10月16日、山形・鶴岡市加茂地区で風力発電事業を計画していた東京の事業者が、市に対し計画を断念したと伝えた。事業者は「鳥類への影響が払拭できないこと」が、大きな理由になったと説明している。

鳥類への影響から事業は難しいと判断

都内のエネルギー事業者・JRE(ジャパン・リニューアブル・エナジー)社は、鶴岡市加茂地区の周辺に発電用の風車を最大で8基建設する計画を進めていた。

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計画をめぐっては市が2023年2月、予定地がラムサール条約で保護されている大山上池・下池に近いことなどを理由に、JRE側に事業の「中止」を要請していた。

JREのホームページ
JREのホームページ

市によると10月16日午後、JRE社の担当者が市役所を訪れ「計画を断念する」ことを報告した。「鳥類への影響」が大きな理由で、JREの担当者によると「去年(2022年)2月から独自に行ってきた調査で、風車の高さあたりに鳥が多く飛ぶことがわかった」という。

大山上池(資料)
大山上池(資料)

この上で「風車の数を減らしたり、鳥が飛ぶ時間帯に合わせ止めたりすることも検討したが、事業は難しいと判断した」と説明している。

国が主導し建設可能な場所の線引きを

計画断念について事業反対の署名を集めてきた、ラムサール湿地近接風車建設に反対する会の佐久間憲生さんは「遅きに失した感はある。自然環境保全の面から撤退したのは歓迎する、大変喜んでいる」と語った。

ラムサール湿地近接風車建設に反対する会・佐久間憲生さん
ラムサール湿地近接風車建設に反対する会・佐久間憲生さん

その上で佐久間さんは、景観や希少生物保護などの観点を踏まえ、建設可能な場所の線引きをもっとはっきりと行うべきだと話す。

佐久間憲生さん:
建設可否のゾーニングがまだ不十分だというのが今回の事例なのでは。国が主導してゾーニングをやるべき。そこを踏まえて企業が進める

JRE鶴岡八森山風力発電所
JRE鶴岡八森山風力発電所

風力発電をめぐっては、鶴岡市内の稼働中の風車で「バードストライク」の可能性がある絶滅危惧種・クマタカの死がいが見つかり、環境省が現在死因を調査している。

(さくらんぼテレビ)

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さくらんぼテレビ
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