大川原化工機の社長らが不正輸出の疑いで逮捕・起訴され、後に異例の「起訴取り消し」となった事件について、社長らは27日の判決前に会見を行い、「警察や検察が反省するところがあったというような判決を期待する」と述べ、捜査が意図的であったと改めて強調した。

異例の起訴取り消し

不正輸出の疑いで逮捕・起訴された後に、異例の「起訴取り消し」となった大川原化工機の社長らが19日に会見を行い、27日に判決が言い渡される民事裁判について「警察や検察が反省するところがあったというような判決を期待する」と述べた。

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大川原化工機・大川原正明社長は「警察に対しては、自分たちが作った事件であると正直に認めるような、(検察も含め)おのおの反省するところがあったと、裁判長の意見として出てくることを期待したい」と話している。

大川原化工機をめぐっては、軍事転用可能な機械を不正に輸出したとして、社長ら3人が逮捕・起訴されたが、その後、東京地検が起訴を取り下げている。

会社側は、当時の捜査が違法だったとして、国と都に損害賠償を求める訴えを起こしていて、判決を前に社長らは「捜査は意図的だった」と改めて訴えた。

このニュースについて、警視庁クラブの社会部・中川真理子記者がお伝えする。

会見では「検察や警察が反省するところがあった」という言葉があったが、これまでどのような裁判が行われてきたのだろうか。

この事件は、液体を乾燥させて微粒子にする「スプレードライヤ」と呼ばれる機械について、警視庁公安部が2020年に「軍事転用可能な機械であり、中国に輸出したのは不正輸出にあたる」として、「大川原化工機」の社長ら3人を逮捕したもの。

社長ら3人は起訴されたが、裁判が始まる直前の2021年に「軍事転用が可能かどうかについて疑いが生じた」として、異例の「起訴取り消し」が行われた。

それまでの間、社長らは11カ月にわたって勾留されていたため、国などに対し、約5億7000万円の損害賠償を求めて提訴した。

大川原化工機側は、捜査が違法であったことなどを主張しているが、出廷した担当検察官は「もう一度事件を担当しても同じ判断をする」と証言するなど、国側は真っ向から争う姿勢を示していた。

捜査員「事件は捏造だった」

しかし、その裁判の中で、捜査員がねつ造について異例の証言をしたことが、大きなニュースとなっていた。

6月に行われた証人尋問で、事件を担当した警視庁公安部の捜査員が「事件はねつ造だった」と証言したのだ。本来であれば警視庁と同じ主張をするはずなのに、全く逆の主張をしたということで衝撃が走った。

さらに、弁護人によると、社長らが勾留されている間に、差出人欄に警視庁と印字された封筒に入った匿名の手紙が、大川原化工機に届いたという。

警察官が書いたのではないかとうかがわせるような文章で「貴社が無罪になる事と感じております」などと書かれていたということで、仮にこれが本当に警察官によるものであれば、警察による内部告発が行われていた可能性があるということになる。

警察官による裁判での「ねつ造」発言については、国などは「個人の憶測が含まれていて、信用性が低い」と反論している。

この国家賠償請求訴訟の判決は27日に言い渡されるが、「賠償が認められるか」とともに「警察・検察による捜査が違法なものだったのか」など、裁判所の判断に大きな注目が集まっている。
(「イット!」 12月19日放送より)

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