14日、アメリカのサリバン大統領補佐官がイスラエルを訪れ、ネタニヤフ首相らと協議。イスラエルの軍事作戦を縮小し、民間人保護に焦点を当てた作戦に移行する可能性を議論した。
一方でネタニヤフ首相は、絶対的な勝利まで戦い続ける決意を強調した。

「最後の避難先」で深刻な飢餓状態

14日、アメリカのサリバン大統領補佐官はイスラエルでネタニヤフ首相、ガラント国防相とそれぞれ会談し、ガザ地区の民間人保護や軍事作戦の規模の縮小を協議した。

この記事の画像(15枚)

アメリカ政府高官によると、一連の会談では、民間人の保護のほか、イスラエルの軍事作戦を標的をより絞った「強度を弱めた作戦」に移行する可能性などを協議したとしている。

一方、ネタニヤフ首相は会談で「絶対的な勝利が得られるまで、戦い続ける決意をこれまで以上に固めている」との考えを伝えたという。

また、ガラント国防相は会談で「数カ月以上かかるだろうが、必ず勝利する」と述べて、イスラム組織ハマスの壊滅には、軍事作戦が長期間に及ぶ認識を示している。

ここからは、取材センター室長・立石修がお伝えする。

現在のガザ地区の映像を見ると、攻撃によるものとみられる黒煙が上がっている。
イスラエル軍はガザ地区南部で攻撃を続けており、追い詰められた多くの避難民が、ガザ地区最南端、エジプトとの国境に接するラファという町に避難している。
しかし、「最後の避難先」とも言えるラファでも、人々の生活が困窮を極めている映像が次々と入ってきている。

国連では、ガザ地区の人々が深刻な「飢餓状況」に苦しんでいるとしている。
ラファは国境沿いにあるため、ユニセフや国連世界食糧計画(WFP)など、国連の支援物資がトラックで運び込まれている。
しかし、数が圧倒的に足りていないのが現状だ。

映像では、待ち構えていた市民が大声を上げながら、次々とトラックに向かっていく様子が映っている。また、トラックに飛び乗り、物資を奪っている人も見られる。

これまで南部では激しい戦闘はなかったが、イスラエル軍は今、このエリアを中心に猛烈な攻撃を行っている。そのため、人道支援物資の搬入も非常に難しくなっている。

物資を奪われないようになのか、トラックには銃を持った人物が上にいるのが見える。ハマスの戦闘員の可能性もあるが、正確には分からない。

ガザ地区では水不足も深刻だが、トラックから落ちた、もしくは落とされたと見られるペットボトルには、市民が一斉に群がっていた。中には子どもたちの姿もあり、人々は両手に抱えられる限りのペットボトルを持っていた。

ラファでは人道支援団体などによる炊き出しなども行われているのだが、食べ物が満足に行き渡っていないのが現状だ。

人道支援活動も崩壊状態

炊き出しの様子を見ると、大きな土鍋で温かいスープが作られていた。

そのスープをもらおうと、長い行列ができている。その列には、鍋を手にした子どもたちも多く見られ、配給が始まると、子どもたちが鍋を必死に差し出す様子が映し出されていた。

列に並んでいる人たちによると、食べ物をもらうのには何時間も並び、やっと手に入れられるというのが日常だという。食料が本当に足りない状況というのが伝わる。

ガザ地区では、これまでにないほどの飢餓に直面している。WFPによると、ガザ北部では10人に9人が24時間以上、食べ物を口にできていないという。

そして、ラファなどガザ南部でも3人に2人が同様の状態。1日以上何も食べられない人がこれだけいる状況となっている。

そして、命に関わるような深刻な飢餓状態にある人がガザ北部では48%、ガザ南部でも38%いるとしている。

WFPでは「必要な食糧のほんの一部しか届いておらず、人々が飢えている」とした上で、人道支援活動も崩壊状態にあるとしている。そういう中でも、イスラエルは南部へ攻撃を続けている。

アメリカのサリバン大統領補佐官がイスラエルを訪問して、攻撃の規模縮小などについてネタニヤフ首相と協議したとのことだが、いつそれが実現するかなどは全く分からない。
(「イット!」 12月15日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(15枚)