神戸市北区で男子高校生が殺害された事件から、10月4日で13年。先日、亡くなった男子高校生の両親のもとに被害者が当時来ていた衣服が戻ってきた。遺品を引き取った家族は、これから開かれる控訴審で、その無念を再び訴えたいと考えている。
事件から13年 一審判決は「懲役18年」
2010年、神戸市北区で高校2年だった堤将太さん(当時16)は男にナイフで何度も刺され、殺害された。
父・敏さんは犯人逮捕につながる情報を求め、11年たった2021年になって事件当時17歳の男(30)が逮捕された。
2023年6月には、敏さんたち遺族も参加して裁判が開かれ、神戸地方裁判所は男が否認していた殺意を認定し、懲役18年の判決を言い渡した。
将太さんの衣服が遺族のもとへ
裁判が終わったあと、父・敏さんは将太さんが事件当時着ていた服を引き取った。廃棄される予定だったものだが、裁判を担当した検察官が手続きし、家族のもとに戻ってきた。
中に入っていたのは、半袖と長袖のＴシャツ、スウェットのズボン、下着のパンツ、靴下にサンダル。
Ｔシャツには刃物で切り付けられた跡や血痕があり、下着やサンダルにも黒い血のしみが残っていた。
堤将太さんの父・敏さん：
妻はまだ中見てないよ。どれにも見て分かる血の跡ついていて。それまでは13年前の事件のことやったんやけど、改めてとんでもないことをされたんやな、と
30歳の元少年控訴 納得いく謝罪なく…
男は判決を不服として控訴した。裁判で将太さんから何の危害も加えられていないのに、何度もナイフで刺したことを認めていたが、その後も納得のいく謝罪や償いの申し出なしだ。
敏さんは控訴審にも参加し、意見を述べるつもりだ。
堤将太さんの父・敏さん：
将太のためにはそれをしてやらんと…刑が確定するまで。こいつのちゃんとした償い方法が見えるまで。事実は事実やねんから、自分がやったことはちゃんと受け止めて、その責任は果たせよと
奪われた息子の未来「30歳になった将太が分からない」
10月10日が誕生日の将太さん。生きていたら、2023年で30歳になるはずだった。
堤将太さんの父・敏さん：
妻が今年「将太の夢見た」って。「ただいま」って帰ってきたんやけど、将太やっていうのは分かんねんけど、いまの将太が見えへんねん。いまの将太がどんなんか分かれへんねんて。何も声かけてやれんかった。お帰りって言ったはええけど…僕もそうやと思うよ。あいつ(将太さん)が高校卒業して大学行ったのか、僕の仕事継いだのか、自分の好きなことやったのか…全然分からへんからね
奪われた息子の未来。“元少年”に、その罪の重さを受け止めさせたいと考えている。
（関西テレビ「newsランナー」2023年10月4日放送）
