10月1日からのルール厳格化で“駆け込み”も増えているという「ふるさと納税」 10月から何が変わるのか? まずは、そもそも「ふるさと納税」とは?控除額の上限は?確定申告は?これから始めるという人のために疑問を深掘りする。

ふるさと納税ってなに?

ふるさと納税とは「生まれ故郷や応援したい自治体などに寄付できる制度」のこと。自分が選んだ自治体に寄付を行うと、寄付額のうち「2000円を超える部分」が、次の年に所得税と住民税から原則全額控除される。つまり、実質自己負担は2000円となる。さらに、寄付のお礼に自治体からその地域の特産品などの返礼品が届くというお得な仕組みだ。

故郷や応援したい自治体などに寄付できる制度
故郷や応援したい自治体などに寄付できる制度
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疑問1 いくらでも寄付できる?

ふるさと納税による控除額は、収入や家族構成などで決まるため人それぞれ上限がある。総務省のホームページにも一覧で掲載していたり、ふるさと納税を扱うサイトで控除額の上限をシミュレーションすることができる。

ふるさと納税を扱うサイトで控除額の上限をシミュレーション
ふるさと納税を扱うサイトで控除額の上限をシミュレーション

例えば「独身」で全国の平均より多い「年収500万」とすると、年間・約6万1000円までの寄付であれば、負担金が2000円で済むことになる。その年の年収が確定するのは12月なので、今年の年収がどれくらいになるか予想して寄付する必要がある。

家族構成・年収を選ぶと控除上限額の目安が出てくる
家族構成・年収を選ぶと控除上限額の目安が出てくる

疑問2 確定申告は必要?

「ワンストップ特例制度」というものがあり、確定申告をする必要がない会社勤めの人などが対象となる。用意するのは2つ「申請用紙」と「本人確認書類」だけ。申請用紙は多くの場合、寄付した自治体から送られてくる。自治体や総務省のホームページ・納税サイトなどからもダウンロードでき、記入したら寄付した翌年の1月10日までに自治体に届くように郵送するだけ。自治体によっては、オンラインで申請できるところもある。
特例制度の注意点は、「年間の寄付先が5つの自治体以内」「寄付のたびに提出が必要」ということ。別の確定申告がありこの制度を利用出来ない人は、ふるさと納税に関しても翌年の3月15日までに確定申告をしなくてはいけない。

確定申告をする必要ない会社員はワンストップ特例制度を活用
確定申告をする必要ない会社員はワンストップ特例制度を活用

10月から返礼品の基準が厳格化

返礼品は「寄付額の3割以下」さらに送料などを含めて経費総額が「5割以下」とルールが決まっている。総務省が過度な返礼品競争を防ぐため2023年10月から基準を厳格化。この「5割以下」の部分に、寄付金に関する受領証の発行費用などいわゆる「隠れ経費」が含まれていなかったが、隠れ経費を含めての「5割以下」に変更となる。同じ返礼品でも10月から寄付金の値上げを検討している自治体もあり、お得感が薄れてしまうかもしれない。

返礼品は「寄付額の3割以下」さらに経費総額が「5割以下」
返礼品は「寄付額の3割以下」さらに経費総額が「5割以下」

寄付額 福島県6位の棚倉町

2022年度の寄付額が、福島県内で6番目に多かった棚倉町。棚倉町が寄付への返礼品に取り入れたのが、東北地方で唯一、棚倉町に工場がある衛生用品メーカーの「ユニ・チャーム」で製造している「子ども用のおむつ」や「ペット用の給水シート」だった。

町にある工場で作られた衛生製品を返礼品に
町にある工場で作られた衛生製品を返礼品に

リピーターも増加 件数右肩上がり

取り入れた2018年以降は、寄付件数も額も右肩上がり。コロナ禍の巣ごもり需要や物価高を背景に、2022年度は1万6000件以上の寄付で3億4000万円余りと過去最高となった。棚倉町の総務課・近藤聡さんは「リピーターがかなり多い傾向にある。同じものを買うなら、ふるさと納税で少しでも自分に有利になるほうがいいという人は増えてきているのだと思う」と話す。

同じものを買うなら「ふるさと納税」で少しでもお得にと考える人が多い
同じものを買うなら「ふるさと納税」で少しでもお得にと考える人が多い

ルール変更で寄付額値上げ

しかし10月からのルール変更で、一部商品の寄付額を上げる予定だという。棚倉町が経費を計算した結果、5割を超える可能性があることが分かり、一部の返礼品は寄付額を1000円から2000円値上げする方針。

10月から寄付額を値上げへ
10月から寄付額を値上げへ

棚倉町・総務課の近藤聡さんは「寄付額が上がったことによって、前よりも手を出しにくくなってしまう人もいるのでは。店頭で買うという人も、もしかしたら増えてくるかもしれない」という。

棚倉町・総務課の近藤さん 寄付を控える人も出てくるのでは
棚倉町・総務課の近藤さん 寄付を控える人も出てくるのでは

駆け込みで始める人も

棚倉町には「値上げ」に関する問い合わせが相次いでいて、駆け込み需要からか9月はすでに前年同月の3倍ほどの寄付があったという。

9月のうちにと駆け込みも増加
9月のうちにと駆け込みも増加

熟成肉・精米にもルール

さらにもう一つルールが…「熟成肉」と「精米」は、原材料が同じ都道府県内で生産されたものでなければ、返礼品として認められなくなる。例えば「アメリカの肉を、県内の工場で熟成加工して、その工場がある市町村の返礼品にする」というのはダメということになる。

原材料が同じ都道府県内で生産されたものでなければ返礼品として認められず
原材料が同じ都道府県内で生産されたものでなければ返礼品として認められず

トラストバンク広報・花堂歩見さんは「地場産品の基準がより厳格化になるので、主に熟成肉と精米に関しては、これまで御礼の品として出していたのが、出せない自治体も出てくるかと思う」と話す。

トラストバンク広報・花堂さん 熟成肉・精米が返礼品として出せない自治体も
トラストバンク広報・花堂さん 熟成肉・精米が返礼品として出せない自治体も

自治体を応援する気持ちで

トラストバンク広報の花堂歩見さんは「5割の基準が明確になったことで、地域の未来に活用できるお金がその地域に残ることになりますので、自治体さんを応援するという気持ちで寄付をしたらいいと思うので、9月末にこだわらなくてもいいのかと思います」と話した。

(福島テレビ)

福島テレビ
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