去年12月24日、前町長の辞職に伴う町長選挙で初当選したばかりの、石川県志賀町・稲岡健太郎 町長(46)。当選からわずか1週間で震災に見舞われました。

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そんな稲岡町長が、町を復興させるために「めざまし8」を通して訴えたいこと、また被災地での課題について話してくれました。

続く水不足と衛生環境の悪化

志賀町の避難所の数は14カ所、避難している人の数は10日の夕方時点で825人。
食料品やブルーシートなどの生活用品は、ある程度届きつつありますが、断水によって生活用水の不足。衛生面の問題も起きているといいます。

自衛隊による入浴支援や、入浴施設など3カ所を無料開放し対応しているものの、避難所に滞在せず山間部で生活を続ける人など利用できないケースも。

トイレは、仮設トイレのみ使用可能で、排泄物の回収が遅れると悪臭などが発生し、衛生環境も悪化してくるといいます。

災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏によると、地震が続いていることもあり、完全復旧には数カ月以上を要するのではないかとも言われています。

石川県志賀町 稲岡健太郎 町長:
断水の解決には、まだまだ時間がかかると思っています。そのために、日本水道協会という全国的な組織に一元して復旧をお願いする、そういう方法で進めたいと思っています。
また、避難所での衛生面の管理として、マスクや消毒液など衛生用品をたくさん支援していただいていますが、すぐになくなる状況になっています。引き続きの衛生用品の支援をお願いしたいと思っていますし、水循環型の手洗い施設であったり、少量の水を循環させて使うシャワー施設などの支援をお願いしているところです。

ごみ問題が深刻な事態に

震災によるごみ問題も深刻です。
志賀町では、家庭用の燃えるごみと資源ごみは収集可能ですが、燃えないごみや災害ごみの収集を当分中止しています。ごみ回収が遅れると、ごみが増えて困ることに加えて、災害ごみなどが道に捨てられ、復興車両の通行が妨げられたり、臭い発生などによる衛生環境の悪化も考えられます。

稲岡健太郎 町長:
災害ごみは大量に出ることが予想されますので、そちらの広大な仮置き場が必要になると思っております。町内に2カ所の仮置き場を準備して進めておりますが、業者の方もまだまだ手が回らなくて、1カ所は少し早く開設できるかなと思っていますが、まだ時間がかかる状態です。
また、燃えないごみに災害ごみの混入が確認されまして、今現在は止めている状況です。

自らも被災している中での業務

様々な問題を抱える中、職員の疲労もピークに達しています。
稲岡町長によると、町の職員や町内の病院のスタッフほぼ全員である約330人が、被災している中で、出勤・業務を行っている状態だといいます。

災害対策に加えて、日常業務も並行してこなさなくてはいけない状況で、常に「人員不足」。交代で休憩を取りながら、避難所暮らしの人もいて、中には自宅の片付けが後回しになっているという人もいます。また、稲岡町長も、地震発生後自宅に帰れていない状況が続いているといいます。

稲岡健太郎 町長:
私も発災後すぐに役場庁舎に詰めておりまして、夜必要な物を取りに戻っただけで、実際の家の状況はわかっていません。家族も避難所にちりぢりになっておりまして、無事は確認しておりますが、家の状態は全くつかめていない。ほぼほぼ半壊・全壊状況かなと思います。

稲岡健太郎 町長:
10日以上が経過して、やはり皆さん疲労がたまってきているなと感じています。ただいま支援として、愛知県を初めとして鳥取県、神奈川県、岡山市やその他たくさんの自治体の方から人的支援を頂いておりまして、一人ずつ交代しながらやっていく体制が整ってきたかなと思っています。

広がる支援の動き

未だ厳しい状況にある被災地ですが、支援の動きも始まっています。
東京都は輪島市へ都庁職員5人派遣、名古屋市では七尾市へ保健師3人含む健康福祉局職員5人を派遣。また、宮崎市は穴水町・能登町に上下水道局職員6人、給水車1台、作業車1台を派遣など、石川県には全国から600人規模の人員が派遣されています。

――他府県からの支援は元々協定を結んだものですか?
稲岡健太郎 町長:

協定を結んだ自治体の方々からの申し出ももちろん頂いているんですが、それらを全てとりまとめるために、石川県のほうでコーディネートしていただいた組織が頭となって、他の協定自治体との人的支援をとりまとめているという状況です。

――どのような人員を求めているなどありますか?
稲岡健太郎 町長:

例えば、今上下水道の復旧に、どの町にも技師が必要な状況です。そういった方々を人的支援としてお願いしているところです。

――さらにどのような支援を求めているでしょうか?
稲岡健太郎 町長:

今、避難所での感染症が少しずつ拡大してきておりまして、やはり医療スタッフ、あるいは介護職の方々の専門的な人的支援を頂きたいと思っています。

――志賀町はライフラインの復旧までボランティアの募集を保留しているということですが、なぜですか?
稲岡健太郎 町長:

発災直後から多くのボランティアの方々から、手伝わせてほしいというお声は頂いているんですが、こちらとしてはまだ受け入れる準備ができていなかった。
おととい開設したボランティアセンターも、まず住民の方々のニーズ調査、ニーズを把握するための開設でして、受け入れはまだまだ、余震が続く中、またライフラインが復旧する前に来ていただくと、二次災害にもつながってしまうので。
大変善意はありがたいのですが、少し待っていただきたいなと思っております。

稲岡健太郎 町長:
連日本当に多くの皆さま方から、人的・物的支援を頂いております。本当にありがとうございます。今町としては、物的支援、多くの自治体、本当に全国津々浦々から物が集まってきて、また人に関しても全国から来ていただいております。
今、物的支援いただくと、受け入れの方にまた人的支援が必要になってくる。そういった状況の中で、今一番今後の復旧に必要となってくると思われる…申し上げにくいのですが、やはり資金面。そういったものの援助が、全国の皆さまから頂きたい。そのための義援金の支援として頂くのが一番ありがたいと思っております。どうかよろしくお願いします。
(「めざまし8」1月11日放送より)