大規模な火災が発生した石川・輪島市の観光スポット「輪島朝市」には、10日朝も多くの捜索隊員らの姿があった。
捜索態勢は、9日の100人から200人に倍増。名古屋市や岡崎市など愛知県の消防隊員に加え、愛知県警や福岡県警の警察官も加わり、行方不明者の捜索にあたった。
一方、孤立状態にあった高齢者施設では、家族を亡くしたという被災職員が入所者のケアをせざるを得ないという過酷な日々が続いていた。
大規模火災の現場で捜索続く
総務省消防庁が公開した捜索現場の映像には、捜索隊員の目の前をがれきが埋めつくしている様子がとらえられていた。
焼け焦げた鉄骨がむき出しになった建物の前で、各地域の防災服を着た消防隊員が手作業でがれきを撤去していた。

朝市通りの一帯では、元日の地震直後に火災が発生。店舗や住宅約200棟が焼けた。
被災者:
いとこが亡くなった。同級生はまだ全然連絡が取れていない。なんとか無事であってほしい。

朝市組合の組合長によると、約190人の組合員のうち、安否が確認できた人は約50人にとどまっているという。

石川県の発表によると、県内で亡くなった人は206人、安否不明者は52人、死者のうち8人は地震後の怪我の悪化や身体的負担で亡くなったとみられる災害関連死とされている。
家族を亡くした職員が入所者のケアを…
避難生活者からは限界の声も聞かれる。

イット!が10日に取材したのは、輪島市の特別養護老人施設「百寿苑」。約100人が入所するこの施設では、地震により2階が大きく壊れた。
百寿苑 船本貴宏副施設長:
見た時にぼうぜんとした。100人の利用者をどうしていこうかなと。言葉が出なかったですね。
約100人の入所者は2階で生活していたため、地震後は1階で寝起きする日々が続く。

百寿苑 船本貴宏副施設長:
歩ける利用者さんのリハビリが滞っているので、歩ける人が歩けなくなったりとか、そういう心配が今後の課題となっております。
輪島市には、孤立状態に陥った高齢者施設もあった。

特別養護老人ホーム「輪島荘」 猪谷圭一郎理事長:
職員さんの心のケアもありますので、(職員も)家がない方も結構いますし、ご家族が亡くなられた方もいます。
29人の入所者と職員約10人が過ごす「輪島荘」では、家族を亡くしたという被災職員が入所者のケアをせざるを得ない状態が続いていた。

日本海に面した小高い丘の上に立つ輪島荘は、地震発生当初、施設に通じる道で土砂崩れが発生し孤立状態に陥った。
物資が届くまでの6日間は備蓄品でしのぎ、必要な水は獣道を通って運んだという。
施設には支援物資が届き始めたものの、最も重要なものが途絶えたままとなっている。
輪島荘 猪谷圭一郎理事長:
昨日やっと電気がきたんですけど、半年から1年、もう水が来ないと。
ここでの生活はもはや限界と判断した施設は、やむを得ず入居者29人全員を近くの町の施設に移すことを決めた。
輪島荘 猪谷圭一郎理事長:
もう一度、社会福祉法人施設としてチャレンジをさせていただきたい。受け入れもできるような体制を、輪島市、県に対しても国に対しても、いち早く(改善)してほしいというのが要望です。
(「イット!」1月10日放送より)