ロシアを訪問し日本維新の会を離党した鈴木宗男参院議員が15日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演。
ロシアのウクライナ侵攻に関し、「国力の差から言っても圧倒的にロシアが強い」「78年前の日本の悲惨な歴史をウクライナにはして欲しくない」と述べ、早期の停戦が望ましいとの考えを示した。

一方、自民党の小野寺元防衛相は、鈴木議員の一連の発言について、「国際社会の中で、力により侵略して領土を取ることが肯定されてしまう。それが正しいことだというふうに受け止められてしまうのではないか」と懸念を示した。

また、立憲民主党の玄葉元外相も、ロシアが「励まされていると感じる可能性はある」「ロシアのやり得になっちゃダメ」と同調した。

一方、番組コメンテーターの橋下徹氏は、渡航中止勧告が出ているロシアを鈴木議員が訪問したことについて、「危機的状態の中で野党の国会議員が、敵対する相手方の政治家ときちっと話ができる環境を作っておくのは、ある意味での安全保障で重要なことだ」と理解を示した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
日本や欧米各国がウクライナ支援で一致結束しているという状況の中で、鈴木宗男議員はロシアを訪れた。その意味と現地での発言の真意は?現地では、“ロシアの勝利を確信している”というふうに伝えられたと。(鈴木議員は発言の)一部を切り取られたという批判もしていたが、なぜこの発言をしたのか。

鈴木宗男参院議員:
逆に松山氏に伺いたいが、私はこの発言は様々な講演、様々な場所でいつも言っているフレーズだ。それをモスクワで言ったからといって、なぜことさら取り上げられるのか。私は不思議でならない。ならば、日本で発言した時に私を批判すればいい。この維新の皆さんも日本で言っている時は黙っていて、モスクワで言ったことが問題だということ自体、つじつまが合わない。同時に私が、どの政治家よりも一にも二にも停戦だと言ってきた。昨年来、予算委員会でも岸田首相にも訴えてきたし、犠牲になるのは、子供、女性、お年寄りだと。みんな世界でたった一つの命だと。とにかく停戦に持ち込むことが一番だというのを前提にしての話だ。もう一つ、今、ロシアとウクライナの停戦の交渉もできていない。ウクライナの戦勝ラインはわかるだろうか?ロシアは戦勝ラインを言っておらず、幅がある。一方、ウクライナはクリミアからドネツク、ルガンスクはじめ、4州を全部奪還する、それからの停戦交渉だと言う。じゃあ、現実的にできるのか? ここを考えてほしい。長引くだけで犠牲者が増えるだけ。それは避けた方がいい。これが私の考えだ。

松山キャスター:
鈴木議員は日本でも同様の発言をしていて、ロシアでも同じ発言をしたから、特に問題にすべきものではないということだが、ロシアに行ってこの発言をしたことによって、ロシア側のプロパガンダに利用されてしまうのではないか、という懸念を言う人もいる。

鈴木宗男氏:
ロシアに行っても、例えば、ウクライナ担当のガルージン外務次官。去年11月まで日本の大使やっていたが、停戦の話をきちんとした。ロシアで停戦を言うということは大変なこと。私はそれでも、政治家の決意と覚悟でしっかりと、一にも二にも停止だという話をしている。それをよく理解した上で批判するのは結構だが、これまでの私の行動、あるいは発言、何かぶれていれば批判されて結構だが、早く終わらせるためには、どうしたらいいか。これはもう国力の差から言っても圧倒的にロシアが強いわけだから。しかも(ウクライナに)武器の支援をし、資金供与すれば(侵攻が)長引くだけで犠牲者が増えるだけではないか。78年前の日本みてほしい。半年早く日本が降伏していれば、東京大空襲も沖縄戦も、いわんや広島、長崎に核が落とされることもなかった。この日本の悲惨な歴史をウクライナにはしてほしくないし、あってはならんということは重々様々な場面で発言してきている。これをすっかり抜きにして、ロシアでの発言がこうだっていうのは、私はちょっと腑に落ちないなと思っている。

小野寺五典(自民党・安保調査会長/元防衛相):
停戦をするということは大切だと思う。ただ、鈴木議員の話を聞いていると、侵略をして領土を取って、そこを武力で占領しているということ。まずこれ自体がおかしい話なのに、それを肯定し、これはもうロシア側のやっていることは正しいのだと。そして、仮に停戦をして、ゼレンスキー氏に出すメッセージというのが「侵略された土地はもう手放しなさい」と。で「(その土地を)諦めて、降参をして停戦しなさい」と。これであれば逆に言うと、今国際社会の中で、力によって侵略して領土を取ることが肯定されてしまう。それが正しいことだというふうに受け止められてしまうのではないか。そういう心配を持って、おそらく日本国内でも、今回鈴木議員がロシアに行ったことの是非の問題の以前に、私たちはやはりこの問題は、日本も同じことに直面をする。もしかしたらどこからか侵略を受けてしまうかもしれない。その時に力によって領土や領空を取られてしまうことをむしろ肯定してしまうようなことがあってはならない。だから、ウクライナに対して、私たちは応援をし、ロシアのやったことは非難をしている。この大きな筋の中で、私たちは議論している話なので、停戦は大事だけど、そのためにはもう降参しなさいというのは、もっと大きく世界に不安をもたらしてしまう、そんな心配を持っている。

