FNNが行った最新の世論調査で、岸田政権が11月2日に発表した物価高への対応を盛り込んだ経済対策について、7割近い66.6%の人が「評価しない」と答えました。

FNNが行った世論調査では、「経済対策を評価しない理由」として様々なものが
FNNが行った世論調査では、「経済対策を評価しない理由」として様々なものが
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最も多かった意見は、「今後、増税が予定されている(39.9%)」というものでした。

増税や物価高などにより、増える続ける家計の負担。
今、そこに追い打ちをかけるかのように、「国民年金支払い5年延長案」が検討されているといいます。

これは、現在20歳から59歳までの国民年金の保険料支払期間を、5歳引きあげて64歳まで延長するというものです。月額1万6520円(2023年度時点)の国民年金の支払いが5年延長されれば、100 万円近い負担増となります。

20代女性:
その時まで体力があればいいですけど、その時に元気かどうかも分からないし。職があるかどうかっていうところが分からないので、ちゃんと雇用してくれるような会社があればいいのかなと思います。

50代女性:厳しいよね。どうやって払っていこうかしらね。64歳まで働けません、体力が持たない。

5年延長 政府の狙いとは?

厚労省で検討されている「国民年金」保険料の5年支払い延長案。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏は、政府の狙いをこう読み解きます。

第一生命経済研究所・首席エコノミスト 永濱利廣氏
第一生命経済研究所・首席エコノミスト 永濱利廣氏

永濱利廣氏:
保険料を長く納めた分、将来受け取る年金の月額が若干増えるんですけど、ただそれまでかなり時間があるじゃないですか。なので大変なことは間違いないと思います。
また、背景としては、日本が非常に人手不足で、シニアの方にも、もっと活躍してほしいという意図も政府は持っていると思います。

元榮太一郎 弁護士:
これはもう本当に国民的にはショックですよね。
いままではどちらかというと、受給開始年齢をうしろに引きあげるというのと、支給金額を下げる、ここらへんで調整をされていくのかなと思っていたのですが、64歳まで支払期限が延びるというのは、結構寝耳に水と言いますか、現実的に考えると確かにその方が年金制度の健全化になるとは思うんですけど、結構「増税」のイメージが強い中で、さらに保険料というもうひとつの税金的な金銭負担の議論が始まったりすると、物価高と合わせてダブルパンチのような気もするので、慎重にやらなくてはいけないなと。

物価が上がっても賃金が上がらない

法政大学大学院の白鳥浩教授によると、「今後若い世代だけに負担が集中し、年金に対する不信感が募ることを防ぐ目的もある」とみられる今回の延長案。

サヘル・ローズ氏:
世界的な流れを見ていても、仕方がないのかなという理解もできますが、それでも日本の中でこの議論って、急に国民に「じゃあちょっと延長します、もう5年頑張りましょう」それが納得できないときになんだろうと思ったときに、じゃあ議員さんの数ってあれだけ必要なのかなっていうのと、そこに支払われている給料とか、国サイドで先に見直せるところ、それがちゃんと国民に還元できるところの準備がされた後に、こういう議論が出て、5年延長するというのであれば、まだ少しずつ共にと頑張れるのですが、全部国民任せというか。

サヘル・ローズ氏:
他の国と大きな違いって、日本は賃金が上がっていないんですよ。それで物価高、給料も上がるわけじゃない、身近な方々でも、年金で生活できるという人はほとんどいないんですよ。70歳とかでも一生懸命働いたりとか。だから、これは若い方々も今のうちから意識していかないと、次に自分たちが関係ないと思っても、自分たちの世代にこれから来るという意識が、国民全体で考える必要があるのではないかなと。

――延長する以外でやり方はないのでしょうか?
永濱利廣氏:

基礎年金というのは、財源の半分が税金でまかなわれていると。その流れでいくと、税金の負担を増やすということがあるんですけども、なかなかそれは難しいと思うので。例えば今、60代後半でも男性で6割、女性で4割働いているんですね。であれば、60代代後半の人でも働いている人は保険料を払うとか。そういう方向に持っていくというのは、ひとつの選択肢になるのではないかなと。

シニア世代の活躍は?年金の今後

5年の延長で、受給できる額にどれほどの影響が出るのでしょうか?
佐藤正明税理士・社会保険労務士事務所が、今年度の年金保険料を基に試算したものを見てみると、現行制度では、1年間に79万5000円の受給額が、5年延長すると89万4375円と約10万円増額になります。

ただし、支払う保険料の総額は、現在の792万9600円に5年分の99万1200円が追加されるので、5年延長で支払った保険料を上回るには、受給開始から約10年かかる計算です。

立岩陽一郎氏:
僕が65歳になって年金をもらえるか?多分そのときには70になっていますよ。もらえるのは。問題は、それ仕事ありますか?と。僕は(老後を)真面目に考えて、新聞配達をしようと思ったんです、65歳過ぎたらね。でも紙の新聞が多分なくなりますよね?そしたら新聞配達なんて仕事もなくなるわけです。そうしたら私は何の能力も無い、何ができるんですか?その仕事を誰が用意してくれるんですか?
単純に「仕事をすればいい」というけれど、元気じゃなきゃいけない。だけど、元気だったら仕事できるんですか?これはかなり厳しいと思いますよ。この制度はあったほうがいいとは思いますが、私個人は期待していないです。この制度に。

サヘル・ローズ氏:
結局日本社会ってどこかでずっと働いて働いて、人生って自分たちのために謳歌(おうか)できる機会がどんどんなくなっていく気がするんです。仕事を頑張って子育てを終えたら、自分の人生とか楽しみ方を考えるじゃないですか。日本は働き過ぎ。

永濱利廣氏:
海外の事例で考えると、英語圏の国というのは年齢で差別してはいけないということで、公務員なんかも定年がなくなっているわけです。多分日本も将来的には、そうなると思っていて。今は、定年になると正社員ではなくなって、非正社員で給料が下がるみたいなことがあるのですけども、でもなんだかんだ言って今人手不足なので、多分これからどんどん定年がなくなる方向で、シニアでも活躍していく方向に向かって行かざるを得ないと思います。
(めざまし8 11月14日放送)