長野県中野市は大雪で空き家が倒壊し、近隣に危険が及ぶ可能性があるとして、「行政代執行」で空き家の撤去を始めた。市は所有者に再三、撤去を求めてきたが、応じなかったという。「空き家問題」は、中野市に限ったことではなく、各自治体が頭を悩ませている。
近所に危害を加える恐れ
中野市更科にある空き家。
原形がわからないほどに崩れている。2022年の大雪で倒壊したという。
長く放置されてきたが、11月29日から「行政代執行」で、撤去に向けた作業を始めた。

中野市都市計画課の小林雄一課長は、「道路を利用している方、近所の方に危害を加える恐れがある状態なので、私どもとしても手を打たなければいけないと考えた」と説明した。
この物件は、市内に住む男性の所有だが、3年前から空き家に。
倒壊した後、市は再三、撤去を求めたが、所有者は応じず、放置されてきた。

近隣住民は、「前々から瓦とか落ちていたから危険だったことは確か」、「風が吹くと土壁の埃が高いところから舞い降りてくる状況なので、洗濯物に埃がかかったりして洗濯物は外にできない」と、危険な上に住環境への影響もあったと話す。

撤去要請に応じず、手つかず…
一方、岩船地区に空き家も2022年の大雪により倒壊。
すでに壁の一部は隣の住宅の敷地にも入っている。
ただ、県外に住む所有者は、市の撤去要請に応じず、手つかずのままとなっていた。
市は、2戸の空き家について「保安上危険になる建物」として「特定空き家」に認定。
今後、撤去に向けた準備作業を始め、年明けから本格的に撤去を始める予定だ。

自治体悩ます「空き家問題」
市が把握している空き家は1033戸。このうち「特定空き家」はこれまで4戸確認されていて、行政代執行で撤去に乗り出したのは今回が初めて。
撤去にかかる費用は合わせて1000万円余りで、市はそれぞれの所有者に請求するとしている。
(※撤去費用 更科440万円 岩船594万円)

小林課長は、「建物の所有者は適切な管理をするのが大事。空き家に関して困ったことがあれば空き家の相談所とか直接、来庁して相談していただければ活用方法等について一緒に対応していきたい」と呼びかける。
空き家問題は中野市に限った話ではない。県内では2018年の調査で19万7000戸の空き家が確認されていて、各自治体などが対策に頭を悩ませている。

(長野放送)