能登半島地震から8日で1週間が経過した。被災地では7日夜から雪が降り続き、隆起や陥没箇所の視認を困難にするなど、新たな危険をもたらしていた。

「次の揺れへの不安」続く

榎並キャスターが取材したのは、被害の大きかった地区の一つ、石川・七尾市田鶴浜地区。1日、七尾市も震度6強の地震に見舞われた。

道路になだれ込むように倒壊した建物
道路になだれ込むように倒壊した建物
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田鶴浜地区は、木造住宅が多く立ち並ぶ。なかには道路までなだれ込むように完全に倒壊した建物もあった。損壊の状況はさまざまだが、どの建物にも「危険」と書かれた赤い張り紙が張られ、立ち入れない状況となっていた。

地元の人からの「田鶴浜地区は大変な被害があったが、あまり報じられていないのでぜひ見て欲しい」と訴えを受けて取材に訪れ、目の当たりにした惨状。このように、あまり報じられず知られていない被災地区が他にも数多くある印象だ。

震災から1週間が経ち、厳しい生活を送る人も多いなか、一番多く聞かれたのが「次の揺れへの不安」だ。

取材前日の7日にも、緊急地震速報を知らせるアラートが鳴り響いたり、震度4の揺れがあったり、また夜中にも揺れで目を覚ますことがあったが、被災者はこのような日々を1週間送っていて、1日たりとも気の休まらない日が続いている。

旅館が真っ二つに

人気観光地の被害も深刻だ。能登最大の温泉地である和倉温泉は、7日夜から降り続いた雪で辺り一面真っ白となっていた。

本来であればかき入れ時のはずだが、地震から1週間経った今も断水が続いていて、ほとんどの旅館が休業を余儀なくされている。

建物の外壁が崩れ落ち、中がむき出しの状態になっている旅館もあった。

また、建物が傾き、真っ二つになってしまった旅館もあった。周辺では、ブロック塀が崩れるなどの被害も確認できた。

雪がもたらす新たな危険

七尾市では、7日夜から断続的に雪が降り続いていた。取材で明らかになったのは、この雪がもたらす新たな危険だ。

隆起した道路に雪が積もる
隆起した道路に雪が積もる

市内のいたるところに道路が隆起していたり陥没している箇所があるが、雪の影響で見えづらくなってしまっている。取材中、1台の車が道路が隆起した箇所に差し掛かり、徐行してゆっくりとそこを避けて通り過ぎていく様子もみられた。

輪島市の山間部では、地滑りした斜面に雪が積もっていた。7日から降り続く雪が崩れた建物の上に積もり、その重みで更なる倒壊の危険が高まっている。

自宅が土砂崩れで崩れてしまったという男性は、納屋で過ごしていた。

――家族はどこに?
納屋で過ごしていた男性:
おれだけ。みんな輪島中学校(避難所)に行ってる。中学校は水が出ないから、トイレを袋とかに全部まとめて置いてるでしょ。そこまでして(避難所に)いたくないなって。
ここで育ったからここにいないと。(留守を)狙ってくる人いっぱいいる。あそこに金庫もあるし危ない。見張りしてる人が1人くらいいてもいい。

この男性も積もった雪の影響で、近くにある危険な箇所が分かりにくくなっていると話す。

納屋で過ごしていた男性:
(積雪)25cmくらいだよね。雪がない時は(段差が)分かるけど、雪があるとみんなまっすぐ行く。そうすると結構高さがあるところにドーンと落ちてしまう。

被害に雪が追い打ち…「雪も地震もいらんわ」

珠洲市内も雪による影響が心配される状況となっている。珠洲市では7日から降った雪が10cm程度積もり、家屋の倒壊被害が相次いだ現場では、積雪の影響で被害の全容が分かりづらくなっている。

FNN取材団が関係者と向かったのは、被害に遭った寺だ。

寺の関係者:
本堂が後ろに倒れているみたいですよ。専門家が言われると。あと何回か大きな地震があったら倒壊だろうと言われているんだけど。

気になるのは、やはり7日から降り始めた雪だ。

被災した女性:
やだねー。雪だけは勘弁してもらいたい。でもこの時期しょうがないでしょ。作業がしにくい。いろんな作業ができるってことがあっても、雪だったら怖くて誰も来られないですよね。

また、寺の建物の被害に、雪が追い打ちを掛ける事態も警戒されていた。

被災した女性:
(怖いのは)やっぱり倒壊ですね。それから身動きができなくなること、閉じ込められること。非常に怖いですね。

北陸で降る雪は水分を多く含んで重いため、地震に耐えた家屋でも雪の重みで倒壊する恐れがあるという。

雪道を一人歩く男性が向かっていたのは、被災した自宅。男性によると、半年前の地震で家の基礎に問題が生じたため、約150万円かけてリフォームしたばかりだったという。

――家で何か作業されるのですか?
被災した男性:
ただぼう然と見て帰るだけ。(作業)したくても、これどうせ潰さなきゃならんから。
雪はいらんわ。雪も地震もいらんわ。

建物のあちらこちらをコツコツ直しながら50年ほど過ごした家だったが、今回は修繕を諦めるという。

気象庁は8日の会見で、地震活動は活発な状況が続いていると発表。今後1カ月程度は、最大震度5強以上の地震に警戒する必要があると呼びかけるとともに、海底で大きな地震が起きた際の津波への注意を呼びかけている。
(「イット!」 1月8日放送より)

<フジネットワーク サザエさん募金>能登半島地震救援

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