水道水の微量の銅がヤカンに付着

暑い季節は水分補給が欠かせないものだが、ヤカンに入れたスポーツドリンクを飲んで食中毒が発生したと厚生労働省が注意を呼び掛けている。
 

ヤカンに入れたスポーツ飲料を飲んだことによる銅食中毒が発生しました。
金属製の容器(ヤカンや水筒)は酸性の飲み物と反応し、金属が溶け出すことがあります。金属製の容器にジュースやスポーツ飲料を入れる時は、注意書きをよく確認しましょう!

これは、6日に大分県臼杵市の福祉施設で起きた食中毒についてツイートしたもの。金属製のヤカンを使って粉末のスポーツドリンクを水に溶かしたところ、それを飲んだ高齢者13名が吐き気や嘔吐を発症したという。原因はドリンクに溶けた銅を飲んだことによる食中毒だというが、施設のヤカンはステンレス製だった。では、いったい銅はどこから紛れ込んだのか?
 

大分県によると、このヤカンは長期間に渡って水道水を沸かすのに使われており、内側が黒く変色していたという。実は水道水には微量の銅が含まれており、繰り返し水道水を沸騰させたことでヤカンの内側に付着・蓄積し、そこに酸性のスポーツドリンクを入れたことで銅が溶け出たと考えられているそうだ。銅は人間が生きていくのに欠かせない物質でもあるが、一度に大量の銅を摂取すると中毒症状が起こる場合がある。
 

一昔前は、部活動の合宿などでもヤカンにスポーツ飲料を入れて飲むのはよくあったと思うが、では、どうしたら同じような食中毒は防げるのか?気を付けるべきポイントは?
厚生労働省の担当者に聞いてみた。
 

「知らないまま使っている方は気を付けて」

――「銅の食中毒」をツイートしたのはなぜ?

今回のような食中毒が起きることを、お伝えしたいという趣旨がありました。ヤカンや水筒などについている取扱説明書にも同様の注意が書かれていますので、同じような事態に合わないためにも是非知っていただきたいと思います。
 

――金属の入れ物に酸性の飲み物を入れるのは危ない?

今回のような食中毒が起きる可能性があります。こういったことを知らないまま、ヤカンや水筒を使っている方は、よく気を付けてください。
 

――こういう食中毒は珍しい?

ここ数年では記憶になく特殊な食中毒にあたると思います
 

過去にも同じような食中毒が起きている

東京福祉保健局が公開している資料によると、平成20年に東京で、水筒のスポーツ飲料を飲んだ6名が頭痛やめまいなどの症状を起こした。この水筒は内部が破損して、保温構造に使われた銅が飲料に触れて溶けだした事が原因とみられている。
 

平成22年には岡山県の保育園で、アルミのヤカンにいれた乳酸菌飲料を飲んだ園児15人が吐き気などに見舞われた。このヤカンは今回と同じようにお湯を沸かすために繰り返し使われており、やはり蓄積した銅が乳酸菌飲料に溶けたとみられている。このヤカンの内側には黒く変色した部分があり、岡山県美作保健所と備中保健所が分析したことろ、ヤカン本体に銅は含まれていないが、変色部分から銅が検出された。
 

銅の食中毒を予防する注意点は3つ

出典:大分県
出典:大分県
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今回、食中毒が発生した大分県は注意喚起のPDFファイルを公式サイトで公開している。そこに書かれた注意すべきポイントは次の3つ。

1、容器の内側にサビや傷がないか、よく確認しましょう
2、酸性の飲み物を、長時間 金属製の容器に保管しないようにしましょう
3、やかんや水筒、金属製の保存容器は定期的に新しいものに交換しましょう

また酸性の飲料はスポーツドリンクだけでなく、炭酸飲料や乳酸菌飲料、果汁飲料も該当するとしている。
 

確かに厚生労働省の担当者が言ったように、ヤカンや水筒には説明書が付いているが、実は読んでいない人もいるのではないだろうか。汗をかく暑い夏は飲む量も増えるので、これらの注意事項を覚えて熱中症対策はしっかりしてほしい。
 

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プライムオンライン編集部
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