広島の路面電車として知られる広島電鉄は、11月23日に開業111周年を迎えた。記念イベントでは、応募した一般の人が路面電車を実際に運転することも。鉄道ファンの野川アナウンサーが取材した。

6倍の狭き門を潜り抜けた12人

一般の人が電車を運転するイベントは、広島電鉄では初めてだ。広島市の西広島営業所には、当選倍率およそ6倍の狭き門をくぐり抜けた“鉄ちゃん”12人が集まった。

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野川諭生アナウンサー:
今回、運転体験に使う車両というのは、もしかしてあれですか?
広島電鉄 人事労務課 酒井悠也 係長:
そうなんです。あちらの3950形

酒井 係長:
コースとしては、このまままっすぐ進んで頂いて、あちらの洗車場。停止と書いてある看板まで。およそ40m位ですね、運転をしていただく形になります。平日は電車を洗う場として使っているのですけれども、今回は特別にあちらを使って

野川アナウンサー:
よく見れば確かに、あそこに水道のホースが見えますね

このイベントは110周年を迎えた広島電鉄が、11月23日に111周年を迎えるにあたって利用者に喜んでもらうために1年間温めてきたイベント。

時速5kmで40m走行

まずは本物の運転台を使って運転士がお手本を示す。
広島電鉄 武田英之 運転士:
鍵を右に回します。回したら、このATS(自動停止)装置の警報が鳴るので、この蓋をめくって一番左のスイッチをパチンと、ATS警報を切る。逆転器を前進側に入れます。圧力よし。表示灯よし。出発進行!で、出発します

運転体験の一番手は神奈川県から参加した船倉さん。
船倉 翔一朗さん:
圧力よし!表示灯よし!

運転士の監督のもと、電車が動いた! 車両はこの日のために、性能を抑えた特別仕様で、思う存分、マスターコントローラーを操作できる。40mをおよそ40秒。これが4回できる。

船倉 翔一朗さん:
やっぱりすごく緊張もしたんですけれども、実際に自分が操作した通りに動くというのが、本当に体感として分かったので。すごく楽しかったですし、1回と言わずまた体験したい

参加者の中には、女性の姿も。電車への愛は年齢、性別を問わない。

ディレクター 伊藤 美保さん:
いやー、やっぱり緊張します。いやちょっとビビりすぎました

そして運転を待っている間に、車掌の体験も。ドアを開けたり閉めたり、実際の車掌さながら、マイクを片手に自由にアナウンスもできる。

続いての運転士は、このイベントの参加者で最年少、小学校4年生の岩崎 浬久(りく)くん。

広島電鉄 武田 英之 運転士:
これ一番左をそう、そう。それでここの圧力よし
岩崎 浬久くん:
圧力よし
武田 運転士:
で、これ両手でしっかり握ってここのB4まで持ってきてください。結構固いのでそうそうそう。これで、表示灯よし
岩崎 浬久くん:
表示灯よし

武田 運転士:
で、あれ指さして出発進行
岩崎 浬久くん:
出発進行!
武田 運転士:
そうそう、そしたら動く。B1に入れてみて、で、もう1回。で、1に弱めて。そしたら大体止まった。ちょっと手前なくらいで、やり方はあんな感じ

母親:
すごく楽しみにしていたので、頑張っているなと思って見ていました。広電に乗って育ってきたので、息子の運転で乗れるとは思っていなかった

岩崎 浬久くん:
次は遠くでブレーキをやらずに、ちょっと近めにブレーキをしようということに集中しようと思いました

停止位置との誤差を計測

さらに、2回目と4回目の運転では、所定の停止位置に電車を止めることが出来たのか、その誤差の距離を計測。リアルの「電車でGO!」だ。

スタッフ:
お!3センチ。すごーい!

広島電鉄史上初の運転体験会はおよそ2時間。そしてその裏で実は野川アナウンサーも車掌体験を特別にさせてもらった。

野川アナウンサー:
えー、この電車まもなく到着いたします。扉開くまでお待ちください

また、23日、広島市の別の車庫では、新旧車両や部品交換をする現場が一般公開された。

Q:きょうは何が一番楽しかった?
来場した子ども:
電源の点検のとこかな。大きい隣に小さいCDみたいな車輪があって不思議だなあと思った

広島県外の鉄道会社もブースを出展し、グッズや中古部品の販売には長い列ができた。
広島電鉄によると、2022年の周年イベントを上回る盛況ぶりだったということだ。

(テレビ新広島)

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