マチの自慢のホタテを子どもたちが給食で味わった。
中国による水産物の禁輸で苦境の中だが、消費拡大に向けた動きが続いている。
たっぷりホタテ!給食に笑顔
山や海の幸が豊かな北海道南部の森町。
学校給食に登場したのは、ホタテご飯だ。

ホタテの養殖が盛んな森町では、地元の海産物を知ってもらおうと町内の小・中学校などを対象に6年前からホタテ給食を提供している。
中国禁輸で打撃を受けたホタテ
8月から始まった福島第一原発の処理水の海洋放出。これを受け、中国は日本の水産物の輸入を全面停止。
自慢の海の幸は行き先を失い、水産業界に大きな影響を及ぼしている。

ホタテ給食はこれまでも行なわれていたが、苦境の中、消費拡大の助けになることも期待されている。
「給食で食べることによって、地域の食材として愛着を持ってほしい。今後の消費にもつながればうれしい」(教師)
町がさらなる消費拡大に向けて始めるのが、全国の学校への無償提供。

町内の水産加工会社から50万食分のホタテを買い取り、提供する。
募集開始から1週間で上限に達したという。
「給食の材料費が高騰しているので、今回無償提供してもらえるということで、ぜひお願いしますという声が多かった。少しでも水産業界の支援になれば」(森町役場 一條杏紗さん)
大量のホタテ在庫
一方で厳しい現実からの出口はまだ見えていない。
函館市内の水産加工会社では、噴火湾やオホーツク海で取れたホタテの加工品を中国に年間数十トン輸出していた。

しかし、中国が日本産の水産物の輸入を停止しているため、1箱に20キロ入ったホタテが、約6000箱残っている状態に。
倉庫には10メートル以上の高さになるまで積み上げられていた。

「2022年はこの時期は全部なくなっていた。ショックというより、何と言っていいか分からない」(きゅういち 清水俊一さん)
ネット販売・イベントで消費拡大へ
活路を求めたのが、インターネットでの販売だった。

「1件1件でいうと1キロ単位だが、たくさんの方からご購入いただいているので、ものすごい量を買っていただいている。注文はこれまで何千件単位」(別府泰明さん)
すでに全国からの注文のほか、飲食店からの引き合いも相次ぐほどの好評。
ネット販売を始めて1か月ほどだが、約3500万円の売り上げがあるという。
加工場をのぞくと、冷凍ホタテの箱詰め作業が急ピッチで行なわれていた。

「想像以上だ。ホタテが売れなくて困っているから微力ながら協力しますとか、応援に近いような買い方をされるお客様が多い」(別府泰明さん)
この会社ではネット販売のほかにも、イベントを開催。

函館市で行なわれたイベントで冷凍ホタテの販売会を実施。
1キロ3200円で販売したほか試食会を行ない、イベント開始から多くの人で賑わった。

「買ってもらえてありがたい。やっている僕が楽しいので、また機会あればやりたい。こういうイベントやネット販売でいろいろ消費できたら」(きゅういち 清水俊一さん)
突然の大ピンチ…それをおいしさを再発見してもらうチャンスに。
水産業はたしかな手ごたえを感じ始めていた。