11月29日は語呂合わせで「いい肉の日」。
肉といえば、やっぱり焼肉だが、想像よりも“ナナメ上”に進化した「焼肉店」が存在する。
「焼肉店なのに一番人気が煮魚な焼肉店」「巨大焼肉メニューがある焼肉店」、「モクモク煙だらけ焼肉店」など、“ナナメ上”な「焼肉店」を取材した。
まずは、ひと味変わったこだわりを持つ焼肉店から。
変わったこだわりを持つ焼肉店3選
東京・新宿にある「東京焼肉・黒木」は最新技術と焼肉を融合させた進化形焼肉店だ。

店長の保坂悠季雄さんは「この空間で食と映像、最初から最後までアトラクションに乗っているようなイメージで楽しんでいただく」と話す。
それは、お店の一番奥にある隠し扉の先、2部屋だけの特別空間。
席に着くとテーブルの上にプロジェクションマッピングが投影される。

これから食べる肉の部位がわかる部位マップや、肉を焼く気分を盛り上げる炎の演出など、食べるだけではなく、見て楽しい焼肉店だ。

東京・人形町にある「MANZOVINO(マンツォビーノ)」は、本場イタリアのミシュラン一つ星レストランで修業を積んだオーナーシェフによる、イタリアンと焼肉が融合した新感覚の焼肉店。

一番人気の「ボッタルガネギタン」(3980円)は、牛タンの上に刻みネギと、たっぷりのイタリア産からすみを乗せた一品だ。

さっと焼いて、刻んだエシャロットの食感が楽しめる「エシャレモンソース」で食べる。
他にも、ハラミに辛いアラビアータソースをからめてチーズを乗せた「ハラミアータ」(3100円)や、焼いたタンに特製ジェノベーゼソースをかける「タンジェノバ」(1980円)など、ネーミングもイタリアンな新感覚焼肉を堪能することができる。

大阪にある焼肉店「イナカヤ」は“焼かない焼肉”がウリのお店だ。

店主の田中竜平さんは「食品メーカーさんが開発された『さしみーと』と言われるもので、独自の加工技術で加工しており、限りなく生に近い状態でお肉本来の味や食感が楽しめるものとなっております」と話す。

“刺身”と“ミート”を掛け合わせて「さしみーと」。

最新の低温加熱技術により、タン、サガリ、豚バラなど全7種類の生肉に近い食感や味わいが楽しめるという。
さらに、ちょっとナナメ上な焼肉店もある。
焼肉店なのに…煮魚が一番人気の焼肉店
鳥取県にある「焼肉 釜山(ぷさん)」。

店主の中谷英昭さんが厳選したハラミ、カルビ、塩タンのほか、ランチ限定メニューのきれいなサシが入ったロース定食などが人気のお店だ。

そんな中、一番人気を頼むと出てきたのは「煮魚定食」。
もはや「肉」でもなければ、「焼き」でもない。

しかし他の客も「煮魚定食」を連発する。
「めっちゃフワフワ!すごくフワフワでおいしい!」と、客らは魚定食を大絶賛。
店主の中谷英昭さんは「元は船に乗っていて、松葉ガニやカレイをとったりしていた。『おいしいですよ』と言って提供しています」と話す。

漁師の経験を生かした確かな目利きを武器に、独自のルートで新鮮なおいしい魚を仕入れ、「カレイの煮付け定食」以外にも「塩サバの焼魚定食」も人気なのだという。
魚の方がよく注文される焼肉店。

魚と焼肉、どっちを注文してくれた方がいいのか聞いてみると「そりゃ焼肉の方がいいですよ!単価が上がるし。でもお客さんが『おいしいなぁ』って言ってくれたらなんでも食べさせてあげたいし、お客さんの笑顔がやっぱり見たい」と店主・中谷さん。
“お客さんファースト”な、魚がおいしい焼肉店だ。
続いては、お肉の大きさにこだわる焼肉店。
大きすぎる肉の焼肉店
東京・渋谷にある「焚火家(たきびや)」の、旨みたっぷりの赤身肉を積み上げたメニュー「エベレスト」。

