地震発生から1週間が過ぎ、ギリギリの避難生活が続く中、届き始めた支援物資の扱いに困っている人がいるのも事実だ。
七尾市の避難所で500食以上を炊き出し
石川・七尾市の避難所にできた段ボールの山。小学校の玄関を埋め尽くしている。
この記事の画像(30枚)これらはすべて支援物資。中には古着とみられる大量の洋服や、賞味期限が2019年8月で切れたドリンクもあった。
この現状に怒りの声を上げる人物がいる。
「この大半が使えないゴミ、避難所なんだと思ってる 昨日の事、長野ナンバーのトラックが来てトラック1杯分 半分以上のゴミを置いて帰った ドリンクは全て賞味期限切れ なんて野郎だ」
こうSNSに投稿したのは、石川・金沢市でレストランを経営し、避難所で炊き出しにあたっているシェフの川本紀男さん。1月9日、川本さんを取材した。
ボランティアで訪れている 川本紀男シェフ:
毎日すごい量で、結局どんなものかがわからない。
今回の地震では、川本さんの店も被災した。調理場には食器などが散乱。無数のワインが床を埋め尽くし、店の壁も大きくはがれ落ちた。
川本さん自身、被災した身でありながら、炊き出しのために金沢市から約3時間かけて、避難所になっている七尾市の小学校へ。
ホールに山と積まれた支援物資は、いずれも個人や民間企業から送られてきたものだという。教室にも物資がずらりと並んでいたが…。
ボランティアで訪れている 川本紀男シェフ:
食べられるものが1個もないもん。バナナしかない。晩ごはん作る材料はほとんどない。
この小学校への避難者は約250人。朝と夜、あわせて500食以上の炊き出しが必要だ。
支援物資のチェックを終えた川本さんは、さっそく夜の炊き出しの準備に取りかかった。ところが…。
川本紀男シェフ:
200人分作るっていうのは不可能に近い、毎回毎回。
頼みの綱となるはずの支援物資に炊き出しに使えないものも多いという現状に、複雑な心境を明かした。
川本紀男シェフ:
電子レンジに入れなくちゃいけないものは、基本使えないですよね。電子レンジの数が少なすぎるので。
中には、廃棄せざるを得ない食料もある。マツタケの茶碗蒸しや卵豆腐には「要冷蔵商品のため廃棄」と書かれていた。
川本紀男シェフ:
冷蔵庫がないから、ここは。小学校ですから。ノロとか食中毒が一番気にしているから、出したくても出せない。支援してくれた人には悪いんですけど。支援してくれた人は、冷蔵庫がないなんて思っていないでしょうしね。
「ボツ」と書かれた段ボールに入っていたカンパンを手に取った川本さん。
川本紀男シェフ:
賞味期限いつなの?切れてるじゃないの。これはおそらく氷山の一角みたいなものですよ。これ(レトルト食品)も23年ですよ。これ誤ってね、もし被災者の人に手渡しで渡ったら、僕らが言われますよね。
ふりかけの賞味期限も、2023年12月4日。一方的に置いていかれた支援物資の中には、品質がわからないものもあることから、扱いに頭を痛めていた。
川本紀男シェフ:
どこからどこまで手をつけていいかわからない。現状では仕分けが追いつかないですよね。もう毎日、たまっていく一方です。だから、今ここは完全止めました。民間の物資は。
善意で行われる支援が、真に被災者の支えとなることが求められる。
(「イット!」1月10日放送)