秋篠宮家の次女・佳子さまは、4年ぶりの外国訪問となった、南米・ペルーへの公式訪問を終え「ひとつひとつの出会いや出来事はどれも心に残る大切なもの」と感想を寄せられた。
多くの日系人が暮らすペルーは皇室との繋がりが深い国の一つで、 上皇ご夫妻をはじめ、これまで多くの皇族方が訪問を重ねてこられた。
ペルーと皇室のつながり
日本とペルーは1873年に通商航海の自由を相互に認め、外交関係が樹立。2023年はその年から150年の節目にあたる。150年の間には多くの日本人がペルーへと渡り、第二次世界大戦を経た1958年には皇族として初めて、三笠宮ご夫妻がペルーを訪問された。
この記事の画像(7枚)2023年7月から9月にかけて外務省の外交史料館で開催された特別展「日本とペルー 外交関係樹立150周年」では、当時のご訪問について記された在ペルー大使による文書が展示されていた。
文書によれば、先の大戦後日系人は「ペルー人社会に対し甚だしく遠慮」がちであったものの、三笠宮ご夫妻が滞在中に現地の人たちからも大きな歓迎をうけ、現地の人々の日本に対する認識が急速に変わりつつあることに「非常な感銘を受けたものと認められる」。また、ご訪問は「日系人の士気を鼓舞」するともに、「祖国の再建に安堵の思いをなし、かえってペルー国に安住の覚悟を固め、今後における経済的発展の志をたてるに至ったものと観察される」とある。
その後も、皇太子時代の上皇ご夫妻が訪問されたほか、陛下の妹の黒田清子さん、秋篠宮ご夫妻と長女の小室眞子さんがペルーを訪問し日系人との交流を深めてこられた。
「微笑みのプリンセス」がつながれた深い絆
三笠宮ご夫妻のご訪問から65年が経った今回の佳子さまの訪問は、現地でも連日報じられ、「微笑みのプリンセス」とも称された。
佳子さまは滞在中、日本人の移住から100周年を記念した碑に花を供え、記念式典では「幾多の困難や哀しみを乗り越え、誠実に、勤勉に、お互いに助け合いながら日々を過ごしてこられたことを、そして、ペルー社会から信頼を得ながら、ペルー社会に貢献してこられたことを、改めて心に刻み、これからもしっかりと心にとどめてまいります」と述べられた。
また、日系1世との懇談では、17才でペルーに渡った104才の女性の手を取りながら、これまでの苦労に耳を傾けられた。日系以外の子供たちも通う学校を訪れ、日本語を学ぶ小学生と交流し、深い絆を次の世代へと紡がれた。
佳子さまは11月27日、訪問の感想を文書で寄せ「ひとつひとつの出会いや出来事はどれも心に残る大切なもの」と滞在を振り返られた。
日本とゆかりのある人や場所などを多く訪ねた今回の訪問を通じ、「多くの方々が日本とペルーの架け橋になってこられたこと、多岐にわたる分野において両国が深い繋がりを持っていることを感じました」と綴り、「日本とペルーの友好親善関係がより一層深まることを心から願っております」と結ばれた。
また、11月17日には両陛下への報告のため御所を訪れ、大統領からのメッセージを伝えられた。懇談には長女の愛子さまも加わられ、日系人との交流やマチュピチュ遺跡の印象などについて熱心に耳を傾け、佳子さまを労うとともに、和やかなひとときを過ごされたという。佳子さまから両陛下と愛子さまへ、現地での交流や思い出が共有され、皇室とペルーとの絆はまた大切に紡がれた。
(フジテレビ社会部宮内庁担当 高沢真澄)