さらに大阪市にある「肉焼屋 野田福島店」の30センチを超える巨大ハラミなど、大きさにこだわった焼肉を出すお店は多数ある。

しかし、東京・池袋の中華料理店「聚福楼(じゅふくろう)」には、誰もが驚く巨大焼肉メニューがあるという。

五目チャーハンやエビチリ、水餃子など王道中華がメニューに並ぶ中、一番人気というのが、重さ約1.3キロもある、「羊の前足焼き」(5808円)だ。

店主の山本晶さんが「中国の東北では羊の丸焼きをよく食べます。日本のみなさんにも食べてほしくて始めました」と話す、中華料理店ならではのこだわりの焼肉。
注文した客はあまりの大きさに、ついつい写真を撮ってしまうほど。

一通り、写真を撮り終えたら店員さんがお肉を食べやすい大きさにカットし、網で焼いてくれる。
羊肉は厳選されたオーストラリア産で、辛みそをベースにりんごやゴマなどをブレンドしたオリジナルのタレと、クミンなど約10種類が入った特製スパイスで食べる。

「脂っこくなくて、さっぱりしていておいしい。臭みがないんですよ!むしろめちゃくちゃ匂いがいい!」と、客も大満足の様子だ。
続いては、コスパにこだわりすぎた焼肉店。
コスパ最強も…モクモクな焼肉店
東京・月島駅を出てすぐの焼肉店「大阪鶴橋焼肉WabiSabi DX.(ワビサビ デラックス)」。

昭和の雰囲気漂う店内は住宅を改装して作られたといい、上質な国産黒毛和牛を昔ながらの卓上ガスコンロで焼き上げるスタイルだ。

店長の宮川冬和子さんは「A5ランクの黒毛和牛を使っていて、とにかく良いお肉を安く提供したいという価格を重視してうちはやっています」と話す。
例えば、このきれいなサシが入った70グラムのサーロインが1枚549円。

店長・宮川さんがオススメする「和牛カルピ ~とわ子盛~」は、約20切れで1899円。
確かにリーズナブルだ。

独自のルートで牛肉を仕入れているため、価格を抑えられる面もあるそうだが、安いのはそれだけではなかった。
「お肉を安く食べていただくために、設備代をなるべく最小限にして、コストを抑えてやっています」と店長・宮川さん。

例えば、店内にあるテーブルは、知人に格安でDIYしてもらったものだといい、ロースターも昔ながらの卓上ガスコンロを採用することでコストを削減しているという。
さらに、店内を見てみると、通常の焼肉店にはあるもの、煙を吸うための「排気ダクト」がない。
これでは洋服にニオイがつき大変そうだと思うが、独特なアイデアで乗り切っているという。
オープンすると続々とお客さんが来店。
すると、あっという間に店内が煙だらけの状態になってしまった。

ここで登場したのが、雨がっぱと(110円)とヘアキャップ(15円)、そして無料の溶接マスクだ。

気づけば、店内はフル装備の人ばかりが続出し、焼肉店で見かける光景ではないような気もするが、客らは「楽しいですね!アミューズメント的な感じで」と、この状況を楽しんでいるんでいる様子。
「うまい!安い!煙い!」が生み出す、アットホームな焼肉時間。
そこには、店主の“ある思い”があった。
「父から聞いたんですけど、父が小さい頃に連れられて行っていた昔の鶴橋の焼肉屋さんがみんなでワイワイお肉をつつきあっていた。それがすごく楽しかったみたいで、キラキラした時代だった鶴橋の焼肉屋さんを再現したいと、そんな思いが込められているお店です」(店長 宮川冬和子さん)
煙モクモクの中で雨がっぱを着て食べる極上の焼肉。
心躍らせる新感覚の体験をしたい方は食べに行ってみてはいかかでしょうか。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年11月28日放送)