旬のおいしいフルーツなどが楽しめる「秋の味覚狩り」。
実は今、全国でちょっと変わった味覚狩りが続々と出現し、人気を博している。
農園などに宿泊する「ファームグランピング」をはじめ、「南国ジャングルでの味覚狩り」「星空の下での味覚狩り」「1日1組限定のガチ過ぎる味覚狩り」など、想像よりも“ナナメ上”な「味覚狩り」を取材した。
人気の味覚狩り3選
鳥取市にある果実農園「広岡農場」に今年5月、宿泊施設「鳥取ファームグランピングMoiそらやま」がオープンした。
この記事の画像(29枚)ここでは、広い空と雄大な山々をのぞみながら、広岡農場がこだわり抜いた最高級の桃や梨などの収穫体験を楽しむことができる。
また宿泊するドームテントやトレーラーハウスにはプライベートガーデンが備えられている。
夜には環境省が実施する「全国星空継続観察」で、何度も日本一に輝いたことのある満天の星空を満喫することができる。
続いては、フルーツ王国として名高い山梨県の笛吹市にある「マルサマルシェ」。
ここは旬のフルーツを使ったフルーツサンドやスイーツなどが味わえるお店だ。
人気の秘密は、シャインマスカットや巨峰、桃など季節のフルーツを自ら収穫体験でき、その後、パフェなどのオリジナルスイーツ作り体験を楽しめること。
これからの季節は、芋掘りのあと、オリジナル干し芋も作ることができ、子どもたちが楽しめること間違いなしだ。
東京・立川市の「小山農園」は、黄緑色のレタスや、断面が渦巻き模様の赤紫のビーツなど、色鮮やかで珍しいカラフル野菜をメインで栽培する少し風変わりな農園。
ノーザンルビーという、サツマイモに見えるピンク色のジャガイモや、外は黒くて中は紫色のジャガイモ、さらに白ナスなど、どれも珍しいカラフル野菜ばかり。
視覚からも楽しめて味も楽しめる、“五感”を通じて楽しめる野菜を栽培しているという小山農園代表の小山三佐男さんは「(レストランの)シェフたちの相談に応えて『あんな野菜作って、こんな野菜作って』とやっていたら、160種類になってしまいました」と話す。
初めて作る野菜ばかりで、日々苦労しながら奮闘しているという小山さん。
それでも、カラフル野菜の魅力を少しでも知って欲しいと収穫体験をスタート。
クチコミで広がり、今では1日に100人来ることもあるという。
ただ、品種が多すぎるせいで小山さんも名前を忘れることがあるといい、「野菜バカですね」と笑う小山さんだった。
続いては、本格的なジャングルでの味覚狩り。
“南国のジャングル?”で味覚狩り
愛知県・田原市にある農業用ハウス。
そばにある看板を見ると、“ジャングル探検植物園”の文字があった。
中はどうなっているのか?早速、調査開始。
無人営業のため、まずは700円の入園チケットを券売機で購入。
中に入ると、南国風の怪しいオブジェがお出迎え。
様々な植物が生い茂り、うっそうとした雰囲気となっている。
さらに迫力のあるオブジェや、見慣れない楽器がいたるところにある。
これらは何なのか。「これだけのバリのものを飾ってしまいたくなるくらい、バリ島が好きなんです」と話すのは、個性的な衣装が特徴の園長、小川さん。
小川園長はバリ島が好きすぎるあまり、バリ島を再現してしまったという。
かかった総額は「家族にばれるといけないので、まぁそこそこしました」と苦笑する。
家族にあきれられるほど、バリ島感を出すのにハマってしまったという。
そして、肝心の味覚狩りはというと、南国フルーツ。
園内には、グァバやパパイアなどの定番から珍しいものまで、約70種類の南国フルーツを栽培している。
早速、調査員が南国フルーツ狩りを体験。
