被災地に迫る、さらなる危機。
専門家の解析によると、能登半島地震で少なくとも10カ所で発生しているとみられている“土砂ダム”。もし“土砂ダム”が決壊すると、大量の土石流が発生するとみられ、今後も厳重な警戒が必要となっている。

この時期、水が張らないはずの田畑に…

新たな土砂災害に繋がりかねない「異様な水の流れ」が、危険が迫りつつある現在の状況を物語っていた。

例年であれば水が張るはずのない田畑
例年であれば水が張るはずのない田畑
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輪島市では、この時期、水が張るはずのない田畑に水が流れ込み、さらにあふれた水が、土手を伝って新たな流れを作り出していた。

この場所だけではない。周辺では、別の光景もみられた。

民家の間から水が流れ落ちてくる
民家の間から水が流れ落ちてくる

FNN取材団「道路に土砂が残されています。道路を横切るように水の流れがあるんですが、民家の間から水が通っているようですね」

水は“土砂崩れの山”を縫うように本来流れるはずの無い場所を流れていた。

「余震とか大雨・雪解けの水によって、周辺の土砂が一気に流れ下る可能性」

なぜこうした状況となっているのか。関連があるとみられるのが地震で発生した“土砂ダム”だ。

土砂崩れによって天然のダムができていた(11日輪島市)
土砂崩れによって天然のダムができていた(11日輪島市)

11日に輪島市をヘリで上空から取材した際には、土砂崩れによって天然のダムができているのが確認できた。

地震で崩れ、流れ出た土砂が川の水をせき止めることで発生する“土砂ダム”。今回の地震による“土砂ダム”は専門家の解析により少なくとも10カ所で発生しているとみられている。

その“土砂ダム”からあふれた水が今、新たな流れを作り、下流に当たる地区へと流れ出ているとみられている。

下流にあたる場所では、さらなる災害を防ぐための懸命の作業が今、急ピッチで行われていた。ある場所では、土石流が、さらに下流方向へ行くのを防ぐために大型土のうを設置していた。

警戒されるのは、今後“土砂ダム”が決壊し、大量の土石流が発生すること。

防災システム研究所の山村武彦所長は、現在の映像を見る限り決壊の危険性が差し迫っている状況には見えないとしつつも、こう指摘した。

「土砂ダムというのは実際に土砂がせき止めているわけで、非常に不安定な状態になっているんですね。余震とか大雨・雪解けの水によって、周辺の土砂が一気に流れ下る可能性がある」

「私の家で土砂が止まってる状態なんです」

土砂ダム周辺に家があるという輪島市内の避難住民もこう危惧している。

「(土砂ダムの状況)それが一番今問題じゃないですか。私の家で土砂が止まってる状態なんです」

輪島市周辺では今夜にかけ断続的に雨が降る予想で、週末以降も雨や雪の予報が続くことから今後も厳重な警戒が必要だ。
(「イット!」 1月18日放送より)

<フジネットワーク サザエさん募金>能登半島地震救援

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