最近、多発しているホストクラブがらみの事件。

トラブルの原因の一つが「売り掛け」、いわゆるツケ払いで、これについて国会で議論されるまでの問題になっている。

自身もホストクラブで大金を使った経験を持ち、ホストにお金をつぎ込んでいる女性の取材もしているライターの佐々木チワワさんに話を聞いた。

「応援しているホストに高額を使った」

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Q.佐々木さんもホストで大金を使ったことがあるそうですが、その時は、どういった心境や状況でお金を使うことになったんですか?

佐々木チワワさん:
ホストと会ってお店で楽しく飲むとだいたい5万円前後、楽しくなってシャンパンをおろすと10万円以上という会計になるのが相場感です。それ以上に担当しているホストを応援したいとか、今月の売り上げナンバー1になりたいと(ホストに)頼まれた時に、ある程度好きで応援している担当ホストだったので高額を使ったということは実際にあります

そのように金額がどんどん上がっていって、「売り掛け」いわゆるツケ払いにつながるということだが、その規制について国会でも議論されている。佐々木さんは 「売り掛けを禁止にしている店もチラホラ出てきている。売り掛けを全面禁止にすれば、健全化できるかもしれない」と考えている。

Q.全面禁止にすればいいということですか?

佐々木チワワさん:
全面禁止すれば“もしかしたら…”とは思います。しかし結局、売り掛けを禁止にしてもホスト個人が女の子にお金を貸してという、個人的なお金のやり取りになってしまうことが考えられます。もしホスト側が自腹を切るということがもともと禁止だったとしたら、売り掛けをさせるというハードルがある程度下がるのではないかと思います。それでも売り掛けを推奨していく店舗は“悪質店”という風になっていくので、そうすると悪質な店舗がだんだんと排除されていくのではないかなと思います

売り掛けの規制について“さまざまな意見”

売り掛けの規制に関して他には、こんな意見も…。

悪質なホストの被害者を支援する団体は、25歳以下の青少年に対しては「売り掛け禁止条例」を作るしかない。

法律の専門家、菊地幸夫弁護士は「年齢や金額を区切るのは、人それぞれなので簡単ではないが、好意を不当に利用した契約を取り消す法律を活用することも…」と話した。

視聴者からはLINEで、「売り掛けの限度額を決められないでしょうか?」という意見がきた。

さまざまな意見がありますが、条例などで規制することはできないのか。

番組コメンテーターの元兵庫県尼崎市長・稲村和美さんは「条例で金額などをきっちりと監視できるのかという実行力の担保が課題になると思います。ただ、例えばクレジットカードにも限度額があり、ローンを組むには収入に見合ったローンになっているかというのを普通、査定します。そういう仕組みがなく個人間での貸借関係が発生してしまうというのは、規制が必要なのではないかと感じます」と話した。

Q.限度額を決めるということはできないのでしょうか?

佐々木チワワさん:
ホストとお客さんの個人間なので非常に難しいと思います。女性側が「何で売り掛けをさせてくれないの、私にそんなに信頼がないの?」と逆切れするようなパターンもあったりします。結局お金である関係だからこそ、借金でも何かしら負債があるとつながっていられるといった側面が売り掛けにはあります。歪な信頼関係が生まれてしまっているところがあります

“いいお店”とは

自分の経済力に見合った売り掛けをする、限度額の中で応援するというのならよいが、売り掛けだと無条件で掛け金が増えてしまう恐れがある。既存の仕組みと、うまく組み合わせて個人間の売り掛けを禁止にしていくことで、その範囲内で営業しているところが、本当にお客さんのことを考えてくれているお店・ホストなのではないか。

佐々木チワワさん:
ホストが無理やり売り掛けにしようとしても、お店側がとめたり、お客さんの支払い能力を見るお店が“いいお店”です。(店側は売り掛けの回収方法として)ホストが自腹を切るということはホストクラブ経営者のお客さんはホスト個人です。そういう意味で、売り掛けを安易に勧めるお店を悪質店とみなして、ちゃんと取り締まっていくことで健全化されていくのではないかと思います。一つ主張させていただきたいのは、よく若い女性がだまされて貢がされてといわれますが、ホストも18歳から働ける若い男性です。なので保護すべきは男女ともにということです。若者の夢や売り上げナンバー1になりたいという気持ちを利用して、売り掛けでもいいから売り上げを上げろという店舗も存在するので、まず店舗に対する規制にして、ホストへの偏見がない議論が進めていけるといいなと思います

問題が大きくなった背景には“ホストバブル”

ここで、視聴者からのLINE質問。

Q.昔からホストクラブの問題があったはずなのに、なぜ今、問題が大きくなっているのでしょうか?

佐々木チワワさん:
いまホストバブルといわれていて、ここ4年間で歌舞伎町だけでも30~40店舗ぐらいホストクラブが増えています。そして、もともとクローズドな世界で行かなきゃわからなかったものが、TikTokでたまたま流れてきたり、SNSでイケメンだと思ったらアイドルじゃなくてホストだったということもあり、店に入る抵抗感がなくなってきています。ホストクラブは1~2万円から入ることはできます。そこから相手に好かれたい、もっと応援したいという風に“はまる”ケースも多くなって、すそのが広がっているというのが大きいと思います

(関西テレビ「newsランナー」2023年11月10日放送)

関西テレビ
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