初対面の子猫を怖がらせないよう工夫する柴犬の行動が「優しさが溢れている」と話題になっている。

YouTubeに動画を投稿したのは、2匹の柴犬と8匹の猫たちと暮らしている「R村の柴ねこ」さん。
動画には、8匹のうち一番新しく家族に加わった「リサ」ちゃんと「リナ」ちゃんという2匹の女の子の保護猫と、先住犬である「リコ」ちゃんが今年9月に初顔合わせに臨んだときの様子が映っている。

柴犬のリコちゃんは「猫ちゃんの性格に合わせて接し方を変えるスペシャリスト」なのだそう。リコちゃんはまず、子猫2匹が入ったケージにそっと近づき、様子をうかがうように鼻をクンクン。
2匹が毛を逆立てて怖がっている様子を見せると、すぐにケージから離れていった。

そしてリコちゃんがケージから離れると、今度は子猫のリナちゃんが自らケージを出た。ケージから離れた場所で待機していたリコちゃんは、そんなリナちゃんのもとにそっと近づくと、まるであやしているかのように鼻を寄せる。

今度は、飼い主さんにだっこされたリナちゃんの足を優しくなめるリコちゃん。しかしペロペロと何度もなめたり、ぐいぐいと近づいたりはしないところに子猫を怖がらせないように気遣っているような様子が見てとれる。

一方のリサちゃんはまだケージの中。すると子猫2匹がまだ怖がっていると感じたのか、リコちゃんはさらなる“気遣い”を見せたのだ。

先ほどまでリナちゃんを温かく見つめていたリコちゃんだが、今度はケージから離れた場所に「ふせ」をして、子猫と視線を合わせないように遠くを見つめはじめた。
自分を見ていると感じ取ると視線をそらし、視線が外れるとじっと見つめる、という動きを繰り返すリコちゃん。
子猫にプレッシャーを与えないようにしているようなリコちゃんに「大丈夫なのかな?」と感じたのか、リサちゃんもおそるおそるといった様子ではあるもののケージから顔をのぞかせた。

そしてリサちゃんがケージから出ても視線をそらし続けるリコちゃん。やがてリサちゃんも安心したのか、リコちゃんの目の前で「おすわり」ポーズになったのだった。

最初に近づいてきたリナちゃんには一緒に遊ぶようなしぐさやペロペロとなめるフレンドリーな対応。一方、怖がる様子を見せていたリサちゃんには、安心させることを優先するような静かな対応。たしかに、猫たちの性格に合わせて接し方を変えるリコちゃんのテクニックを感じる。
動画には「愛情が深く優しさが溢れてる」「怖がらせないように、どうしたらいいか知ってるねぇ」といったコメントや、これまでにもたくさんの猫たちを家族に迎えて、今や猫たちの“ママ”のような存在だというリコちゃんに「リコママ神対応」「リコママの優しさに涙が出ちゃった」と、感動する声が続々寄せられ、動画は91万回を超える再生数となっている(12月8日現在)。
4回目の“初対面”で気遣いを確信
まさに「スペシャリスト」なリコちゃんだが、犬2匹猫8匹という大家族になるまでに、どうやってこのテクニックを身につけたのだろうか? 飼い主の「R村の柴ねこ」さんにお話を聞いた。
――今回の動画に登場していた3匹について教えて
リコ…2015年3月に出会った保護犬です。保護した時は成犬でガリガリに痩せ、虐待されていたと思われる状態でした。年齢は不詳です。性格は、天然。猫たちに何をされても怒らない、優しい性格です。
リサ…2023年9月18日に神社に2匹で捨てられているのを発見し、保護しました。その時生後1カ月くらいと思われます。性格は臆病で警戒心がとても強いです。
リナ…リサと同じく、9月に保護しました。性格は好奇心旺盛で、物怖じしないおっとりタイプ。飼い主や柴犬の上に乗ったり、ボール遊びなど大好きです。

――リコちゃんが猫との「初対面」を任される場面は、これまでにどのくらいあったの?
2018年に「リリ」と「リム」という猫2匹を保護した時から始まり、今まで計8匹の子猫と対面をしてきました。回数で言うと、計7回になるのでしょうか。
我が家の柴犬のリキとリコは、怒って吠えたり、威嚇したり、噛み付いたりした事が1度もない優しい性格のワンコです。そして、積極的に子猫のお世話をしようとしてくれるのがリコです。

――リコちゃんが「子猫を見て対応を変える」ワザを身につけたのはいつから?
私たちが確信したのは、2020年に保護した子猫「リノ」の時(4回目の初対面)です。リコはリノの前に4匹の子猫と対面してきました。これまではグイグイと子猫の顔をぺろぺろ舐めたりしていたのですが、リノは、子猫の頃病気もあり当時目が見えず、とてもリコを怖がりました。リノが怖がるのを見て急に距離を置き、リノから近づきやすい様に接してくれていました。

――リコちゃんのそんな様子をどう思った?
人間でもできない人もいる中、すごく優しい気遣いに感動しました。

――リコちゃんは普段から猫たちの性格ごとに接し方を変えているの?
リコが猫それぞれの性格に合わせて接してくれるのは、日常からです。黒猫のリオ君はやんちゃで遊び好き。ニャンプロ(※猫同士のプロレスごっこ遊び)大好きなので、リコと一緒に遊んだりしています。
“長女”の猫・リリはしっかり者ですが、甘えん坊でリコのお腹で寝るのが大好き。リリが一緒に寝たそうにすると、リコは場所をあけてあげて一緒に寝ています。
触れられるのが苦手なリムには無理せず距離をあけて見守ってくれます。リノは顔をぺろぺろとなめてもらうのが大好きで、リコにおねだりすると、リコが寝ていてもぺろぺろしてあげています。

――その後、2匹の子猫は先住犬・猫たちと馴染むことができた?
現在はみんな同じ場所で暮らしており、追いかけっこをしたり、遊んだりしています。リナは、初対面が終わるとわりと早くに馴染んでくれました。リサは警戒心がつよいので、徐々に慣れてくれていますが、現在進行中です。
リナはリコに甘える事も増えてきました。 リサも、初めの威嚇から考えると凄く慣れて来ていると思います。

――ちなみに、もう一匹の柴犬・リキくんはどんな対応を?
リキは優しく怒らず、吠えず、噛まず、不器用でビビり君な性格です。でも子猫や、猫たちが大好きで、ちょっと離れた距離からいつも見守ってくれています。
そんな性格だから、猫たちもリキが好きで、ちょっかいかけたりしています。子猫に対してはリキなりに頑張って接してくれたと思います。リサはそれでも怖がっていました。

――リコちゃんの子猫たちへの対応には、大きな反響がありましたが…
リコは過酷な経験をしてきたのですが、とても愛情深く猫たちが何をしても怒らず(子猫がリコの口の中に顔を入れてもおこりませんでした)優しい性格です。
過去の子猫たちが家族になっていく様子をずっとYoutubeで動画配信しています。 それを見てくださっている方々の意見、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

飼い主さんいわく、子猫たちとの初対面時だけでなく「その後の対応もとても優しく、いつも見守ってくれている」というリコちゃん。
大家族の優しい“ママ”なリコちゃんがいてくれるからこそ、猫たちも安心して家族の輪に加わることができてきたのだろう。
これからもたくさんの家族と優しさいっぱい・元気いっぱいに暮らしてほしい。