「次元の異なる少子化対策」で政府が進める2025年度からの大学授業料の無償化。11日、盛山文科相は閣議後会見でその具体的な案を公表した。今回新たに分かったのは「子供を3人以上扶養していること」「所得制限はなし」という条件だ。

大学無償化“3人扶養が条件”

盛山文科相は12日の閣議後会見で、就職などで扶養から外れると子どもの数に含まれない考えを改めて示した。

この記事の画像(11枚)

政府の「こども未来戦略会議」で11日に示された少子化対策の具体案は、子どもを3人以上育てる世帯の大学の入学金や授業料の無償化などが柱となっている。

所得制限は設けず、国公立で年間約54万円、私立で年間約70万円を上限に補助する。

12日朝、盛山文科相は「働き出した段階では扶養から離れると思います」と話し、こども未来戦略の案が取りまとめられた後、内容の詳細を固めたいとしている。

「次元の異なる少子化対策」で政府が進める2025年度からの大学授業料の無償化。大きな話題となっていたが、11日、その具体的な案が公表された。

7日の時点では「3人以上子供がいる世帯」「所得制限なし」という条件だった。

今回、新たに分かった条件は次の通り。「3人以上子供がいる世帯」は「子供を3人以上扶養している」に変更。「所得制限はなし」は変わらず。補助は、国公立で入学金約28万円、授業料年間約54万円。私立で入学金約26万円、授業料年間約70万円。

補助の額も大きく、子育て世帯にとっては大きな助けになるが、この「扶養」というところが最大のポイントとなる。

扶養から外れると残り2人が対象外に

Aさん家族をモデルケースとして考えてみる。

Aさん家族は、2023年現在、長女が16歳の高校2年生、私立大学を目指している。長男が13歳中学2年生、次男が10歳小学校5年生、それぞれ3歳差で子供がいる。

制度が始まる2025年度には、長女18歳・長男15歳・次男12歳で、Aさん家族は子供を3人扶養している状態。

長女は、志望私立大学に見事合格。この年は長女の入学金26万円と授業料70万円が補助される。その後、長女は毎年70万円が補助され続ける。

3年後の2028年度には、長女21歳・長男18歳・次男15歳。

長女は大学4年生。長男も無事私立大学に入学し、1年生となる。この年の補助は、2人分授業料140万円と長男の入学金26万円、合わせて166万円となる。

そしてここから、「扶養」という条件が大きく関わってくる。

翌年の2029年度には長女22歳・長男19歳・次男16歳となり、長女は就職、長男と次男はともに進級する。ここで、就職した長女は扶養から外れるため、Aさん家族は扶養する子供が2人となり、補助の条件から外れてしまう。

それでもAさん家族の補助金総額は、長女の4年間で306万円、長男1年間で96万円の計402万円となる。

現在、私立大学に4年間通った場合、入学金・授業料の平均は469万円なので、1人分とまではいかないが、かなりの額になることが分かる。

留年や出席率が低い場合、対象外となる可能性もあるようだ。

他のモデルケースとして、Bさん家族を考えてみる。

Bさん家族は、子供がそれぞれ1学年違いの年子で3人。全員が私立大学に進学すると、3人分の4年間に支払う学費は補助がない場合、平均で1407万円となる。

しかし、今回の制度で708万円が補助されるため、Bさん家族が支払う学費は699万円と半額以下となる。

今回、扶養が条件に入ったことにネットでは「年子で子供産めってこと?」「産むなら三つ子しかないな」「恩恵は実質1人目だけってことか」という声も上がっている。

ちなみに、医学部や薬学部など6年制大学の場合は、最大6年間補助される。

短大、専門学校も対象。大学院は補助の対象にならないものの、子供は扶養に入ったままなので、2人目以降で補助を受けられる可能性があるという。
(「イット!」 12月12日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)