福島県の浜通りで大量発生している害虫「ハスモンヨトウ」 昼間は土の中に潜み、夜になると植物を食い荒らすことから「夜盗」と名付けられた。この害虫が、農作物を食い荒らし実りの秋をおびやかしている。
食欲旺盛 一気に食われる
福島県相馬市にある、イチゴを栽培する農業用ハウス。葉の裏を調べてみると見つかったのは、体長1センチほどの「ハスモンヨトウ」の幼虫。

福島県農業総合センターの青木大祐さんは「孵化してからだと、株が一気に食われてしまう。その隣の葉っぱとか株とかにどんどん広がっていってしまうのが1つ厄介なところ」

過去10年で最多の確認
イチゴやトマトなどの野菜、さらには花までも食い荒らすハスモンヨトウの幼虫。成虫になると一度に数百個の卵を産み、さらに被害が広がる恐れがある。

福島県の調査では2023年9月に、相馬市で444匹・いわき市で581匹など、浜通りでこの10年間で最も多い成虫を確認している。

対策をしても…農家の苦悩
「普通にこうやっているんですよ。がっかりしちゃう。どれだけやっても、これだもんな…」
イチゴ農家の阿部謙司さんは、ハウスへの侵入を防ぐネットや農薬を使い対策してきたが、これまでにない大量発生に頭を悩ませていた。

「せっかく定植した苗が、食害を受けて無駄になってしまう。食害で芽がなくなれば、その苗は使えなくなってしまう」と阿部さんは話す。

2023年の気候が大量発生の要因に
福島県農業総合センターの青木大祐さんは「今年は夏場雨も降らなかったり、暑い日が続いて低温があまりなかったというのもあって、虫の発生にマイナスになる要因がなかった」

「台風とか低気圧の影響もあって、飛来してきてしまったのが重なったのが影響として考えられる」と分析する。

毎年続くのではという不安
この秋に大量発生した害虫。イチゴ農家の阿部謙司さんは「今年だけなら良いんですけど、毎年同じような状況が発生するようなら、色々考えないといけない」と、この先にも不安を感じている。

ハウスで越冬 冬でも被害
この「ハスモンヨトウ」は、温度が保たれている農業用ハウスでは冬を越す特徴があり、冬の間も危害を加える恐れがある。来年以降も大量発生しないよう、早期の駆除やネットの設置などが大切になる。

福島県は3年ぶりに注意報を出し、農家に対策を呼び掛けている。
(福島テレビ)