神戸市で7日、学生たちに29年前の阪神淡路大震災の経験を語りかけたのは、小学校で教師をしている長谷川元気さん(37)だ。

■震災で家族失った小学校教師 "知らない世代"に語り掛ける

長谷川元気さん:
布団をかぶって寝ようとした時、ゴーっと音が鳴ったかと思うと、ガタンガタン、わらわらと大きく揺れ、家の天井が崩れてきた。何が起きたのかもわからない間に完全に閉じ込められてしまい、真っ暗で何も見えなかった

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6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災。 当時、小学2年生だった元気さんは、神戸市東灘区で家族5人で暮らしていたアパートが全壊し、母親(当時34歳)と末の弟(当時1歳)を亡くした。

長谷川元気さん:
もっと母の笑顔が見たかった、もっと弟の翔人の笑顔が見たかった。ささいなことでも『ありがとう』『ごめん』と言うことができずに、いなくなってしまうのが一番後悔が残る

 父親は毎朝台所に立って家事と仕事を両立し、元気さんと一つ下の弟の3人で支え合って生きてきた。元気さんは寄り添ってくれた先生のようになりたいと教師を志し、「伝えることは、命を守ること」という思いで教壇に立って経験を伝え続けている。

■防災減災のために今できることを

そんな中、起きた能登半島地震。 倒壊した建物の下敷きになるなどまたしても多くの命が失われた。

長谷川元気さん:
石川県の能登半島地震、1月17日のこの時期とも重なっていますし、寒いこの時期に裸足で避難した記憶がすごいよみがえってきています

震災から29年生きてきた元気さんがいま、改めて伝えたいことは…

長谷川元気さん:
自分事としていつ起こるか分からないからちゃんと備えておこう。防災減災のために今できることをしておこうと思うきっかけをまず僕は作りたいと思っています

話を聞いた学生たちは震災の犠牲者を追悼する「1.17のつどい」で使われる紙灯篭に沿える言葉を書いた。

講演会を主催した藤原祐弥さん:
今を大切に生きていかなければいけないと思います。元日からたくさんのニュースで亡くなられた方、日々増えていっている中で、今一度、死に対しての恐怖や震災に対して考えることがたくさん出てきた。亡くなられた方の分まで私たちが東遊園地で思いをささげたい

あの日の記憶は次の世代にも受け継がれていきます。

(関西テレビ「newsランナー」1月8日放送)

関西テレビ
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