諏訪市消防団は、12日夜、団員が、運営資金66万円を着服していたと発表した。長野県内では、消防団員の着服が相次いで発覚していて、県消防課は「会計を複数人で担当すること」など管理を徹底するよう市町村に通知した。

20代男性団員が66万円余り着服

諏訪市消防団は12月12日夜、会見を開いて陳謝し、第8分団の会計を担当していた20代の男性団員が、住民から集めた運営資金66万円余りを着服していたと発表した。

団員は会計を1人で担当し通帳や印鑑を預かっていたということで、2023年1月、立て替え費用の精算が滞ったことで分かった。借金の返済に充てていたという。

諏訪市消防団
諏訪市消防団
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本人とその家族が全額を返済したため警察への被害届は出さない方針だ。

諏訪市消防団では12月、別の分団でも164万円余りの着服が判明している。

また、野沢温泉村で20万円、駒ヶ根市で223万円が発覚するなど県内で消防団員の着服が相次いでいる。

諏訪市消防団の会見(12月12日)
諏訪市消防団の会見(12月12日)

会計1人で担当…甘いチェック態勢

県消防課の小野政仁課長は、「人数の少ない消防団員の中で会計はどうしても1人で行うというようなことで、どうしてもチェック態勢というのが効いていないのかな」と話す。

消防団に入る金の一つが「団員の報酬」で、1年分のほかに出動ごとに支払われる。

例えば、長野市の場合は年額3万6500円に出動1日あたり8000円。

もう一つが「運営費」で住民から集める協力金や行政の交付金などを備品の修理などに充てる。

資料
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報酬はこれまで団の口座にまとめて支払う自治体もあったが、2021年、消防庁が「透明性を図るため」とし、個人の口座などに直接振り込む指針を発表。

県内の市町村の多くが指針通りに団員の口座に振り込んでいるという。

その一方、運営費は従来通り、会計担当が管理する消防団が多く、不正の余地が残っている。

団員の報酬、運営費など
団員の報酬、運営費など

県が通知「複数人で徹底管理を」

県消防課は一層のチェック態勢強化が必要として、12月5日付けで消防団を管轄する市町村に通知した。

小野課長は、「印鑑と通帳を別々の人が管理する。監査の回数を3カ月に1回や半年に1回と定期的に行うようにして、複数の方で確認していく方法が考えられると思う。適正な方法で会計処理を行って住民の信頼回復を少しでも早く図ってほしい」としている。

長野県消防課が市町村に通知
長野県消防課が市町村に通知

(長野放送)

長野放送
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