鈴木宗男氏:
私は(ロシアを非難する)国会決議も賛成している。ロシアの侵攻は侵攻だと私は分かっている。その上で、先の対戦でも日本が先に戦争を仕掛けたが、日本には日本の理屈があったのではないか。だから、私は戦争だとか紛争は相互に言い分があるから、やめさせることが一番だと思う。

小野寺五典氏:
鈴木議員は今、侵攻と言ったが、私は侵略と思っているので、あくまでもあれは…。

鈴木宗男氏:
侵攻も侵略も一緒だ。

小野寺五典氏:
それはだいぶ違う。やはり、相手の領土を奪う目的で一方的に攻撃を仕掛けている。これは侵略、今回のウクライナに対してやったことは侵略だと思う。

鈴木宗男氏:
私は去年3月の国会決議は認めて(賛成して)いる。その上で、なぜこういう事態になったか、ということも考えなくてはいけないのではないか。

玄葉光一郎(立憲民主党、元外相):
「渡航中止勧告」が出ている中で行くべきかどうかというのは、時と場合によるので、あまり目くじら立てる必要はない、というのが最初の答え。その上で、この認識の表明って話は、単に認識の表明ならいいが、相手側に言うと相手側は少なくとも励まされているという風に感じる可能性はあるなというふうには思う。あと、小野寺議員が言ったことに、ほぼ同感なのは、ロシアのやり得になっちゃダメだろうと。結果としてやり得になっちゃったら、これは日本の全体の安保環境を考えたら、優先順位は中国だ。中国はじっと見ている。力による現状変更を許してはいけないっていうのが最大の我々の優先順位だと思う。やり得を認めたら、ある意味、日本の安全保障に直結するっていうふうに考えざるを得ないので、色んな議論はあっていいが、その場合にまず、力による現状変更はやっぱりいけなかったよねと。軍による現状変更はいけなかったよね、ということを枕詞でやっぱり言うべきだと思う。

小野寺五典氏:
渡航の中止勧告で行くなと言われているところに国民が行ったら危ないことになる。万が一、そこで人質になったら国を挙げてその人を救出する大きな仕事を追ってしまうので、なるべく行かないで欲しいということを言っているので、率先してもし国会議員がどんどん行き始めると、タガが外れたように皆が行き始めて、そういうことにならないように私は一定の勧告は勧告で守るべきだと思う。

鈴木宗男氏:
渡航中止勧告というが、レベル3にしろ、レベル4にしろ、強制力もなければ絶対行くなという話じゃない。それから、私は今年5月の連休、ロシアに行こうとした。国会開会中は議院運営委員会の許可が必要だが、その議院運営委員会は許可してくれている。行っていいですよと。議員外交はあって然るべきだと考えている。

松山キャスター:
番組の一般視聴者投票。渡航禁止勧告が出ている中でロシアを訪れたこと、これを国会議員がそのこういう外交することをどう思っているか聞いた結果が出たので見てみたい。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
「渡航中止勧告」の対象国を訪れての国会議員の外交だが、「認められるべき」が19%、「認めるべきではない」が70%、「どちらとも言えない」が11%という結果になった。

橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
こういう議論をやることが民主国家の一番の重要なところだと思う。鈴木議員がいろいろな発言したこと自体で、ロシア寄りじゃないか、とか、ロシアを応援しているからけしからんとか。我々があの、いろいろ言うことはいいが、その発言自体を封じるのは、絶対違うと思う。鈴木議員のような考え方を持っている日本国民だっているはずだから。だから、まさに、こうやって国会議員が議論することが重要だと思う。渡航中止勧告だが、一般国民が行って身の危険がある場合は政府に頼らざるを得ないので、一般国民としては気をつけないといけないと思うが、政治家の場合は、やっぱりいざという時には、国民国家のために行かなきゃいけないところもあって、その代わり鈴木議員は政治家として、自分に身の危険があった時には、もう政府には頼らないと。最後はもう自分で、命をもう落とす覚悟でやるという形で行くのが国会議員だと思う。

小野寺五典氏:
ただ、今回のこの議論で、鈴木議員に対してある面で一番厳しい対応をとったのは、所属していた日本維新の会。逆にあの維新の中の考え方として、これは良くないという判断をしたということではないか。

橋下徹氏:
組織の話は知らないが、一国会議員としては、いざという時に行く場合もあるだろう。ただ、やっぱりそれは第三国でやるとか、何かそういう方法があったのではないかと。いきなりロシアに行かなくてもっていう風には思うが、ただ、野党の国会議員がロシアの政治家ときちっと話をできる環境を作っておくのは絶対必要で、それを政府が予算的に支援するとか、政府が何か支援するというのは、これあってはならないけれども、野党の国会議員こそ、この危機状態とかそういうときには、敵対する相手方の政治家と、やっぱりきちっと話ができる環境を作っておくのは、ある意味での安全保障なので重要なのではないか。

日曜報道THE PRIME
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今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
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