東京23区の粗大ごみ処理施設が11月の火災で停止し、粗大ごみの処理ができなくなっている。東京二十三区清掃一部事務組合は、2024年3月まで粗大ごみの廃棄を控えるよう呼びかけた。火災の原因はリチウムイオン電池で、東京都では2023年、リチウムイオン電池が原因の火災が過去最多となった。

「粗大ごみ控えて」

東京23区の粗大ごみについて、11月の火災で処理施設が止まり、処理ができなくなっているとして、廃棄をなるべく控えるよう呼びかけている。

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東京23区で出たごみの処理施設などを運営する組合、東京二十三区清掃一部事務組合は21日、「緊急事態です!粗大ごみがあふれています」との声明を出した。

江東区にある処理施設が、11月起きたリチウムイオン電池が原因とみられる火災で使えなくなり、現在は不燃ごみの処理施設で代わりに処理している。

仮復旧は2024年3月ごろとみられていて、組合は「粗大ごみの廃棄はなるべく控えてください」「分別にご協力をお願いします」と呼びかけている。

このニュースについて、警視庁記者クラブにいる社会部の森将貴記者がお伝えする。

「粗大ごみの廃棄はなるべく控えて」ということだが、2024年3月の復旧まで粗大ごみの廃棄を控えるというのは、なかなか難しいことでもある。

23区の清掃事業組合によると「ごみの受け入れをしないというわけではないが、廃棄を少し延ばせるものは延ばしてほしい。粗大ごみの焼却炉が使えないため、二つある不燃ごみの焼却炉のうちの一つを粗大ごみ用に使っている。いつまで廃棄を控える必要があるかは、担当者から改めて連絡がある」という。

リチウムイオン電池の処分に注意

また、リチウムイオン電池による火災が原因ということだが、どのくらい危険なのだろうか。

リチウムイオン電池の製品で火災が起きた実際の映像がある。事務所の倉庫内でビデオカメラ用のバッテリーを充電していたところ、何らかの要因で出火した。

リチウムイオン電池が原因でごみ袋が燃えている
リチウムイオン電池が原因でごみ袋が燃えている

続いて、ごみ袋から出火したケースだ。破裂音が鳴った後に、炎が上がったという。燃えたごみ袋の中にはポータブル電源が入っており、内部のバッテリーが短絡して出火したとみられる。

実は、このようなリチウムイオン電池を搭載した製品の火災は、年々増加している。東京消防庁によると2023年、リチウムイオン電池を搭載する製品から出火した火災は、21日時点で166件と過去最多になった。

モバイルバッテリーやスマートフォン、掃除機など、さまざまな製品から出火しているという。また、処分する際の出火も増えていて、リチウムイオン電池を搭載する製品を処分する際に、誤ったごみ分別によって、ごみ収集車から出火する火災も増加している。

ごみ収集車で火災が発生した35件のうち、半数以上の18件がリチウムイオン電池関連だという。

リチウムイオン電池はその他に、どのような製品があるのだろうか。スマートフォンやバッテリーなどは想像しやすいが、意外なところでは、ワイヤレスイヤホンや電子タバコなど、いろいろな製品に入っている。

大掃除のシーズンのため、東京消防庁はむやみに分解しないことや、処分の際には取扱説明書を確認するよう注意を呼びかけている。
(「イット!」 12月22日放送より)

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