岩手・陸前高田市に地元の観光の魅力を、動画投稿サイトYouTubeを使って発信する男性がいる。東日本大震災後支援してくれた多くの人たちに、ふるさとの「イマ」と伝えようと街を駆け回っている。

こばだいユーチューバーの奮闘

岩手県の沿岸南部に位置する陸前高田市は、東日本大震災を乗り越え今では多くの観光客が足を運ぶ。

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市の観光物産協会に勤務する小林大樹さん(30)は、街に訪れた人へのガイドも務める一方、YouTubeでの動画の配信、ユーチューバーとして街の魅力も発信している。

小林大樹さん(動画投稿サイトより):
はいどうも!陸前高田市観光物産協会のこばだいです

2020年から「こばだい」というニックネームで、自らナビゲーターとして出演し街を紹介する動画を始めた小林さん。

小林大樹さん:
実際にその場にいるような体験ができるのが動画というコンテンツ。YouTubeは世界中の人が見られる

沿岸を歩いて旅しながら被災地の風土を感じる「みちのく潮風トレイル」のよりみちマップなど、2023年9月時点で46本を配信。チャンネル総視聴回数は約5万回と、陸前高田市の観光PRの新たなツールとなっている。

職場のスタッフ:
窓口にきたお客さまが、YouTubeを見てきたと言ってくれる。紙のパンフレットとは違った反応で、やって良かったと思っている

震災遺構などのガイドも務める小林さんがYouTubeを始めたきっかけは、自分が生まれ育った街の魅力を発信し、活気づけたいという思いだった。

震災遺構などのガイドも務める小林さん
震災遺構などのガイドも務める小林さん

小林大樹さん:
陸前高田というと被災地というか、かわいそうな街のイメージが今もあると思う。ここまで戻ってきているとか、新しい取り組みとかを伝えたい

震災乗り越えた陸前高田を発信したい

陸前高田市で生まれ育った小林さん、地元の高校を卒業して間もなく東日本大震災が発生した。家族や自宅は無事だったが、ふるさとが津波で大きな被害を受けた姿を目の当たりにした。

小林大樹さん:
よくよく見たら自分の知る施設がいくつかあった。それを見るまで高田だと信じられなかった

震災後、小林さんは故郷を離れ、岩手県庁の職員や隣の大船渡市の企業に勤めたが、震災を乗り越え地元で頑張る人たちを近くで感じ、発信したいという思いから、3年前に今の職場に転職した。

この日は2年前に陸前高田市内にオープンした飲食店の取材だ。

ーーお店に行って食べるんですか?

小林大樹さん:
そうですね、食べないことには伝わらないと思うので。仕事冥利(みょうり)に尽きますね

後輩を指導しながら撮影していく
後輩を指導しながら撮影していく

小林さんは現場につくと早速カメラをセッティング。この日は職場の後輩にも指導をしながら撮影を開始。

小林大樹さん:
お店の方も映って、様子が伝わればいいなと思っている

店の外観や雰囲気などが分かる映像を撮影した後、新鮮な魚を盛り付ける店の人を撮影しながら、料理へのこだわりを聞いていく。

取材先の店主:
みんなから愛されている人柄ですよね。店も取材してくれてありがたい。もっと色んな場所をPRしてくれたらいいと思う

「すごく甘みのある魚ですね。陸前高田の生出で育てられた岩姫サーモンなんですけれども、すごくきれいな皮が特徴なんですね」と、最後は自分の言葉で料理の魅力を伝える。

小林大樹さん:
もともと地元に住んでいた人や、結婚や就職・進学で高田を離れている人にも、ぜひ見てもらって、陸前高田が戻ってきたことを伝えたい

震災を乗り越え、一歩ずつ復興の歩みを続ける陸前高田市の「イマ」を伝えるため、きょうも小林さんは魅力の発信を続ける。

小林大樹さん:
陸前高田は全国・全世界の皆さまから支援をもらい、ここまで戻ってこられた。これからも陸前高田の新しい街づくりや、昔からある素晴らしい魅力を伝えていきたい。ぜひこれからも応援いただけるとうれしいです

(岩手めんこいテレビ)

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