島根県の丸山知事は、知事公舎を廃止する方針を9月21日の県議会で表明した。築約40年で老朽化が進んだのに加え、年間約300万円の維持費が負担になっていることを理由に、2023年度末で廃止する考えだ。

2019年に丸山知事が就任したあと使用されていない公舎の現状はどうなのか、内部を取材した。

築37年 知事は“不使用”の知事公舎

丸山知事は9月21日、県議会一般質問で「現在の知事公舎については、廃止することが適当であると考えている」と答弁し、知事公舎の廃止を明言した。

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知事公舎は、松江城の内堀に面した塩見縄手沿いにある、延べ床面積100坪余りの平屋建て住宅だ。周辺には城下町の面影を伝える街並みが残り、武家屋敷や文豪・小泉八雲の旧居などの観光施設が点在する。

2023年現在、築37年を数えるが、丸山知事は2019年の初当選以降、松江市内に購入した自宅で生活していて、この知事公舎を使っていない。

雨漏りや塗装はがれ…老朽化進む

普段は自由に立ち入ることができない知事公舎の内部を、9月22日、許可を得て、取材した。

和室から見えるのは広々とした日本庭園。丁寧に手入れされた松の木に、砂利のコントラスト。落ち着いたたたずまいだ。

島根県管財課・朝山健課長補佐:
維持管理に年間300万円かかっているが、そのうちの132万円が庭園の維持管理にかかる。落ち葉が時期によってはよく出るので

山積みされた落ち葉。日本庭園の美観を保つため、週1回の手入れや清掃が必要で維持費もかさむという。管理費は、警備費などもあわせ年間約300万円に上る。

島根県管財課・朝山健課長補佐:
築年数も経過していて、雨が染み出て、雨漏りしている。外壁の色もはがれている

軒の裏には、広い範囲に雨漏りの跡がある。さらに、外壁の塗装も剥がれた跡がみられた。建てられてから40年近くが経過し、老朽化が進んでいる。

県は、今後さらに老朽化が進み、修繕箇所が増え、その費用は次第に増えると予想している。

今後の活用策については不透明のまま…

城下町・松江の“一等地”にあるこの知事公舎、資産価値は、土地・建物あわせて約2億円とされているが、知事が入居しない今、活用策は具体化していない。

島根県管財課・朝山健課長補佐:
こういうことに使うという今後の活用策については、はっきり決まっていない。景観を保持しながら、どういうものがいいか、県として考えていきたい

改めて建物内を取材すると、やはり老朽化が目立つ知事公舎。高い資産価値を持つ施設だけに、廃止されたあと、どのように活用されるのか、その行方が注目される。

(TSKさんいん中央テレビ)

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