FNNが関係者から入手した、宗教団体「エホバの証人」が子どもに輸血を受けさせないよう、信者に促していることがうかがえる内部文書。新たに入手した文書には、「自分で考えて決定してください」と、本人が判断することを強調する文言が新たに加えられていた。しかし、両親がエホバの証人の信者という男性が取材に応じ、「拒否することは絶対無理だ」と語った。

「輸血以外のあらゆる方法を駆使して」の文言

FNNが関係者から入手した内部文書のタイトルは、「妊娠中の女性のための情報」。

FNNが入手した、教団幹部に指示した内部文書
FNNが入手した、教団幹部に指示した内部文書
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教団幹部に指示したこの文書には、早産で生まれた赤ちゃんについて、「医師に輸血以外のあらゆる方法を駆使して治療を受けられるようにお願いしてください」と記されている。

深刻な黄疸になった場合の対応文言
深刻な黄疸になった場合の対応文言

また、赤ちゃんが深刻な黄疸(おうだん)になった場合の対応については、「輸血以外の方法でどう治療できるか医師と相談してください」と書かれている。

親による子どもへの輸血の拒否をめぐっては2022年12月、厚生労働省が虐待にあたるとの指針を出している。

信者が輸血拒否を「自分で考えて決定」は難しい

新たに入手した文書は、2023年8月に改定されたもので、「あなたの代わりに決定するためのものではありません。自分で考えて決定してください」と、本人が判断することを強調する文言が、太文字で新たに加えられていた。

しかし、両親がエホバの証人の信者という男性は、この文言があったとしても、信者が輸血拒否を拒否するのは難しいと話す。

男性は、10歳の時心電図に異常が見つかり、心臓の内部に穴が開いていることが判明した。

医師からは、手術をするなら今がベストと告げられたが、信者である両親は手術を拒否したといい、「手術するにあたって、輸血の同意書にサインしなければいけない中、治療も延期という形になりました」と語る。

今回入手した文書に「自分で考えて決定してください」と記されていることについて男性は、「僕の感覚から言えば、この言葉(自分で考えて決定)があるからって、(輸血拒否を)拒否することは絶対無理だと思いますね」と語った。

弁護団が会見「むち打ちされた」経験 9割

こうした中、2世信者などを支持する弁護団が会見を開き、元信者らへのアンケートで「むち打ちをされたことがある」と答えた人が9割にのぼったことを明らかにした。

2世信者などを支持する弁護団 田中広太郎弁護士
2世信者などを支持する弁護団 田中広太郎弁護士

また、輸血拒否についても田中広太郎弁護士は「ここまで子どもの輸血拒否に固執するのか、子どもが本当に死ぬかもしれない状況が起きたときに、その点についての重要な改善点なども考えるべきであると思っております」と、改善を訴えた。

エホバの証人は、「出産に関してまれに生じる緊急事態でも、熟練した医師たちは患者の意思を尊重し無輸血で対応できるように備えています」などとコメントしている。
(「イット!」11月20日放送)

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