「このポスター、完成度高くて感動した」

こんなSNSへの投稿が話題の啓発ポスターが今、駅や列車に貼られていることをご存知だろうか。

Xユーザーの「蒸し豚」さん(@boiled_pig_main)が紹介したのは、一般社団法人日本民営鉄道協会のポスター。この投稿には9万を超える「いいね」が寄せられているのだ(11月2日時点)。

ポスターは歩きスマホやヘッドフォンの音漏れなど様々な“迷惑行為”が数珠つなぎのように描かれ、「他の人の行為で嫌な思いをしている人も、実は別の人からしてみれば別の迷惑行為をしている」というデザインだ。

B1縦型のポスター(出典:日本民営鉄道協会)
B1縦型のポスター(出典:日本民営鉄道協会)
この記事の画像(5枚)

コピーには「自分は絶対守れてるって実はみんなが思ってる」とあり、「『自分は絶対大丈夫』と思っていても知らない間に他の誰かにご迷惑を掛けているかもしれません。皆様の『ちょっとした心配り』がマナー向上へと繋がります」と説明している。

掲載期間は11月30日までで、加盟鉄道会社72社の駅や列車内に約2万6400枚が掲出されている。

22年度の迷惑行為1位は「座席の座り方」

このポスターは同協会が1999年から毎年アンケート調査を行っている「駅と電車内の迷惑行為ランキング」をデザインしたもので、現在のポスターは昨年12月に発表した結果を参考にしているという。

アンケートは複数選択式で行われ、2022年度の迷惑行為の総合ランキング1位は「座席の座り方(詰めない・足を伸ばす等)」(34.3%)で、前年の2位から2年ぶりの1位になったそうだ。前年1位の「騒々しい会話・はしゃぎまわり」は33.9%の2位で、3位は「乗降時のマナー(扉付近で妨げる等)」(27.0%)だった。

お客様が迷惑と感じる行為の2022年度総合ランキング(出典:日本民営鉄道協会)
お客様が迷惑と感じる行為の2022年度総合ランキング(出典:日本民営鉄道協会)

また「新型コロナウイルス感染症がまん延する中で、電車利用時に気になること」という設問に「マスク未着用者」と答えた人は約6割、「周囲の人との会話」は約5割だった。

この割合は、前回の2021年度と比べると1割以上減少しているが、同協会は依然として新型コロナウイルス感染症への警戒が継続していることが読み取れるという。

2022年度の新型コロナウイルス感染症がまん延する中で電車利用時に気になること(出典:日本民営鉄道協会)
2022年度の新型コロナウイルス感染症がまん延する中で電車利用時に気になること(出典:日本民営鉄道協会)

同協会は毎年恒例のアンケート結果を元に、毎年新しいデザインのポスターを発表しているという。

では今年のポスターにはどんなテーマが込められているのか? アンケート調査はどう役立てられているのか?日本民営鉄道協会の担当者に聞いてみた。

迷惑行為の大部分は無意識

――「啓発ポスター」が SNSで話題になったことは知っている?

Xで話題となっていることは存じ上げております。本ポスターが多くの方にご覧いただけて非常に嬉しく思っております。本ポスターがきっかけとなり、電車に乗るお客さまがマナーについて今一度考えるきっかけとなっていただければ幸いです。


――今年の「啓発ポスター」にはどんなテーマが込められているの?

本ポスターは「迷惑行為の大部分は、故意ではなく無意識に行われている点」に着目いたしました。「自分は絶対マナーを守れている」と思っていても、実は知らないところで心配りの欠如から迷惑を掛けてしまっているかもしれない。そんな良識ある誰もが「迷惑行為の当事者」になってしまう可能性があることを伝えるために、このようなデザインとしました。

B3横型のポスター(出典:日本民営鉄道協会)
B3横型のポスター(出典:日本民営鉄道協会)

――毎年の「マナーアンケート調査」はどう役立てているの?

各メディアにてご紹介いただき、注目いただいております。また、次年度の啓発ポスター制作の参考にもさせていただいております。


――鉄道マナーについて利用客にお願いしたいことは?

全てのお客さまが快適にご利用いただけるよう、啓発ポスター・アンケート結果をきっかけに、駅と電車内におけるマナーについて、今一度振り返っていただけますと幸いです。

人の迷惑にならないよう気をつけている人は多いだろう。しかし、このポスターのように無意識で誰かに迷惑をかけてしまうことも、たしかに起こり得ることだろう。ポスターを参考に普段の振る舞いを見直すのも良さそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。