自民党の派閥の政治資金パーティー収入をめぐる疑惑で、19日、東京地検特捜部が安倍派と二階派の事務所の強制捜査に乗り出した。「デジタル鑑識」でパソコンやスマホに残る重要な証拠を家宅捜索で集められるかが、今後の捜査のポイントの一つになる。

家宅捜索はじまる

特捜部が捜索に入ったのは、安倍派の政治団体「清和政策研究会」と二階派の政治団体「志帥会」の事務所。政治資金パーティーを巡っては、安倍派と二階派が販売ノルマを超えて集めた分の収入を派閥の収支報告書に収入として記載せず、所属議員にキックバックした疑いがある。

二階派事務所に向かう東京地検特捜部
二階派事務所に向かう東京地検特捜部
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特に安倍派では、大半の議員がキックバックを受け取り、派閥側の支出としても議員側の収入としても記載がなく、事実上の「裏金」になっていたとみられる。
キックバックの総額は2022年までの5年間で約5億円にのぼるとみられている。

一方、二階派では、キックバックを支出として記載し、議員側も収入として記載していたものの、派閥の収入としては記載しておらず、不記載の総額は5年間で1億円を超えるとみられている。

安倍派と二階派の会計責任者は、特捜部の任意の事情聴取に対し、不記載の事実を認めていると
いう。

特捜部は、それぞれの派閥から押収した資料を分析するとともに、議員や派閥の幹部の聴取を進め、実態解明を進める方針だ。

検察庁が力を入れる「デジタル鑑識」とは

今後の捜査のポイントの一つとなるのがデジタル鑑識、「デジタル・フォレンジック(DF)」だ。

「デジタル・フォレンジック(DF)」は、押収したデジタル機器内に保存されているデジタルデータを全く同じ状態で抽出して、その中から犯罪立証のための客観的な証拠を見つけるための手法だ。今の時代は重要な証拠の多くは、パソコンやスマホに残っているといわれ、それらを家宅捜索で集められるかがカギとなる。

キックバックの一覧表などは、すでに派閥側から任意で提出を受けているものとみられているが、仮に重要なメールなどが消されていても、デジタル・フォレンジックによって、多くを復元できるとされる。

近年、検察庁は「DFセンター」を作るなどデジタル鑑識にとても力を入れている。DFセンターでは、最先端のスキルを習得したスペシャリストを育成している。
(「イット!」 12月18日放送分より ※一部情報を更新しています)

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