かつてインカ帝国の中心地として栄えた南米ペルー。
南米で日本人の集団移住を最初に受け入れた国で、現在約20万人の日系人が暮らしています。
秋篠宮家の次女・佳子さまは、11月1日から10日間の日程でペルーを訪問されました。日本とペルーの外交関係樹立150周年にあたり、友好親善を目的とした公式訪問。佳子さまにとって、オーストリア・ハンガリー以来4年ぶりの外国ご訪問となります。
ペルーの魅力や素晴らしさを深く知りたい
首都リマにある外務省トーレタグレ宮で行われた政府主催の記念式典に出席された佳子さま。おことばの中で、ペルーとの関わりについて触れられました。
この記事の画像(14枚)《佳子さま おことば》
「私の両親は10年前の外交関係樹立140周年の機会に、私の姉は4年前の日本人移住120周年の機会に、それぞれペルーを訪問しており、3人から、折に触れてペルーの思い出を聞いておりました。家にはペルーの本やアルパカのぬいぐるみがあり、ペルーの音楽を楽しむ機会も多くありました。私もペルーに親しみを感じ、いつか訪れたいと願っておりましたので、今回訪問が叶い大変嬉しく思います」
そして「今回の訪問を通して、両国の歩んできた歴史に思いを馳せるとともに、それぞれの訪問先でお会いする方々と交流を深め、ペルーの魅力やすばらしさをより深く知りたいと思います」と述べ、最後に「ありがとうございました。ムーチャス・グラシアス」とスペイン語で挨拶されました。
リマの大統領府に赴いた佳子さまは、ペルーで初めての女性大統領、ボルアルテ大統領を表敬訪問されました。
大統領からの歓迎のことばに「お会いできて光栄です。お招きいただきましてありがとうございます」と応え、天皇皇后両陛下からのメッセージを伝えるとともに、両国の友好親善関係がこれからも末永く続いていくことを願いますと話されました。
日系人の歴史とペルーの豊かな文化に触れられて
佳子さまは日系人の歴史やペルーの豊かな文化にも触れられました。
リマのマルテ広場にある「日本人ペルー移住100周年記念碑」。明治32(1899)年に「佐倉丸」という船で太平洋を渡り、初めてペルーに移住した790人の名前が刻まれています。幾多の困難や悲しみを乗り越え、ペルーの日系社会を築いてきた人々に思いをはせた佳子さまは、バラやユリなどをあしらった花輪を供え、深く拝礼されました。
日系人の交流の場、日秘文化会館を訪れ、日系1世の新垣カマドさん(104)と面会した際には、ひざを折って新垣さんの手を握られた佳子さま。
4年前に眞子さんとも会っている新垣さんから「日本からおいでになられた?」と問われ、「はい、日本からまいりました。お元気でいらっしゃいますか」と応えられました。
17歳だった昭和11(1936)年に沖縄からペルーに渡って以来、苦労を重ねてきた90年近い日々を振り返る新垣さんの話に5分近くじっと耳を傾け、佳子さまは「ありがとうございます。お会いできて本当によかったです。うれしいです。どうぞお元気でお過ごしください」と声をかけられました。
15世紀のインカ帝国時代に、アンデス山脈の標高2400メートルの場所に建てられ「空中都市」とも呼ばれているペルー南部の世界遺産・マチュピチュ遺跡。
その雄大な景色を堪能された佳子さまは、取材陣に感想を問われると「すごく壮大な景色で、写真では拝見したことがあったんですけれども、この場に立ってみてみると『おぉー』という感じがすごくします。何かこう、すてきな空気を感じます」と述べられました。
遺跡を視察後、マチュピチュ村役場でラトーレ村長と懇談し「この度、マチュピチュ村を訪問できましたことを大変うれしく思っております」と挨拶されました。
この村の初代村長は、福島県大玉村から移住した野内与吉さんです。その縁で、大玉村とマチュピチュ村が友好関係を築いていることに触れ、「長く続くことを願っております」と伝えられました。
インカ帝国の都・クスコにあるサクサイワマン遺跡では、アルパカ15頭がお出迎え。
胸にアルパカのペンダントをつけた佳子さまは、かつてアルパカは荷物運搬に使われたという説明に、「何キロまで運ぶことができたんですか」「走る速度はどれくらいですか」などと尋ねられました。
また、巨大な石組みの遺跡の中でもひときわ大きい高さ7メートル、重さ120トンある「最大の石」を見上げ、「重さはどのように測られたんですか?」と尋ね、また石を積み上げた方法についても興味を示していらっしゃいました。
佳子さまは、様々な場所で子どもたちとも触れ合われました。
1カ月半かけて練習されたペルーの手話
リマ市内にあるルートビッヒ・バン・ベートーベン初等特別支援学校では、耳の不自由な子どもたちからの歓迎を受け、お礼を述べられた佳子さま。
使われたのは、日本ではなく現地・ペルーの手話で、現地からビデオなどの教材を取り寄せ1カ月半かけて練習されたといいます。
《佳子さま ペルーの手話で伝えられたお礼の言葉》
「おはようございます。皆さんにお会いできて非常にうれしいです。ここに来られて本当に幸せです。私のためにいろいろと準備してくださり、本当にありがとうございます。準備していただいたことに、愛を込めて心から感謝いたします。皆様、お一人お一人に感謝の気持ちをお伝えします。ありがとうございます」
この後、小学4年生の算数の授業にも参加し、割り算を解く子どもに「算数は好きですか?」などと手話で質問されました。子どもたちは「なんでプリンセスはペルーの手話ができるの?」と驚き、大喜びしたといいます。
ペルー各地で多くの人から歓迎を受けられた佳子さま。
笑顔で交流される様子を、現地メディアは「微笑みのプリンセス」と報じました。日に日に訪問先に出迎えの市民は増え、「プリンセス・カコ!」という呼びかけにも、笑顔で応えられました。
リマ市のラ・ウニオン運動場は、ペルーの日系人協会が寄付を集めて設立しました。その一角の日本庭園に、4年前、姉の眞子さんが植えた松の木があります。その木の近くに、佳子さまは、同じく松の木を植え、日本とペルーの友好関係がさらに深まることを願われました。
搭乗した飛行機の機体のトラブルなどで経由地で足止めとなり、丸一日遅れての到着となりましたが、予定を変更しつつ、当初予定していた20以上の行事に全て出席された佳子さま。ペルーへの理解を深め、大切な思い出を紡がれました。
(「皇室ご一家」11月19日放送)