武見敬三厚労相は1日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、パートで働く人らが社会保険を負担しないよう労働時間を抑える、いわゆる「年収の壁」の対策として、政府が打ち出した支援強化パッケージについて説明した。

番組には、スーパーアキダイ(本店・東京)の秋葉弘道社長も中継で出演。支援パッケージが2年間の時限措置であることについて「人手不足を解消したと思いきや、実は2年経ったらまた苦しくなる。その辺がだいぶ心配だ」と懸念を表明した。

これに対し、武見大臣は、支援パッケージは「過渡期の補塡(ほてん)策だ」と認めた上で、2025年の年金制度改革にあわせ「ご心配に至らないように抜本的な改革を取りまとめていく」と強調。サラリーマンや公務員に扶養されている専業主婦ら第三号被保険者の制度を抜本的に見直していく考えを示した。

武見大臣は、配偶者の年収基準のある「配偶者手当」制度を設けている一般企業に対し、手当の廃止を求めていく考えも表明した。「正直なところ、配偶者手当を廃止して基本給や子ども手当(の増額)という形で出してもらったほうがわかりやすい」と述べた。年収基準のある一般企業の「配偶者手当」は事実上の「年収の壁」として、パート従業員らの「働き控え」を招く可能性があるとの指摘がある。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
秋葉さん、政府の「年収の壁」対策についてパートの人たちからどのような声が上がっているのか。

秋葉弘道氏(スーパーアキダイ社長):
いろいろな質問が来ている。期待感が持たれているのが現状だ。

梅津キャスター:
期待感とは。

秋葉氏:
今まで「年収の壁」を気にしていた人たちが気にしないで働ける、収入が増えるとして、だいぶ期待感を持っている印象だ。

梅津キャスター:
働きたい意欲を持っている人がいるということだと思うが、一方で、政府の「年収の壁」対策について、秋葉さんには気になる点、悩みがあると聞いている。どんな点か。

秋葉氏:
今回、2年間ということでありがたいが、2年後にまた扶養に戻り働き控えが起きるのではないか。人手不足を解消したと思いきや、実は2年経ったらまた苦しくなるのではないか。その辺がだいぶ心配だ。

武見敬三厚労相:
その心配はもっともだ。今回の総合パッケージは限定的だ。過渡期の、いわば補塡(ほてん)策。ちょうど2025年が5年に一度の年金制度改革の時期だ。それにあわせ抜本対策に入る。それまでの過渡期をこの対策で対応しようという考え方でやっている。いま指摘されたご心配に至らないように対応しなければいけない。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
年収130万円の壁については、(130万円を超えても)最大2年間まで扶養に入れることとなった。この期間を延長する方向で考えるのではなく、2025年の年金制度改革に向け抜本的な改革を図っていくということか。

武見大臣:
そこまでに抜本的な改革をしっかり検討して取りまとめをしていくという方向だ。

松山キャスター:
「配偶者手当」を支給している民間企業はかなりの数にのぼる。その8割以上で配偶者の所得制限を設けている実態がある。政府の支援パッケージには「配偶者手当の見直しを促進」という文言も盛り込まれているが、具体的にはどういうことを検討しているのか。

武見大臣:
これは、正直なところ、配偶者手当を廃止して、そして基本給や子ども手当(の増額)という形で出してもらえるような形にしていったほうがわかりやすくなる。

松山キャスター:
第三号被保険者制度そのものの抜本的な見直しを図っていくのか。

武見大臣:
そういうことになっていく。いま、第三号被保険者、配偶者で登録されている人は720万人ぐらいいる。そのうちの4~5割ぐらいが働いている。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
第三号被保険者制度は高度経済成長時代を支えてきた制度としてはよかったのだろうが、もういまは時代に合わなくなっている。第三号被保険者制度を残しておきながらいろいろな対策をやると、どんどんどんどん矛盾が出てくる。第三号被保険者、専業主婦は社会保険料を払わないことが前提になっていることが、そもそも見直されなければいけない時代になってきた。

武見大臣:
かつて専業主婦の国民年金加入は任意だった。しかし、憲法に定められた権利で年金受給権というのがあるのだということで、こうした制度、仕組みになった。給料として現金収入はないけれども、主婦としての働き方をきちんと評価しようということで、こういう形になった。橋下さんくらいの世代の人だと、割り切った考え方になるが、我々の世代ぐらいだとまだダメだ。卑近な話、私が「今度何とか俺は閣僚になりそうだぞ」と女房に言った時に、女房から返ってきた言葉は「皿洗いは引き続きやってもらいますからね」と。要は、そういう価値観なんだ。そういう人たちは、50代半ばから60代、70代、まだドオーッといる。この、いわば人生の第四コーナーにいる世代がだんだんあちらの世界に行く過程で、第三号被保険者の大体7、8割ぐらいが働くようになれば、橋下さんの考え方でも議論がやりやすくなってくるだろう。

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