今回の放送ではスタジオに、元自民党幹事長で次期自民党総裁の有力候補と目される石破茂氏を迎えた。時事通信社解説委員の山田惠資氏とともに、イージス・アショア配備中止と敵基地攻撃能力をめぐる議論、安倍総理の自民党総裁任期が1年余りとなり活発になっているポスト安倍についての議論を掘り下げた。

配備中止の論理はおかしい

長野美郷キャスター:
6月24日、国家安全保障会議(NSC)でイージス・アショア配備計画断念が決まった。河野防衛大臣の突然の発表から決まったこの中止、どうご覧になりますか。

石破茂 元自民党幹事長:
発射時の補助動力になるブースターが、演習場の外に落ちるようだとわかった。これを防ぐためにはハードもソフトも改修しなければならず時間も金もかかるからやめるという論理らしい。

しかし、ならば落ちてもよいところに置けばよい。発射装置とレーダーが一体でなくてもよい。洋上に発射台を浮かせるとか、イージス艦より簡素な船にランチャーだけ乗せるといった可能性はないのか。イージス・アショアでなくてもよいが、代替の役割を果たすものがなくてよいのか。

反町理キャスター:
200kgのタンクが降ってくるのなら、民家にシェルターを作れば済むことでは。そもそも、タンクが降ってくることと、東京を目指して飛んでくる核ミサイルへの防衛、なぜこれらが対立事項となって、ミサイルを撃破しないことになるのか。

石破茂 元自民党幹事長、河野太郎防衛大臣(画面)

石破茂 元自民党幹事長:
どういう論理なのかよくわからない。

反町理キャスター:
しかし日本の安全保障はそこにおいて意思決定された。

石破茂 元自民党幹事長:
だから論理としておかしいんです。シェルターも一つの選択だが、特に秋田では今までの経緯上、今から皆さんの家にシェルターをつくるから、という解決は許されない。しかし選挙でも必要だと言い続けてきて、なぜ現在こんなことになったか、検証が必要。

自衛隊の”敵基地攻撃能力”は足りない

反町理キャスター:
イージス・アショアがダメとなれば、敵基地攻撃能力の話がある。ミサイルを発射してくる敵基地に向けての攻撃において、さまざまなものがパッケージで必要。敵基地攻撃能力は「盾」ではなくて「矛」だという人もいるが、現実性においては可能なことなのか。

石破茂 元自民党幹事長:
法律的にはできる。古くは鳩山一郎元総理の「座して死を待つのが憲法の予定するところではない」という有名な答弁がある。憲法は何もせずに撃たれるままということを予定していないと。だから先制攻撃ではなく、自衛権を行使して敵の基地を叩くことが認められる。法律的には整備されている。では自衛隊にそれができるか。能力的に120%できない。

次の総裁選での石破氏の勝機は

長野美郷キャスター:
安倍総理の自民党総裁任期が1年余りとなり、ポスト安倍をめぐる動きが活発になっている。総裁選で石破さんの勝機は。

山田惠資 時事通信社解説委員:
フルスケールの(党員・党友票を組み込む)総裁選であれば、2012年のように地方票が得られるが、決選投票で抜かされる可能性も。この場合、第1回投票で圧倒的に過半数をとるか、決選投票に持ち込まれても党内バランスで支持を取り付けるか。
背景として、次の首相候補としての石破さんの人気が高まっている。この高まりが派閥の論理を超える可能性がある。たとえば「岸田さんでは選挙を戦えない」といった声が地方から出てくれば、数の論理が変わる。

反町理キャスター:
フルスケールの総裁選が行われた2012年。第1回投票で石破さんがトップだったが過半数には及ばず、国会議員だけで行う決選投票に。石破さんの34の国会議員票が89まで伸びたが、他の票が安倍さんに流れて負けた。この結果を振り返り、総裁選に向けての考えは。

石破茂 元自民党幹事長:
地方票で圧倒的に勝ちながら決選投票で及ばなかったのは、やはり私に対しての「こいつはなにやるかわからん」感があったのでは。

反町理キャスター:
不信感?

石破茂 元自民党幹事長:
不信感と自分で言うのも嫌だけど、何かドラスティックなことをやるのではないかと。私は「自民党は党員のもの・国民のものであって国会議員のものじゃない」と言っているが、国会議員は嬉しくない。党の運営やさまざまなポストの決め方などを変えるのではという警戒を抱かれたのは間違いない。
じゃあ考えを理解してもらう努力をしてきたか、という反省はある。「あいつは顔も怖いし話も難しい」という話もなくはないから。

 

石破茂 元自民党幹事長

反町理キャスター:
なぜ国会議員票が伸びないのでしょう。

石破茂 元自民党幹事長:
2018年の総裁選のように現職の総裁に対して1対1で戦ったケースは、自民党において確かほぼ半世紀ぶり。自民党は資金配分や選挙応援で党をコントロールするのであり、それを実際に持っている人が相手となるわけだから。

山田惠資 時事通信社解説委員:
選挙に近づけば近づくほど、自分の選挙にとって誰がよいかを考えるから、世論の影響力が高まる。
安倍さんからすると、任期満了に近づけば石破さんが当選する可能性が上がる。コロナにも関わらず早期解散論が出ているが、この期を逃すと安倍さんに近い候補者にならないため。

山田惠資 時事通信社解説委員

「石破封じのための早期解散」は容認できない

反町理キャスター(左)、石破茂元自民党幹事長(右)、安倍晋三内閣総理大臣(画面)

反町理キャスター:
この「石破封じのための早期解散」という理屈は。

石破茂 元自民党幹事長:
それで議員の首を切って、国民に投票してもらい、多額の費用をかけて何を問うのか。石破にしないためという理由で本当にそれをやるだろうか。
解散とは「内閣と衆議院の意思が違う、国民に聞くしかない」となって行うもの。「石破だけにはやらせたくない解散」と聞こえるが、同じ自民党の同志は何派だろうと、全力で応援せねばならない。好き嫌いで選別されてはたまらない。

ご自身の一般人気をどう思う?

反町理キャスター:
一方で石破さんは、ご自身の一般人気の理由をどう見る?

石破茂 元自民党幹事長:
自民党支持者は多く、また野党支持・無党派の人でもしばらくは自民党にという人も一定数いる。その中に、「だけど安倍さんの路線とは違う」という人がいて、それなら石破となるのでは。

 

石破茂 元自民党幹事長

反町理キャスター:
ところで石破さん、眼鏡をかけてのご出演は初めてでは。

長野美郷キャスター:
お似合いになります。女性からの評判もよいのでは?

石破茂 元自民党幹事長:
乱視用です。はっきり見えていいが、違和感はある。かけたほうが怖くないという人もいるが、賛否両論。世論の動向を見たいですね(笑)。

今の日本に求められる政治は

長野美郷キャスター:
最後に、コロナ対策をはじめ問題山積の中、今の日本に求められる政治について。

石破茂 元自民党幹事長:
コロナなどの問題を「100年に一度」というが、どんな問題でもそう。グローバル経済を否定はしないが、国と国との格差は縮まっても国内では広がる。食料もエネルギーもサプライチェーンも外国頼みではなく、国内で回せるものは回さなければ。
どんどん人口が減少するままでよいのか、東京一極集中のままでよいのか。敵基地攻撃能力論も含め、今答えを出さないでいつ出すのか。もう先送りはできない。誰になるにせよ、次の人が果たす責任になる。

(BSフジLIVE「プライムニュース」7月2日放送)