自民党・安倍派の政治資金パーティー“裏金”問題をめぐり、幹部への任意聴取も始まるといわれているなか、Mr.サンデーは安倍派所属議員99人全員に緊急アンケートを実施した。すると、キックバックを明確に否定する議員や、渦中の人物からも回答が得られた。キックバックの実態と、議員たちの今の本音に迫った。

“キックバック廃止”議員反発で方針撤回に…

12月23日、記録的な大雪の中、Mr.サンデーが向かったのは福井・越前市にある高木毅前国対委員長の選挙事務所。

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外から様子をうかがうも、事務所には誰も来ていないようだった。

パーティー券“裏金”問題をめぐっては、2022年に安倍派幹部が突然キックバックを取りやめる方針を決定したが、議員側から反発の声が上がりそれを撤回していたことが、24日新たに明らかになった。

東京地検特捜部は、事務総長経験者からも方針撤回の経緯について確認するとみられ、2022年8月からその立場にいたのが高木氏だった。

高木議員の後援会の支援者:
(高木議員が)何かおいしいものを食べてましたっていう話ではないと思う。多分、後ろとか周りにはもっと悪い人がいっぱいいるんやろうな。

特捜部による「安倍派」「二階派」の派閥事務所への家宅捜索が行われ、議員本人への聴取も始まった“裏金”問題。特捜部は、4000万円を超える疑惑が持たれている中、体調不良を理由に国会を欠席をしていた池田佳隆衆院議員を任意で事情聴取した。

さらに、萩生田光一前政調会長ら派閥幹部の“安倍派5人衆”のうち、西村氏を除く4人に、任意の聴取を要請していることもわかった。

政調会長を辞めた萩生田氏は、22日、党の会合でこんな発言をしていた。

萩生田氏:
一兵卒に戻ってですね、平場でしっかり仕事をしたいと思います。

窮地に立たされている安倍派議員は今、どんな心境にあるのか。Mr.サンデーは、安倍派に所属する99人の議員全員にアンケートを実施。「キックバックはあったのか?」「派閥からの指示は?」「不記載への問題意識は?」「安倍派に残るか?」など8項目の質問をぶつけた。

回答があった57人中44人が“同じ文言”

回答があったのは99人中57人。回答率は約58%だった。

真っ先に返信が来たのは、安倍派(清和政策研究会)の最高顧問である山崎正昭参院議員。

「報道によると刑事告発をされているとあり慎重に事実関係を確認し適切に対応して参ります(山崎氏)」

安倍元首相亡き後、安倍派の「座長」に就任した塩谷立元文科大臣。11月にキックバックについて聞かれると「そういう話があったことはあったと思います」と述べたが、数時間後には「誤解を与えたということで撤回する」と、すぐに発言を撤回していた人物だ。

アンケートへは「報道によれば刑事告発をされているとあり、慎重に事実関係を確認し適切に対応してまいります」と回答した。

高木前自民党国対委員長も「刑事告発がなされているとのことであり、慎重に事実関係を確認し、適切に対応してまいります」と回答。

また、派閥から総額で約60万円の還流を受けた鈴木淳司前総務大臣は「(キックバックは)この世界で文化と言えば変だが、そういう認識があった」と発言し、キックバックを認めていたが、アンケートの回答は「報道によれば刑事告発をされているとあり、適切に対応して参ります」というものだった。

アンケートに答えた57人中44人が「慎重に事実関係を確認し、適切に対応してまいります」とほぼ同じ文言で回答
アンケートに答えた57人中44人が「慎重に事実関係を確認し、適切に対応してまいります」とほぼ同じ文言で回答

返ってきたのは、まるで示し合わせたかのような同様の文面だった。

丸川珠代参院議員からも「報道によれば刑事告発されているとあり、慎重に事実関係を確認し適切に対応して参ります」という回答があった。わざわざ「報道によれば」と付け加えている点も同じだ。

アンケートに答えた57人中44人が「慎重に事実関係を確認し、適切に対応してまいります」とほぼ同じ文言での回答だった。

思えば、このフレーズは、4000万円を超える疑惑がある谷川弥一衆院議員が12月10日に読み上げたコメントとほぼ同じだ。取材への回答も、派閥からの指示があったというのだろうか。

キックバック否定したのは6人

一方で、こんな胸の内を明かす議員もいた。

「残念かつ申し訳ない気持ちで一杯です。政策グループの事務所に強制捜査が入ったことについては大変重大に受け止めております(田畑裕明衆院議員)」

「深刻な事態だと認識しています(小森卓郎衆院議員)」

「再発防止の取り組みなどを進め行く必要があると考えている。政策集団としてのパーティーの開催や年末年始の行事は自粛すると聞いている(松本尚衆院議員)」

キックバックがあったかどうかの質問に対し、否定したのは大西英男衆院議員、衛藤晟一参院議員、古庄玄知参院議員、長谷川岳参院議員、白坂亜紀参院議員、奥野信亮衆院議員の6人だった。
(「Mr.サンデー」12月24日放送より)