ。

和田美津枝さん(87):
これ(ムーム)はおれの宝物です。

地震発生から約66時間後の救出劇。現場は当時、孤立状態にあった、石川・輪島市東部の町野町。

震度6強の揺れで家屋が全壊。この家に住んでいた和田美津枝さん(87)と、プードルのミックス犬「ムーム」(9)が下敷きになった。
Q.美津枝さんとムームについて
美津枝さんの息子 坂本繁蔵さん:
父親が10年前に亡くなりまして。寝るときも布団の上で一緒。ムームが24時間一緒にいたのでね。

美津枝さんは近所の住民に救出されたが、はぐれてしまったムームは、がれきの下に取り残されたのだ。

Q.その後の美津枝さんについて
美津枝さんの息子 坂本繁蔵さん:
家の状況を見ると(ムームは)もうダメだなということで、諦めておって。だいぶ塞ぎ込んで、憔悴しきった感じで…。
「クークー」がれきの下から聞こえた鳴き声
その輪島市に向かっていたのが、災害時にペットの捜索・救助を行う動物レスキューチーム。1月4日、家族からのSOSを受け、土砂崩れ現場を徒歩で乗り越えて現地に入った。

千葉・船橋市を拠点に、災害時のペット捜索・救助を行う「チームうーにゃん」の代表・うささんの一行だ。
Q倒壊した現場について
チームうーにゃん・代表 うささん(56):
この中にいるとしても、どこから探したらいいのかなっていうぐらい。本当にすごい崩れ方をしていた。

4日午前7時半ごろ、幾重にも積み重なったがれきの前で呆然と立ち尽くす中、うささんは「ムーちゃん!ムーム!」と繰り返し名前を呼ぶ。そうしたところ、がれきの下から「クークー」という小さな鳴き声が。「そこにいるね!いてよ!」と声をかける、うささん。
チームうーにゃん・代表 うささん:
もう生きている!って思った。

この直後、ヘリで現地入りした自衛隊員2人の手を借り、慎重にがれきを避けると…ムームがいた!ムームがいたのは、ベッドのフレームの下にできた隙間。しかし、体の前に折れたパイプのようなものがあって動けないのか、不安そうにこちらを見つめている。

うささんは、わずかながれきの隙間に体を滑り込ませ、ムームに手を伸ばす。そして不安そうにしていたムームに餌をちらつかせ、一気に引っ張り出すことに成功。余震もあり、危険が迫る中での救出劇だった。

チームうーにゃん・代表 うささん:
1つの家族をの命を救えたってことが本当にうれしかったです。
美津枝さん「生きていてよかった」
ムームは奇跡的に無傷で無事で、家族に引き渡されると、その後は家族が住む、兵庫・伊丹市で避難生活を送る、飼い主・美津枝さんとの再会を果たした。

18日、取材班が美津枝さんとムームのもとに向かった。

Q再会できたことについて
和田美津枝さん:
ああ、生きていて良かったと思って。うれしかったです。とにかく会いたくて。これ(ムーム)はおれの宝物です。
(「イット!」1月18日放送より)