島根県西部を流れる高津川。中国山地に源を発し、日本海へ注ぐ約80kmの一級河川だ。国内で唯一ダムのない一級河川で、国土交通省の水質調査でこれまでに何度も日本一に選ばれている。
その清流の魅力を体感してもらおうと、高津川を愛する人たちが、新しいアクティビティの提供を始めた。

川底まで見通るほど船も川もクリア

川面に反射した光が木漏れ日になって揺れる。そして、紅葉の色づきが進む山肌、稜線が水面に映しだされる。

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見上げた空から足元まで遮るものがなく、全ての方向を見渡せる特別な風景。2023年11月、島根・吉賀町の高津川で始まった新しいアクティビティ「クリアカヤック」から体験することができる。

高津川を愛してる会「タカラバ」・齋藤義徳さん:
高津川は、秋から冬にかけての方が水の透明度が上がる。この透明度を味わってもらうために、「タカラバ」でクリアカヤックを購入して、みなさんに体験してもらうことにしている。

新しいアクティビティ「クリアカヤック」体験を企画したのは、「高津川が大好き」という流域の住民有志が集まり、2022年4月に結成した住民グループ「タカラバ」。

デイキャンプや川遊びなどの自然体験イベントを開催し、高津川の魅力や楽しみ方を子どもたちに伝えている。

その取り組みの一環として新たに導入されたのが、この「クリアカヤック」だ。最大の特徴は、船全体が透明になっていること。

川の底までみえる
川の底までみえる

全長約3.5メートルの2人乗りで、普通のカヤックとほぼ同じ大きさだが、船底も側面も透明で、さえぎることなく、透明度の高い清流・高津川の川底まで見通すことができる。遠目には、川の中に、人だけが浮いているように見える。

秋は清流と紅葉の共演も

ガイド役の齋藤さんに、オールの使い方などを教えてもらったら、高津川に漕ぎ出す。

透明な船底を通して、川底まで見通すことができるため、体験した原田笑アナウンサーも「川に溶け込んでいるような気持ちになります」と、クリアカヤックだからこその、自然との一体感を味わったようだ。

水面をゆっくりと漕ぎ進むと、齋藤さんが叫んだ。
「魚がそこにいるのがわかりますか?アユですね」突然の出来事にカメラでとらえることはできなかったが、透明な船底を通して、アユをはじめ、さまざまな魚を見ることができた。

さらに、秋ならではの風景、清流と紅葉の共演も存分に楽しんだ。

“地域の宝”を次の世代へ

川に親しむきっかけをつくり、地域の宝である高津川の清流を次の世代へ引き継ぎたい…。齋藤さんは、「クリアカヤック」の体験を通じて、多くの人に、高津川をより身近に感じてもらい、この先もずっと守っていきたいという気持ちを少しでも持ってもらえたらと考えている。

「クリアカヤック」の体験は2023年11月末までだが、「タカラバ」では、その後もイベントなどで体験乗船会を行い、その魅力を伝えていくことにしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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