サクサク食感とチョコレートで人気のお菓子「きのこの山」。この形を再現したワイヤレスイヤホンを「株式会社 明治」が開発している。

チョコレート菓子「きのこの山」(提供:明治)
チョコレート菓子「きのこの山」(提供:明治)
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きっかけは2023年7月、架空のグッズを創作するクリエイター・ミチルさんとのコラボ企画で、明治の商品をテーマにした“ありそうでなかった雑貨”をSNSの公式アカウントで発表したことだ。

きっかけとなった「ミチル」さんとのコラボ
きっかけとなった「ミチル」さんとのコラボ

このひとつで「きのこの山のワイヤレスイヤホン」を公開したところ、実現を求める声が相次いだことから、商品化に踏み切ったという。開発中のため、イヤホンのサイズ、価格帯、販売方法などは未定だが、ケースや本体の見た目は「きのこの山」とほぼ同じ。きのこの“かさ”部分にスピーカーがあり、イヤーピースを付けて装着するタイプだ。

開発中のワイヤレスイヤホン(提供:明治)
開発中のワイヤレスイヤホン(提供:明治)

一般的なイヤホンとしての役割のほか、世界の127言語(71カ国の言語と56の方言)を同時翻訳できる機能も搭載予定。2024年春の発売を目指しているという。

明治は食品会社のイメージもあるが、なぜ、イヤホンの開発に踏み切ったのだろうか。

「たけのこの里」はどうなるのか(提供:明治)
「たけのこの里」はどうなるのか(提供:明治)

そして気になるのが「たけのこの里」。同じ企業のチョコレート菓子で“きのこたけのこ論争”と呼ばれるほどのライバル関係だが、なぜ、きのこの山が選ばれたのか。明治の担当者に聞いた。

海外との「言葉の山」を越えたい

――きのこの山のイヤホン開発を進めているのはなぜ?

きのこの山はグローバル進出を飛躍的に進めていく方針です。そこで、同時翻訳機能をつけたイヤホンで弊社商品の海外認知度を上げることにつながればと考えました。きのこの山は現在、海外10カ国で販売していますが、認知度はまだまだ。そこには「言葉の山(壁)」もあります。開発のきっかけはミチル様とのコラボですが、海外の人とも「言葉の山」を越えてコミュニケーションを取り、きのこの山が世界中に広がる足掛かりにしたいと思いました。

耳に装着するとこんな感じ(提供:明治)
耳に装着するとこんな感じ(提供:明治)

――同時翻訳機能はどんなものになる?

実現の可能性も含めて設計中ですが、英語・中国語・韓国語といった世界の言葉でしたり、外国語の方言やアクセントを音声で翻訳するものを目指しています。スマホの専用アプリで翻訳したい言葉を選び、相手とイヤホンを片耳ずつつけると、双方の会話がリアルタイムに翻訳されるモードでしたり、自分が話した言葉を外国語に変換するモードを想定しています。


――イヤホンとしてはどんな機能を備える?

機能は検討中です。ただ、通常のワイヤレスイヤホンのように音楽を聞いたり、ウェブ会議などでも使えるようなものにできればと考えております。

形状を「きのこの山」に近づけたい

――明治は食品のイメージもあるが、開発はどう進めている?

イヤホン開発は初めての取り組みになるため、イヤホン型リアルタイムAI翻訳機を手がける「ウェザリー・ジャパン」様と共同で進めています。デザイン面はミチル様にも監修に入っていただく予定です。

開発中のケースデザイン(提供:明治)
開発中のケースデザイン(提供:明治)

――開発でこだわりたいところはある?

形状をきのこの山にどれだけ近づけられるかですね。きのこの山は立体商標を取得しているので形に関しては妥協したくありません。デザインにもこだわりたいです。細かいですがお菓子のパッケージで「明治チョコスナック」「ほっとひといき」とあるところを、イヤホンでは「ワイヤレスイヤホン」「翻訳機能付き」としています。※暫定デザインなので変更となる可能性はございます。

イヤーピースを付けるとこうなる(提供:明治)
イヤーピースを付けるとこうなる(提供:明治)

――誤食を防ぐような工夫は考えている?

最も注意すべきこととして捉えており、対策を検討しております。現状はイヤホンの先にイヤーピースを付ける設計のため、ここで本物の商品との違いが出ると思いますが、特に小さなお子様の誤飲リスクを防ぐことを念頭に置いて開発を進めていきます。

“たけのこの里派”は影響力に心配

――たけのこの里ではなく、きのこの山を選んだのはなぜ?

きのこの山の投稿が反響を呼んだこともありますが、形状も関係していますね。イヤホンとしての耳への入れやすさを考えると、こちらが適していると感じました。また、たけのこの里は現在海外で販売していないので、まずは、きのこの山でチャレンジしてみようかと。

イヤホンにできるかどうか、形状も関係したという※画像はお菓子の「きのこの山」(編集部撮影)
イヤホンにできるかどうか、形状も関係したという※画像はお菓子の「きのこの山」(編集部撮影)

――人々からはどんな反響が寄せられている?

きのこの山・たけのこの里は面白いブランドで、どちらかが何かすると必ず、もう片方から声が上がります。今回から「たけのこの里はないの?」「(きのこの山派が)たけのこの里の悪口を全世界に発信するんじゃないか」といった、面白いコメントをたくさんいただきました。


――たけのこの里グッズが出ることはないの?

現状はきのこの山のイヤホンに注力しています。ただ、たけのこの里に関しても多くのお声をいただいていますし、私たちもきのこの山・たけのこの里はセットで考えているので、面白いネタは仕掛けていきたいと考えています。



開発の背景には商品の海外展開があった。担当者は「きのこの山・たけのこの里が世界で食べられるブランドになれば」としていたので、たけのこの里を好きな人も応援してほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。