鳥インフルエンザの影響で高騰していた卵。
年末を迎え価格はどうなっているのだろうか。
さらに鳥インフルエンザが発生した場合に備え、全ての殺処分を回避する取り組みも新たに行われている。
一時はスーパーの売場から姿を消していた卵。12月に入り価格は?
鳥インフルエンザの影響で高騰 卵の価格は?
この記事の画像(11枚)札幌市東区の「食品スーパーマルコ東苗穂店」では、毎週日曜日に1パック98円で販売する卵が目玉商品だった。
しかし、品不足のため春から中止となり再開のめどは立っていないという。
「税込みだと429円が高いときの販売価格だった。現在は、小さい卵だと税込み213円くらいの価格になっています」(マルコストアー 山川 悟史 社長)
高病原性鳥インフルエンザの発生により、2022年10月から2023年4月までに全国26の道県で約1771万羽が殺処分された。
北海道千歳市でも過去最大規模の約120万羽が殺処分され、スーパーの売場から卵が姿を消した。
ピークすぎるも高値続く価格
ここ2年間の札幌市の卵の価格だ。
2022年1月には1パック159円ほどだったが、2023年5月から6月のピーク時には365円を記録している。
10月ごろから入荷が安定し価格も落ち着いてきたというが、11月現在でも275円となっている。
「安くても198円くらいだと思うが、それならちょっと良い卵をを買おうかなと思う」(買い物客)
「しかたのないこと。鳥インフルエンザのこともあるし、もう少し落ち着くのを待っている」(買い物客)
仕入れ価格高騰で赤字も
師走の今が最盛期という、札幌東区の「玉一商店」では。
「56年やってきたけれど初めての経験。こんなことが起きるのかと。全国的に鳥インフルエンザが発生して」(玉一商店 古草寛顕 社長)
半世紀以上にわたり、だし巻き玉子を作ってきた玉子焼き専門店だ。
「2022年から2023年にかけて卵の仕入れ価格が何倍にもなったから、6月の決算は赤字が出た」(玉一商店 古草社長)
使用するのは北海道産の新鮮な卵。品薄状態の中でも、幸運にも原料の入荷が途絶えることはなかった。
鳥インフルエンザの被害にあわなかった、北海道北広島市の養鶏場と直接取り引きしていたからだ。
「たまたま養鶏場と直接取り引きをしていたから品物を入れてもらえたが、問屋を通していたら、これはもう終わり。商売できないと思う」(玉一商店 古草社長)
北海道では12月11日までに野鳥から26例の高病原性鳥インフルエンザが確認されている2008年以降、最も速いペースだ。
そんな中、万が一鳥インフルエンザが発生した場合でも、被害を最小限に抑えようという全国初の取り組みがスタートしていた。
「分割管理」鳥インフル対策の救世主となるか
養鶏場を小さな区画に分けて衛生管理をする「分割管理」だ。
「3つに分割した場合1か所で万が一鳥インフルエンザが発生しても、あと2つのエリアが陰性であれば殺処分をしないという大きなメリットがある」(東北ファーム 山本彌一 社長)
2022年12月に高病原性鳥インフルエンザが発生し、国内最多の約139万羽を殺処分した青森県三沢市の「東北ファーム」。
区画を約1.8メートルのフェンスで3つに分割。
車両の出入口を別々にして、それぞれに消毒ポイントや更衣室を設け、餌の搬入や卵の出荷は異なる作業員が行う。
「イメージとしては同じ農場であっても3つのエリアに分けて別農場扱いにするという防止対策だ」(東北ファーム 山本社長)
かかった費用は約3億円。鳥インフル対策の救世主となるのだろうか。