8日、レバノンの親イラン組織ヒズボラは、イスラエル軍による無人機攻撃でタウィル司令官が殺害されたと発表した。一方、イスラエルはハマスの武器製造の工場映像を公開。ガザ地区での戦闘は犠牲者が2万3000人を超え、イスラエルはレバノン南部など周辺で戦線を拡大している。

ヒズボラ司令官が死亡

レベノンに拠点を置く、親イラン組織ヒズボラは8日、イスラエル軍による攻撃で司令官が殺害されたと明らかにした。

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レバノンメディアなどによると、死亡したのはヒズボラ精鋭部隊のタウィル司令官で、レバノン南部で車に乗っていたところ、イスラエル軍の無人機による攻撃を受けたという。

イスラエル軍は、この件についてコメントをしていない。

司令官の死亡により、イスラエルとヒズボラの軍事的緊張が高まる恐れがある。

こうした中、イスラエル軍はこれまでに発見した中で最大となる、イスラム組織ハマスの武器製造工場の映像を公開した。

工場はガザ地区中部にあり、長距離ロケット弾などを製造し、地下トンネルを通じてガザ地区全域に輸送できるようになっていたという。

ここからは取材センター室長・立石修がお伝えする。ガザ地区での戦闘は、この年末年始も続き、犠牲者が2万3000人を超えた。さらに、イスラエルはガザ地区に留まらず、レバノン南部など周辺で戦線を拡大している。

今回、イスラエルにより殺害されたとみられるのはレバノンの武装組織ヒズボラの幹部、ウィサム・アル・タウィルという人物で、58歳だ。

ヒズボラが撮影した生前のタウィル氏の映像では、コンピューターのような機器を操作している。精密誘導兵器に関連しているものかと見られ、タウィル氏は、実戦において戦術も熟知したヒズボラにとっては非常に重要な人物だったとみられる。

タウィル氏は、2006年にも特殊部隊の一員としてイスラエルに侵入し、イスラエル兵2人を誘拐した。そして、イスラエルとレバノンの軍事衝突を引き起こしている。

ガザ紛争が拡大の懸念

これまでは、イスラエルとハマスの戦いだが、ヒズボラとも戦闘を本格化しようとしているのだろうか。

その可能性はあると思われる。ヒズボラが公開したタウィル氏の乗っていた車を攻撃した直後とされる写真を見ると、燃えているのは車一台だけだ。つまり、大味な攻撃ではなく、精密に狙った用意周到なもので、計画性がうかがえる。

そして、ヒズボラ内でも英雄的な存在であるタウィル氏をターゲットにし、殺害したことでヒズボラ側を挑発している印象もある。

ハマスに加え、反イスラエル勢力であるヒズボラの弱体化も狙っているのではと思われる。

イスラエルとハマスの戦闘から、さらに戦火・紛争が拡大していくのだろうか。  

ガザでの戦争は、南レバノンやヒズボラの問題。また、イエメンのフーシ派による攻撃にも、イランが関係している。そのため、ヒズボラ内だけの問題ではなく、実は戦線がガザを越えて中東全体に拡大していく可能性がある。

特に一番恐れているのはイラン。イランが今やっているのは、アメリカとイランの代理戦争だと思われる。その意味で、これがもし湾岸地域にまで波及するようになると、日本のエネルギー源にも影響が及ぶ可能性がある。
(「イット!」 1月9日放送より)

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