調査員は1個50円のジャボチカバを収穫。皮をむいてみると、中から白い実が出てきた。
ここにある「ジャボチカバ」はブラジル原産。
「木ブドウ」とも呼ばれ、木の幹に直接花を咲かせ、そのまま実をつける珍しいフルーツだという。
見た目は巨峰っぽいが、「甘いです!本当にブドウみたい」と調査員。
他にも、食べた後にすっぱいものを食べると甘く感じるというミラクルフルーツなど、珍しい南国フルーツ狩りを堪能できた。
ただし、全てバリ島で栽培されているかどうかは雰囲気のようで、色味がバリっぽいということで栽培しているものもあるという。
バリ島大好き小川園長だが、バリ島に行った回数を尋ねると「一回しか行ったことがないです(笑)」とのこと。
いろんな意味で、魅惑のバリ島植物園だった。
続いては、幻想的な空間でのイチゴ狩り。
星空の下でイチゴ狩り
琵琶湖のほとり、滋賀県・米原市にある「七夕いちご園」は12月末から5月の旬の時期、ハウスの中でイチゴ狩りが楽しめる。
徹底した温度管理とハウス内の二酸化炭素の量を増やすことで光合成を促し、あまいイチゴが育つそうで、代表の北村卓造さんは「(ピークで)糖度23度くらい。日本野菜ソムリエ協会の“第1回いちご選手権”で2位になりました」と話す。
そんな自慢のイチゴを、少しでも多くの人に味わってもらいたいと始めたのが、日が暮れる時間になると、園内の照明が落ち、ハウス一面に星空が浮かび上がる、その名も「星空いちご狩り」だ。
イチゴだけでなく、空間も甘い感じに変化。
夜でもイチゴ狩りが楽しめるとあってカップルに大人気なのだが、肝心の「イチゴが見えない」という問題がある。
暗くすることで、ムードはバッチリなのにイチゴが見えなくなってしまった。
そこで北村さんはランタンを置いて、イチゴを見えるように改善。
ムード満点なイチゴ狩り、ぜひ体験してみては?
続いては、1日1組限定の味覚狩り。
ガチすぎる味覚狩り
東京・奥多摩町にある無人駅「古里駅」。
早速、集合場所へ向かうと、タンクトップがトレードマークの案内人、角井竜也さんが「ワサビツアースタートです」とツアー開始の号令。
案内してくれるのは、東京では珍しい「ワサビの収穫体験」だ。
竜也さんと兄・仁さんは“わさびブラザーズ”として奥多摩でワサビを栽培し、収穫体験ツアーをガイドしている。
一体、どんな味覚狩りになるのか。
住宅地から少し入ると、東京にいることを忘れそうな大自然が目の前に。その中をひたすら奥へと進んでいく。
ワサビを目指して、アドベンチャー感満載の道のりを約20分進むと到着。
渓谷の中に現れたのは、段々に作られた、ワサビの田んぼ。
そこに流れているのは、岩肌から絶えず滲み出る綺麗な湧き水。これがワサビの栽培には欠かせないものなのだ。
江戸時代には徳川将軍家に献上していたと言われている奥多摩のワサビをいざ、収穫。
茎についた根をきれいに取り除くと、きれいなワサビが出てきた。
まだ成長途中なので小ぶりだが、植え付けから約1年半で旬を迎え、20センチほどの大きさになるという。
そしてここからが、ここまで来たからこそ味わえる最大の醍醐味。
ご飯の上に、かつお節、しょう油、ワサビの葉を乗せたら、採れたての新鮮なワサビを、おろし金で擦って、たっぷりご飯の上にかけていく。
採りたてだからこそできる、シンプルながら最高の贅沢どんぶり。
「ワサビのいい香りがします。これだけでご飯いっぱい食べれちゃうほどおいしいです!」
五感で感じる、奥多摩ワサビの収穫体験。ぜひ行ってみては。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年10月17日放送)